Habi*do通信

「自律を促すこと」と「信頼」が部下を成長させる

新人の育成に悩んでいるという話、よく耳にします。
「なかなか思うように仕事を覚えてくれない」、「何度言っても同じミスを繰り返す」、「言い訳ばかりでやる気が感じられない」・・・等々。
確かに、そんな新人が目の前にいると「最近の若者は・・・」と、ため息もつきたくなるというものです。

しかし、マネージメントにおいて大切なのは「自律を促すこと」と「信頼」。今回は筆者が社会人としてのスタートを切った時を振り返りながら考えます。

泣いてばかりいた新人時代

某人材会社で営業職として社会人のスタートを切った私。
運よく第一志望の企業へ入社を果たしたこともあり、やる気満々で4月を迎えました。
新入社員研修で出される課題は、要領の良さで難なくクリア。配属先のOJT担当は、私とは正反対の真面目にコツコツタイプの優しい先輩で、上司もマイルドなタイプ。

何につまづくこともなく、人間関係も良し!順調なスタートを切ったはず!だったのですが・・・最初の1年間は泣いていた思い出しかありません。

当時の私の頭の中はこんな感じでした。

頭ではわかっているはずなのにうまくできない、やる気はあるのに頑張れない、そんな自分が不甲斐なくて自分にダメ出しをする日々。

早く一人前になりたいと思ってるのにどうしてできない。怒られてもいないのに週1回のミーティングの度に泣き、先輩も上司も、ほとほと困っていたことでしょう。

必要なのは「自立」そして「認めてもらうこと」

ふし目は突然やってきました。

2回目の春を迎えて新しい新人が入ってきた途端、今までの辛さが嘘のように、のびのびと楽しく仕事ができるようになったんです。それと並行して、みるみる成果も出るようになりました。

そう、あのときの私に必要だったのは、「自律」と「認めてもらうこと」でした。

周りの期待を感じれば感じるほど、言われたとおりにやらなくちゃ!と、自分とは正反対のタイプである先輩のやり方を一生懸命真似しようとして、うまくいかずに消耗。
先輩が心配して隣で逐一アドバイスしてくれることが、見張られているようなプレッシャーに。さらに「できないヤツだと思われているんだ」と自分を責めて負のスパイラルになっていました。

それが、新しい新人が入ってきて周りの視線が自分に過度に集中しなくなったことで、ようやく「自分で考える」という余裕ができたのでしょう。
自らの役割や仕事のゴールを理解し、自分のとるべき行動を考え、自分なりのやり方で成果を出していく、ということが自律的に行えるようになったのです。
周りも2年目ということでそれなりに信頼して見守ってくれるようになり、それが「認められている」という自信に繋がっていきました。

1年間で私の能力が飛躍的に伸びたわけでも、私のやる気が格段にUPしたわけでもありません。ただ、「自律」と「認められている」という2つを得られただけで、別人のようにイキイキと主体的に仕事に取り組めるようになったのです。

マネージメント=管理ではない

マネージメントというと、どうしても管理することだと思っているマネージャーの方、わたし自身の体験も踏まえて、多くの新人が私と同じような境地にたたされているのかもしれません。

大切なのは、「自律を促すこと」と、「信頼」この2つが、成長につながるものだと思います。

今は成果が出ていなくても、彼らが自分で目標を立て、自分で考えた行動をトライ&エラーする様子を見守り、応援し、困ったときには相談にのる、そんな適度な距離感で「自律」と「認める」環境を用意することが、マネージャーとしてすべきことだと思います。