2016年度の男性の育児休業取得率は3.16%。前年度より0.51ポイント増加し、比較可能な1996年度の調査以来過去最高でした。
女性の育休取得率は81.8%で、前年度より0.3ポイント増加しています。
企業をとりまく現状は?
生産年齢人口は2065年には4500万人となる見込みとなっています。約半数近くもの労働力となる人口が減る日本。
ますます女性の活躍が求められていきます。そして出産・子育てと仕事の両立に対する支援、企業に求められています。
育休取得率は年々あがっている現在。どの企業も女性の活躍支援をしなくては、と思うように変化してきています。
しかし、出産後継続就業率をみると未だに約半数が第一子出産を機に仕事から離れる選択をしています。
改正育児・介護休業法 企業に必要とされることとは
平成29年10月施行の改正育児・介護休業法において、新たに休業についての周知をさせる努力が必要とされています。
休業制度が整っていても、本人が休業について知らずに取得しない場合や、職場が休業を取得しづらい雰囲気のために取得を断念してしまう場合があります。このようなケースを防ぐために、今回の改正において事業主は労働者そしてその配偶者が妊娠・出産を知った場合や、家族を介護していることを知った場合、個別に育児・介護休業について知らせるように努力することが定められました。
そもそもの休業に対する取得者の認知。そして会社側の支援を育休取得者のみならず、社内全体へ認知させること、がまず必要とされています。
育児休業中そして復帰後に必要とされる対応
しかし、果たして育児休業をとったから、ただそれだけで復帰につながるのでしょうか。そして復帰後のモチベーションの維持につながるのでしょうか。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(2015年度、厚生労働省委託事業)。産休・育休からの復帰後の対応をみると、正社員は全体では「今後の職務や働き方等に関する面談を実施」が 46.1%でもっとも多く、企業規模が大きいほど、実施している割合が高い傾向がみられます。次いで「特に行っていない」が 41.8%、「社内で出産・育児している人との情報交換の場を設置」が 5.2%となっています。
有期契約労働者に対する産休・育休からの復帰後の対応をみると、全体では「特に行っていない」が 46.3%でもっとも多いのが現状です。
休業の取得~復帰、復帰後のフォローが重要です。
休業中、会社の動きが分からないことは育児休暇取得者にとって不安につながります。上司からの連絡や社内の様子を伝えるといったフォローが孤立感・不安の払しょくとなります。
また、育児休暇中も上司だけでなく職場のメンバーとコミュニケーションがとる方法があれば、復帰後も安心しては働ける環境づくり、相互の理解が深まります。
復帰後は上司が定期的に面談や声かけでフォローをすることが必要です。また上司以外のメンバーによる支援も必要となります。
制度の整備だけでない取得しやすい風土・環境作り
育児休暇の制度が活用された場合、人事・管理部門、上司が快く休暇を快諾したとしても、実際の業務のフォローを行っているのは取得者の同僚であり、部下です。企業側は取得者そしてそのフォローをしているメンバーどちらもしっかり見ていく必要があります。
休業の取得~復帰、復帰後の取得者のフォローでも上司だけでは進めていけません。
取得者側そしてそれを支えるメンバー相互の理解を常日頃から深めておくこと、そういった風土や環境作りに努める必要があります。
企業にとっての採用におけるメリットとは
採用・求人サイトの多くには、「産休・育休取得実績あり」といったカテゴリーが存在。
また、各企業の制度・福利厚生には「産休・育休制度について」といったことをしっかりと明示しています。
「女性の産前産後休暇、育児休暇の取得はできますか?またその後職場復帰はできるのでしょうか?」こういった質問を人事側に問う学生や中途入社希望者も多いようです。
妊娠・出産をする女性を支援し、会社としても積極的に応援していく。
それによって優秀な女性社員の退職を防ぐことができます。そして、採用・求人活動においても意欲のある優秀な人材を惹きつけることにもつながります。