Habi*do通信

オンラインでも使える! テレワーク時代のフィードバック

新型コロナウイルス流行の影響により、テレワークやWeb会議などオンラインでの働き方に注目が集まってから、数カ月が経ちました。これを機に新しい働き方へ転換する、転換を希望する組織やチームも多いかと思います。

しかし、上司・部下間のコミュニケーション、マネジメントについてはまだまだ課題が山積み…。

そもそもリアルでも難しかったマネジメント、画面越しで行うには難易度が高すぎますよね。
頭を抱えている経営陣や、管理層の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、マネジメント方法の1つである「フィードバック」について考えていこうと思います。フィードバックは部下の成長・コミュニケーションを考える上でも、有効な方法です。フィードバックのスキルを上げて、「オンライン上のマネジメントが得意です!」と言えるマネージャーを目指してみませんか?

フィードバックとは

フィードバック

フィードバックとは、同僚・部下に対して任せた仕事に対し、アドバイスや改善点、その他勤務態度や気になる点を伝えることです。適切なフィードバックが行われれば、プロジェクトの早期達成、ひいては同僚・部下の成長が期待できます。

既存のやり方にテレワークが混在している現在、同僚や部下へのフィードバックの重要性は高まっています。今までなら、リアルの顔を合わせることで、部下の行動や状態を常に把握できました。マネージャーも、臨機応変な対応ができていたはずです。
しかし、WEB会議が多くなり、たまの打ち合わせ時も雑談禁止。コミュニケーションを取る機会が減りに減った今、部下コントロールの難易度が上がったことは確かです。

だからこそ、部下へのフィードバックはより慎重に、適切に考えなければいけません。あなたのフィードバック1つが、部下の仕事に対するモチベーションや仕事の結果に大きく影響します。

こんなフィードバックはNG!

オンライン・オフラインに限らず、フィードバックには「やってはいけないこと」がたくさんあります。たとえば、あなたが部下だった時代…上司からのフィードバックに以下のような感想を持ったことはないでしょうか。

①上から目線で言われて、なんとなくやる気がなくなった。
②パワハラと同じレベルで、人格否定された。
③何を言っているのかわからない。わかりやすく説明してほしかった。
④結局、何をすれば良くなるのか言ってくれない。
⑤親身になってくれているのは伝わるが、要領を得ない。
⑥皆に同じことを言っている。

フィードバック

言う方は気軽であっても、言われる方は真剣に受け止めています。あなたがこれまでに行ったフィードバックで、部下にこのような感想を持たれていては、逆効果です。

フィードバックは、決して相手を罵ったり、否定したりすることではありません。相手の理解度をはからず、自分の思いだけを述べるだけでは改善は期待できないでしょう。

大切なのは、相手と対話する意識です。それがあれば、上から目線で話すことも、人格否定することもなくなるはずです。対話であればこそ「自分の思いを伝えよう」という意識も芽生え、要領を得ない内容になることも避けられます。部下に「何言ってるのか分からない…」と思われないためにも、フィードバックは対話だ、と心に刻みましょう。

やってはいけない “無視”

無視

「分からないフィードバック」以上に危険なのが、無視をすることです。たとえば部下に任せた仕事にフィードバックしないまま放置した場合、部下が成長しないだけではなく、多くの場合、業務は停滞します。

フィードバックを受けられなかった部下は、「自分に関心がないのかも…」と感じ、仕事へのモチベーションを下げてしまいます。そうなると、離職にもつながりかねません。

「自分でやったほうが早いから」「うまく伝えられないから」など、理由付けはできるでしょう。しかしフィードバックは上司に課せられた重要な責務です。部下の成長、業務目的の達成、この2つから逃げてはいけません。おぼつかないフィードバックになろうと、実践が大切です。

フィードバックを活用する3つのポイント

個人の成果は、「組織目標」「組織目的」とリンクしています。あなたが会社からマネジメントを任されている理由はどこにあるでしょうか?上司という立場であれば、高い意識を持ったフィードバックが求められます。

ポイントは以下の3つです。

① 直接の面談だけでなく、電話やWEB面談を有効活用する

テレワーク

今までは、直接面談や半年に1回の評価面談などがフィードバックの場であったと思います。しかし働き方が変化している以上、時期や場所を選ばないこまめなフィードバックが必要です。
そのためにも、電話やWEBを活用して面談の機会を増やしましょう。特に1on1ミーティングは短い期間で設定し、上司部下ともに面談に慣れるのがベストです。

