Habi*do通信

フィードバックは型~最大のポイントは部下のSBI~

先日、あるセミナーで、東京大学の中原淳准教授の講演を聞く機会がありました。
ヒトや組織に注目し、人材開発・人材育成を研究されておられる気鋭の先生です。著書も多く、ブログもユニークなので御存知の方も多いと思います。

表題の『フィードバックは型』は、私が講演を聞いてなるほどと思ったキーワードです。

「アンガ―マネジメント」「叱り方」。これらも「型」。
セオリーや順序があって、トレーニングすれば必ず上達するもの、です。

中原先生のいう「フィードバック」も知識が必要、それが分かればトレーニング(ロープレ)を繰り返し、身に付けていくもの、なので「型」という訳です。
言い換えれば、トレーニングすれば誰でもできるようになるということですね。

部下育成が難しくなっているからこそ「型」

悩む上司

講演の前段では、”部下育成が何故難しくなってきているのか?”を3つの要因を説明されました。

部下育成が故難しくなってきている3つの要因
①耳の痛いことがなかなか言えない
…パワハラやメンタルダウンが気になる
②管理職の仕事が難しくなってきた
…若年化で経験不足も一因?
③働き方改革、育成時間が取れない
…ただでさえ時間が足りないのに。。。

だからなおさら「型」を覚えて効率的・効果的に、ということですね。
さて、その中身はというと。

「フィードバック」は、1.情報通知と、2.立て直し、だそうです。

1.情報通知
情報通知はティーチング的、現在の状態をしっかり通知すること。
…耳の痛いことも、いいことも。
2.立て直し
立て直しはコーチング的、成長を立て直すこと。
…振り返りを促し新たな行動を促進すること。

その際に、日本はティーチングを仮想敵にしたコーチングだけが普及してしまった・・・本人に気付かせろ、だけでは解決しないこともある、とつぶやいておられました(笑)

そして、本来は5ステップだそうですが、簡略版として3ステップ、

  • 「事実通知」
  • 「腹落し対話」
  • 「行動計画+期待通知」

で進めていく。

これが「型」という訳ですね。

部下の情報収集・観察が大切

ここまで聞くと、「そりゃそうだよなぁ、、、でもその事実通知が難しいんだよ!」と思われている方も多いかと。

「事実」とは、SBI、即ち、状況(situation)行動(behavior)結果(impact)

SBI

○○さんの
~の時(場面)の、→ S:状況
〇〇の行動・発言なんだけど、→ B:行動
●●のように私には「見えた」んだよね。
××の結果になっていると「見える」けど、→ I:結果
◎◎についてはどう思う?→ 問いの投げかけ

大切なのは下記の3つです。

① 決めつけない(私には…見えるよ、と伝える)
② S:状況、B:行動、I:結果を行動レベルではっきり伝える
③ 最後は問いを投げかける=相手にボールを渡す

ここで最大のポイントは、SBIの情報収集=観察すること。

事実情報が少ないと、日頃の姿勢・態度のイメージや結果のみの話になり、部下とのギャップがますます出てくるということですね。

「観察」は、フォードバックに限らず、部下指導にも評価にも、さらに面接にも必要。

「報連相が無い!」と、イライラしている管理職をよく見かけますが、部下からの情報提供だけを待っていては優秀な管理職とは言えません。
部下に関心を持って、結果だけでなく発言や行動を記録(記憶)すること、は重要な役割に一つだといえるでしょう。

“Good leader is Good observer”
ということばがありますがまさにピッタリですね。