コロナ禍でリモートワークが普及。オフィスで集う機会が減り、オフィスの在り方が一変しました。 在宅勤務や時差出勤、ワーケーションなど、働き方が多様化し、オフィス不要論や見直しを検討する企業も。
個人事業、副業や兼業、テレワーク、様々なコミュニティやプラットフォームの乱立。契約形態・労働時間量・労働時間帯そして労働する場所は多角化。
先の見えない状況が続く中、会社という後ろ盾がなくとも自身で稼ぐ、自身がキャリアの主導を握る個の時代へと移り変わっています。
そういった中「なぜ組織に所属するのか」、その意味が問われています。
企業が選ばれる時代に
終身雇用制度が崩壊し、年功序列の終焉を迎える今。企業に忠誠を誓えば一生守り保護されるわけではない、と個人は認識しています。また、新型コロナウイルス感染症拡大がよりキャリア観の変化に影響を与えているようです。
事実ビズリーチの調査によると、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、約6割がキャリア観に変化。
うち9割以上が「企業に依存しないキャリア形成が必要」と回答しています。
(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、働き方やキャリア観・転職活動への影響に関するアンケート/ビズリーチ株式会社 参照)
多様な働き方が多くの企業で認められるようになり「個」が重視される中、よりはっきりと「組織に所属する意味」が追求されるようになってきています。
2018年の集計によれば倒産した企業の平均寿命は23.9年で、最も長いのは製造業の33.9年。30年も経過すると経営環境変化に対応する力が落ちてしまうとされ、アップデートは必要不可欠。グローバル展開や新しい事業といった取り組みが増える中、中途採用の動きも活発になっています。
一つの企業に勤め上げ、定年を迎えるというキャリアプランは成立しなくなっています。
このように雇用慣行が変わっている中で、会社は選ぶ側ではなく、「選ばれる側」となっているのです。
発想の転換・採用力の向上
「雇う・雇用する」という発想から、「選ばれる」という発想への転換が必要。優秀な人材が自然と集まる採用力の高い会社となることが求められています。
本当に優秀な人材は他社からも声をかけられるため、内定を出しても結局、他社との競争に負け、候補者から辞退されてしまう場合も。
また、優秀な人材はどのような観点で企業を選択すべきか企業選択の視点もしっかり持ち合わせています。
従業員の能力発揮・キャリア開発できる環境を提供といったことに真剣に考え取り組んでいる企業であるか、挑戦や変化を前向きに捉え組織の進むべき方向性が明確となっているか。採用力の高い会社には優秀な人材がたくさん集まり、そうでない会社には人は集まりません。
どうすれば採用力を高めることができるのか、選ばれる企業になれるのか。より具体的にみていきましょう。
自己実現できる環境整備
組織に所属しなくても副業や兼業、個人事業等様々な自己実現の場が存在する今。会社としても、従業員一人ひとりが自己実現できる環境を作ることが必要です。
テレワーク、ノマドワーク、裁量労働制など、自身のキャリア開発、また生産性向上につながる環境を整えることが求められます。
2020年1月以降の退職本音。転職理由の1位は「年収・待遇」ですが、5位に「コロナ関連」が登場しています。「緊急事態宣言によって外出自粛やリモートワークが進む中、毎日出社しているが手当もなく不安。非常事態でも自分の身を守れる企業に移りたい」と意見も。コロナウイルス感染拡大に対する会社の対応を見る中で、会社の将来や働く環境、非常事態に対する会社の姿勢などに不安を覚えた人がいるようです。
(転職理由ランキング/type転職エージェント 参照)
しかし、給与、勤務時間、休日、本社所在地、事業内容など待遇面で他者との差別化を図ることが難しい場合もあります。うちの業界や会社では無理と断定することなく、個々の状況に合わせて柔軟に対応する、働く選択肢を増やすなど自社でできるところから取り組むことが必要。そういった姿勢を持ち、労働環境を整えることが大切です。
働きやすさだけでなくやりがいも
働きやすさを整えることはもちろん大切。ただしそれだけでなく、自己実現や成長につながる「やりがい」が求められています。
組織から与えられた仕事を言われたとおりにこなせば成果につながり、達成感や貢献を感じられる時代は終わりました。高度化・複雑化した仕事が増える中で「やりがい」を与えることは難しくなってきています。
また、経営を取り巻く環境が目まぐるしく変化している昨今、求められる役割や期待が頻繁に変わることも。予期せぬ異動、あるいは希望していないも配置転換といったことも起きるでしょう。
社員一人一人が主体性を持ってキャリア開発を行えるよう企業側から支援。それぞれの個を理解・尊重し、一人ひとりが働きがいを持ち、個々の能力や個性を発揮し活躍できる環境を提供すること、が大切です。
企業と従業員はパートナー
互いを対等に尊重しあう「パートナー」として共に成長していける存在。会社と個人は共存共栄の関係。
このような関係を築いている企業は、上司は部下の指導を行う立場ではなく、部下の可能性を信じてキャリアを支援する立場に自然となっているでしょう。
従業員のことを事業パートナーとしてみている企業であれば、自然と裁量権が広くなり任せる文化が根付いているかと思います。
雇い、雇われる者としての対立関係ではなく、ともに経営の責任を負う共同経営者として従業員をみる意識が経営者やリーダーには必要です。
共同経営とは、複数の経営者が対等な立場で一緒に経営すること。経営経験、業務スキルや営業スキルなどを互いに足りないところを補い合いながら、相乗効果によって業務を進めます。
信頼関係・結びつきがある、そのうえで仕事ができる。また、主体的に仕事を進められ、自分が成長していける場所だと感じられていることは、やりがいに繋がるでしょう。
まとめ|選ばれる会社とは
働きやすい環境を整備するといった機能的な価値はもちろん、共に信用し信頼し合っているか、やりがいを持って仕事に取り組めるか、が大切。
会社と個人がともに成長の喜びを実感。喜びを実感することができた時、数字を達成する以上の満足感を味わうことができるのだと思います。
選ばれる会社とはどのような会社であるのか。この問いへの「解」が求められています。