② 組織の目標や目的を、上司層が明確に伝えておく

組織の目標・目的は、しっかり伝わっていますか?部下のモチベーション維持・向上はもちろん、「自分はどう働いていくのか」の再確認にもつながります。理解しているはずだろう、という思い込みを捨てて、目的や目標を共有しておくことが大切です。

③ 部下の成果が何であるかを意識させる

組織の目標・目的をはっきりさせると同時に、その部下にとっての成果が何であるかを伝え、具体的に意識させましょう。自分の役割を認識できていると、責任感が芽生えます。

できる!フィードバック(準備編)

ここまでは、フィードバックに求められるものを抽象的に解説してきました。では具体的にどんなフィードバックを行えば、部下のパフォーマンス向上・成長につながるのでしょうか?

よいフィードバックには、フィードバック前の「SBI情報」の事前収集が必要不可欠です。

SBIとは、
・Situation(状況):(例)「     」さんの、「      」のとき(状況)の
・Behavior(行動):(例)「     」の行動が
・Impact(成果):(例)「        」のような点でよかったと思います

の3つを指します。なぜこの情報が必要かというと、フィードバックでは問題点や良かった点を“具体的に”伝えなければ、相手の心に刺さらないからです。
プレゼンへのフィードバック

たとえば、部下のプレゼン内容を褒めたいとき、「プレゼンよかったよ!」と伝えるだけでは、部下からすれば何がよかったのか分かりません。これでは、よいフィードバックとは言えないでしょう。

しかし、「資料が見やすくてよかった」「説明が簡潔で分かりやすかった」など、具体的によかった点を伝えら
れれば、「次のプレゼンでも褒められた点を意識しよう!」と思うはずです。

このような具体的なフィードバックを行うためにSBI情報が必要なのです。また、SBI情報を事前に収集しておけば、「この上司は、自分のことをしっかり見てくれているんだな」という部下からの信頼獲得にもつながります。

できる!フィードバック(実践編)

SBI情報を収集したら、いよいよフィードバックを伝える段階に入ります。
フィードバックを伝えるときは、以下の3つを意識してみてください。

① SBI情報に基づき、行動レベルで伝える
② 主観的に決めつけない(「〜のように見えた)と伝える)
③ 最後に問いを投げかける

SBI情報については前述した通りです。
それから、結果に対して「〜だった」と決めつけるのではなく、「〜に見えた」と伝えてあげましょう。そして最後に「〇〇(相手)さんはどう思う?」と問いを投げかけます。

主観的な思いだけを伝えるフィードバックは、説得力がなく、受け取った相手も困惑します。

「前回の会議のプレゼン資料、文字が小さくて見づらかったぞ!」というフィードバックを部下に送ったとしましょう。しかしプレゼン資料を作った部下は、文字を小さくし、画像や図を強調したかったのかも知れません。あるいはスタイリッシュに資料をまとめたかったのかも知れません。

「文字が小さくて見づらい」というのは主観的な意見です。誰しもがプレゼン資料の文章に注目するわけではありません。このフィードバックも、「プレゼン資料の文字が小さくて見づらいように感じた(同席者も言っていた)んだけど、なにか意図があったの?」という言い方であれば、部下の意見を聞き出すことができ、その意見に基づいたアドバイスを伝えられます。

今こそフィードバックの意識変革を

フィードバック

フィードバックの重要性は誰しも理解しているでしょう。しかしこれまでは、やり方を変える勇気はなかなか出ませんでした。そんな現状を、新型コロナが打破してくれました。急な意識変革にはエネルギーを使いますが、今がチャンスです。

今まで何気なく行っていたフィードバックを、この機会にもう一度見つめ直してみませんか?
学んだことは、オンライン会議などでどんどん試していきましょう。リモートワークで不安を抱えているのは、あなただけではありません。部下の不安や、仕事の進めにくさを、あなたのフィードバックで変えてみてください。

周囲は、その変化には気付くはずです。そして、社内のメンバーから「〇〇さんからフィードバックをもらいたい!」と言ってもらえるようなマネージャーを目指してみてくださいね。