Habi*do通信

結局「テレワーク」とはなんだったのか?新しい働き方はいつになったら定着するのか

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、急速に広がったテレワーク。
コロナ禍ではテレワークの導入に対する格差も話題になりましたね。
予算や設備やノウハウが足りない、業種によってテレワークを行うことが難しい、正規雇用か非正規雇用かといった理由で働き方に格差見られました。
「格差」という言葉が表すように、多くの人が在宅勤務やテレワークを当たり前のようにしている職場をうらやむ傾向が高くなりました。
実際6割が新型コロナウイルス感染症の収束後もテレワークを続けたいと回答しています。(社会調査などを手掛ける公益財団法人日本生産性本部の発表より)

「ニューノーマル(新常態)」と言われる新しい働き方、組織としての取り組みは日本の企業で広がってきたはず、でした。
が…。
緊急事態宣言の全面解除により、会社に向かう人が増え満員電車は復活してしまいました。

戻りつつある人手。テレワークはどこへいったのか?

結局テレワークはどこへいってしまったのでしょう。
あふれる人。満員電車。人手は一気にコロナの感染が広まる前に戻りつつあります。

満員電車

一部の休業した会社や出社を余儀なくされた職種はさておき、少なくとも緊急事態宣言の下でテレワークが可能だと証明した会社は多く存在するはずです。テレワークでも通常通りに仕事が進んでいる、逆に出勤しなくてもできる仕事の幅が広いことに気付け、無駄が省けた企業も多数存在するはずなのです。

以前の出社体制に戻っていく人たち。
テレワークを続けたい、そう思っていた想いはどこへいってしまったのでしょうか。ここから日本の新しい働き方が急速にひろまる、そう思っていた方も多いはず。

新しい働き方…「怖い」

テレワーク、どうして定着しないのでしょうか。

オフィスに安心する

住み慣れた我が家のような心地よい空間には戻りたくなってしまうもの。慣れ親しんだいつもの環境から大きく飛び出すのはとても怖いこと。
多くの組織が元通りの慣れた環境に戻ることで、ある一定の「安心感」を得ているのではないでしょうか。
新しい働き方と今までの環境を比較してネガティブなところばかりに目を向けていては、いつまで経っても新しい環境に慣れることはないのです。

テレワークを本格的に取り入れるためには、業務分担、評価・賃金、教育といったマネジメント・人事制度にわたるまで大幅に見直す必要が出てきます。
本気で体制づくりに乗り出そうとする企業はまだまだ少なく、心地よいいつもの環境に戻ることで「安心」してしまっているのです。

また多くのマネジメント層は出社すること、出社させることで「安心」を得ています。
目の前に仕事をしている姿が見えること、何かあればオンラインでつなぐことなく声がかけられる距離。
部下側も、上司の前にいることで従来通りの評価を受けられるという「安心」感が少なからずともあるのでしょう。

コロナのためだけじゃない。テレワークって必要!

地震や台風など天災に見舞われやすい日本。
出社困難な状況になったのはコロナが初めてではないはずです。2018年におきた大阪北部地震。朝の通勤ラッシュ時と重なったこともあり出社の可否を巡る企業判断については大きな論争を起こしました。

地震」

天災等の不可抗力は防ぎようがありません。業務遂行、サービス提供を滞りなく続けられる企業であるか否か。取引先としての信頼感に繋がるはずです。
場所や時間に関係なく働ける仕組みづくりが整えば、雇用の幅も広がります。育児中の女性や高齢者、障害者などが働くことができるようになるだけでなく、地方や海外にいる人材の確保にも繋がります。

コロナを機に一気に広がったテレワークですが、本来はこれからの働き方として必要な存在なのです。

テレワーク定着するのか

日本企業の多くは「人に仕事を与える」形で業務を遂行しています。

指示する

仕事に人をつけること。
・各々がどのような業務を担うべきかを明確化されている。
・業務に優先順位をつけることができ、やるべきことが明確になり、集中して業務に取り組める体制ができている。
これら『仕事に人をつける』が可能である環境が整わなくては、残念ながらテレワークの浸透は難しいでしょう。

大半の企業では、ソーシャルメディアによるオンラインコミュニティ構築に慣れている、オンラインコミュニケーションが得意な若い世代が社内の大半を占めるときやっと定着するのかもしれません。

コロナ禍で得た新しい働き方の取り組みへのきっかけ。ここを生かすのかコロナ前の働き方に戻っていくのかー。

残念ながら、多くの日本企業はテレワークのことを緊急事態を回避する「一次的な措置」としてしか考えていないのが現状なのです。

新しい働き方とは 資料