2018年6月18日に発生した大阪北部地震。死亡者が出るなど大きな災害となりました。
通勤・通学時間帯での都市部を襲った直下型の地震、出社や帰宅ができず困っている人たちの様子がメディアでは目立ちました。
この中でも無理にでも出社しようとする姿に、「すごい」という声と共に不安視する声も多く上がりました。会社側の対応に従業員のみならず世論からの疑問の声が上がっています。
この地震が改めて企業における「働き方」を考え直す、そのきっかけになるかと思います。
台風、大雪、地震。無理やり出社することが正しい判断なのでしょうか。
そもそも“被害がなくとも会社に出社しなくては仕事ができない状態が通常”ではなく、テレワークを導入していれば、選択肢が増えることでしょう。
休んだりテレワークに切り替えたりして柔軟に対応できるようにすること。従業員のためのみならず会社のためにもなるはずです。これは災害時に限られたことではありません。テレワーク導入のメリットについてみていきます。
生産性向上・効率
テレワークでは、移動や通勤に伴う無駄な時間を削減することができます。またオフィス業務では周囲とのやり取りや電話などで業務が中断されることもありますが、テレワークではそれらを少なく集中して業務に取り組むことができます。
下記のようにワークライフバランスに取り組むことが生産性向上につながる、といったデータもあります。
多様な人材を活用する観点から、推進本部の設置など積極的にWLB推進に取り組んでいる企業は、取組後に企業の全要素生産性(TFP)を向上させている傾向。
(山本・松浦(2011)「ワークライフ・バランス施策は企業の生産性を高めるか?-企業パネルデータを用いたWLB施策とTFPの検証」より引用)
ワークライフバランス
効率化、残業時間の削減の目的だけのテレワークではなく、業務の始業・終業時刻を柔軟に設定することにより、通勤時間の削減によってできた時間を「家族との時間」「自身の学びの時間」「ボランティアや趣味の時間」へと使うことがやりやすくなります。従業員一人一人の生活を豊かにすることにつながります。学びの時間が増えることでスキルアップにつながり、企業の力にもつながります。
多様な働き方の実現
労働力人口の減少。多くの企業ではすでに人材不足が顕著となっています。
テレワークを活用することで、子育てや介護、病気やけがの治療が必要な人たちも、家庭と仕事の両立を図りながら働けるようになります。また、通勤が難しい高齢者や障害者も働けるようにもなります。優秀な人材が確保でき、人生の転機を迎えたときでも離職せずに働き続ける、そういった可能性がひろがります。
事業継続
震災だけでなく、台風や豪雨、パンデミック時など、社員が出社できないという事態においても、テレワークにて自宅から業務を行うことが可能です。多くの人が通勤困難となり、自宅待機を余儀なくされる状況。企業として従業員が出社できなければ業務を中断する決断しかなくなってしまいます。テレワークが可能であれば、出社せずとも働くことができ、事業を継続することができます。
まとめ
状況にあわせて柔軟に出勤日や出勤時間、勤務場所を変更できるようにするためには、事前にそのための「仕組み」を整えておく必要があります。ある日テレワークを実施となっても、オフィス出社でしか働いたことのないメンバーにとっては混乱でしかないでしょう。オフィス以外で働くこと、それを支える仕組みに日ごろから慣れておくことが大切です。
場所に縛られず働ける環境が揃える「仕組み」。この地震をきっかけに、働く側も雇う側も双方に真剣に考える時かもしれません