新入社員のフォロー策として、メンター制度を取り入れている企業もあります。
事前に説明を受けていたとしても、日頃の忙しい自分自身の業務の傍ら、新人のフォローをするのは大変なことです。どんなことをすればいいの?という先輩社員も多いのではないでしょうか。
メンターとは必要な人に指導や助言を行う人を指し、その指導や助言などの支援を受ける人をメンティと呼びます。
業務上の指導を現場で行いながら育成を支援するOJT(On the Job Training)と異なる点は、その名の通り直接的な業務アドバイスだけではなく、精神的・心理的なサポートや、社会人としての所作、人生・キャリア、様々な相談に対して幅広くサポートを行います。支援を受けるメンティにとってのロールモデルにもなり得る存在です。
実際の企業の現場では、メンター≒OJT担当者として、ほぼ同義になることもあるようです。
OJT担当者や、直属の上司のほかに、直接的にかかわりが少ない別の部署の先輩社員をメンターとして任命するケースもあります
メンタリングの目的
メンター制度を導入する目的は様々です。
- 新入社員・中途社員が職場環境や生活環境変化に順応するようにサポートする(離職防止や、オンボーディングの役割)
- 新入社員のメンターとして任命した先輩社員自身の育成・リーダーへの自覚を促すため
- 継続的な活躍やキャリアを支援するためロールモデルを提示するため
その多くはこの3点に集約されると思います。
新入社員だけではなく、ダイバーシティ推進の一環で、例えば女性の長期的な活躍のためにロールモデルとなり得る人をメンターにするケースもありますね。
いずれにしても、メンティを一人前に自律・自立させて成長をしてもらうことが大きな共通目的となります。
メンターになるということは、自分自身の経験や知識を投入して、メンティに様々なフィードバックをすることが求められます。
また時には、アドバイスをするだけではなく、傾聴の姿勢で話を聞くということも重要でしょう。
メンターは何も制度として取り入れなければ存在しないというものではありません。
起業家にとっても助言や指導をしてもらえるような先輩経営者をメンターにすることもあれば、企業組織の中で自然とメンターとメンティの関係が出来上がることもあります。このような関係性が生まれるのはビジネスの場面だけではありません。
メンターが心掛けたいこと
メンターが具体的に心掛けたいことはどのようなことでしょうか。
ポイントは「目標を明確にする」「プロセスを共有する」「信頼関係を築く」ことです。
このことを徹底して意識して実践することで、メンティは自律的に問題解決をする力が備わってきます。
目標を明確にする
『どう考え、どう行動すればい
いのか』まで目標を明確にすること、それについて共に考えることです。
目標は何かと聞いたときに「今月の営業目標は〇万円です。」と答えられる方は多いでしょう。ではその営業目標のためには、自分には何が必要で、日々何の行動をすればよいのか、そこまで具体的にこたえられる方、特に新人や若手社員には難しいのではないでしょうか。
経営目標、チーム目標、そもそも新人は理解ができているでしょうか。なんのために行う、自分の行動が何につながっているか分かっているかどうかで以降の行動は大きく変わります。
メンティは共に目標について考え、都度一緒に方向性を見直し、失敗したときにはその失敗の原因を振り返ることが重要です。
プロセスを共有する
日々行っていること、やれたことやれないこと。見てもらえている、それだけで新人は安心するでしょう。動きやプロセスがお互い分かることは、刺激となり新たな成長の機会をもたらす可能性もあります。
また互いの動きが分かることで自然と「〇〇さんすごいな」「●●さん頑張ってほしい」といった称賛や応援する気持ちが生まれます。お互いに関心をもちあえる環境づくりともなります。
信頼関係を築く
コミュニケーションがとれていること。長所や得意な部分だけでなく弱みや不得意なところも含めてお互い理解できていることが大切です。
一朝一夕に構築は難しいかもしれませんが、お互いに尊重し、助け合える関係を続けること。
信頼関係がなければいいチームワークは生まれません。
目標の明確化、プロセス共有、信頼関係を意識した上で具体的には、以下のようなことを継続的に行います。
- メンティが実現したい目標やゴールの具体化を行い、明確にしてあげること
- 目標と現状のギャップを埋めるために必要な行動目標を一緒に考えること
- 経験値や知識から行動目標や進捗に対する支援や助言などのフィードバック
- 課題や問題を抱えたときにメンタル面などの支えとなること
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、これは何もメンターと呼ばれる人に必要なことだけではありません。
役割こそ違いますが、マネージャーやリーダーがメンバーの自律を促し、ひとりひとりの育成をするために必要なことです。
ひとりひとりが問題解決する力が身に付けば、簡単には負けない強いチームが出来上がります。
人材育成やマネジメントの場面で、ぜひ参考にしていただければ幸いです!