自分が抱えている仕事のボリュームや質を分析すると忙しい病の原因がわかってくるのですが、そもそも忙しい病の管理職は、忙しさを理由にして「それらを分析する時間すらないんです」という想像通りの答えが返ってきます(笑)。
部下に任せられる仕事はいっぱいあるのに・・・。
そして部下の成長の機会も奪っている・・・。
管理職は自分の部下を通じて結果を出す
「彼にはまだ早い」とか、「一度やらせたが精度が低くもう任せられない」という“自分視点”ではなく、“仕事視点”で「この業務を満足に終了させるために、彼らにどう渡していけばいいのか」「彼らがこの仕事をやれるようになるには、どういう指導をすればいいか」と考える。
“仕事(相手)視点”で部下と接して、自分の部下を通じて結果を出すのが管理職です。
仕事視点で接したうえで重要となるのは、仕事の指示の仕方=“伝え方”です。
世の中には様々な逓減の法則がありますが、伝達逓減の法則にヒントがあります。
伝達逓減の法則
伝えたい内容×(かける)伝える人のアウトプットスキル
×(かける)聞く側のインプットスキル=(イコール)聞く側の理解度
伝えたい内容が「100」、伝える側のスキルが80%、聞く側が60%のスキルだとすれば結局「48」しか伝わらない、というものです。
伝える側が管理職の皆さんだとしたら、指示命令の出し方のスキルが低いと、聞く側の部下に自分の指示は十分には伝わり切りませんよ、ということです。
伝わらないのは上司の自分が伝えた内容が薄いから?!
では伝えるスキルとは何か。
「これやっといて」
「まとめておいて」
「このイベントの企画をしておいて」
・・・こんな乱暴な指示をする人はいないよ、と思われるかもしれませんが。
冷静に現場を見ていると、結構な頻度で発せられています。
上司の自分が伝えた内容が薄いから部下のアウトプットの精度が低くなったかもしれないのに、部下の能力がないと判断してしまう。
こんな上司についた部下はとても不幸だと思いませんか?
仕事の内容はもちろんですが、
- 部下が何をどこまで判断していいのか
- 部下が負う責任はどこまでか(やり切る責任)
- 優先順位
- 目的・背景
- ゴールの期待レベル(完成品か、たたき台でいいのか等々)
- 部下に求める姿勢(指示内容が分からなければ何度でも質問する姿勢)
を具体的に伝えきらないと仕事を「任せた」のではなく「振った」だけのことになってしまいます。
もちろん、部下を全面的に信頼している、という表情と態度で行うことも重要です。
忙しい管理職の方は是非「伝え方」を工夫してみてください。
次回は聞く側のスキルや立場について考えてみることにします。