Habi*do通信

五月病・離職を防ぐ~上司ができること・職場で大切なこと~

球団と生涯契約を結び、会長付特別補佐に就任することになったメジャーリーグ・マリナーズのイチロー選手。今シーズン、残り試合には出場しないということですが、最低50歳まで現役を目標に掲げています。
そんなイチロー選手も「辞めたい」と声に出したことがあるのはご存知でしょうか。

高校に入学したての5月のこと。練習試合に投手として出場。その試合で相手チームに打たれたイチロー選手は「野球をやめたい」と漏らしたそうです。
新たな環境に飛び込み何も分からない状態でただがむしゃらに日々を頑張っていた4月。少し慣れてきていざ実践となったときに、うまくいかなかったり、職場の人間関係に悩み始めたり・・・ただこなしていた時期を過ぎ、冷静さを取り戻してくるこの5月だからこそ「辞めたい」「つらい」そんな気持ちになってしまうのは分からなくもありません。

離職の現状・離職の理由とは

五月病にとどまらず六月病という言葉もある昨今。
実際、入社3年以内に辞める新卒社員は大変多く、企業を悩ませています。

【新規学卒就職者の就職後3年以内離職率】 ( )内は前年比増減
・ 大学  32.2%  (+0.3 P )
・ 短大等 41.3%  (▲0.4 P )
・ 高校  40.8%  (▲0.1 P )
・ 中学  67.7%  (+4.0 P )
【新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況) 厚生労働省 より引用】

新卒社員の3分の1以上の人が、3年以内に離職。
実際に辞めた人でこれだけいるということは、仕事を辞めたいと思っている人は、実際にはかなりの割合であると推測されます。

初めて勤務した会社をやめた主な理由
1位 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(22.2%)
2位 人間関係がよくなかった(19.6%)
3位 仕事が自分に合わない(18.8%)
4位 賃金の条件がよくなかった(18.0%)
5位 会社に将来性がない(13.0%)
【「平成25年若年者雇用実態調査」厚生労働省 より引用】

1位と4位の休暇や賃金というのは条件面での理由です。入社前に正しい情報を共有し、理解を得た上で入社してもらうことが重要であり、それによって条件面での不一致は大きく減ると思われます。
一方で、2位、3位、5位は入社後のフォローが重要とされます。

コミュニケーションが行き交う職場

会話コミュニケーションが行き交う職場とは決して会話が多いということではありません。
「最近頑張っているね」ではなく、「最近●●頑張っているね」と具体的に1人1人に向けて声をかけることができる。お互いの状況を把握し、協力し合い、助け合える職場であることが大切です。
上司から部下だけでなく、相談にのってくれたお礼やアドバイスをもらったお礼に部下から上司へも気持ちを伝えることもあるでしょう。メンバー同士で褒め合い感謝を伝え合うことで、仕事のモチベーションの維持ややる気のアップにもつながるはずです。
日本航空「サンクスカード」、ザ・リッツ・カールトン東京「ファーストクラス・カード」というように社員同士が褒めあう制度は多くの企業でも導入されています。

五月病ややる気が下がってしまった若手社員、まずは彼や彼女の目標を聞いてみたらいかがでしょうか。それをうまく仕事に結び付けてあげること、そして一歩一歩のプロセスをしっかり評価してあげること。仕事の意味の理解、それが自身の目標につながるといった理解はモチベーションにつながるかもしれません。

垣根を持たないフラットな職場

さんスキル不足な若手社員に裁量権を与えることは会社にとってリスクでもあります。しかし、多少なりとも裁量権が与えられることで、自分も会社を動かし変えていく実感を持つことが可能になります。

業務連絡のやり取りだけでなく、メンバーの目標を語る場を作ること、またその目標達成に向けてのプロセスを都度評価し、成功体験を重ねる。またそれに伴い裁量を拡大していく。メンバー一人一人の「やりがい」や「ほこり」を高めていくことができます。
仕事のやりがいを感じ組織の一員であるという誇りを持つことは、モチベーションの維持・向上にもつながります。

若手・ベテラン等、年齢・役職といった世代や肩書、所属・部門に垣根をもたず、若手でもアイディアや提案を発言できる。プロジェクトリーダーやプロジェクトの発足も任される、そんな環境であれば「仕事が自分に合わない」「会社に将来性がない」といった考えには結びつかなくなるでしょう。

うまく失敗を経験していくこと、若手社員にとっては重要なことです。任され失敗することで自分の実力を知り、技術や対応の向上を身をもって実感する。そういった場の提供が大切です。

新入社員や若手社員の離職。辞めては採用、を繰り返すのでは何ら解決にはつながりません。
職場環境や制度を見直すこと、若手社員だけにとどまらず中堅社員やベテラン社員の定着にもつながります!