忙しい病の管理職から抜け出す~「忙しい」を緩和する行動のヒント~
ここ数年、自分自身が「忙しい」管理職たる人が増えている、と感じます。
「自分も担当業務があるので、管理職の仕事も併せると時間が足りない」
「毎日毎日様々な会議が日中にあるので、自分の仕事は夜やらないと」
「部下はスキル、経験不足なので重要な案件や顧客は任せられない」
「そもそも業務量の割に人員が全く足りない」
これらは、忙しい管理職の方々になぜ忙しいのかを聞くと出てくる典型的な、「忙しい」理由です。
この「忙しさ」が、利益を直接的に生むものであればやりがいも自ずと出て、上昇欲求が生まれさらに利益創出行動へ、という好循環につながるはずです。しかし、そもそもそういう方々は「忙しい」と感じていないか「忙しい」を口には出しません。
管理職が発する「忙しい」には、どこかに少なからず“ネガティブな感情=このままではいけない”という気持ちが入っているように思えてなりません。
ここでは、その「忙しい」状況を少しでも緩和する行動のヒントを挙げてきたいと思います。
“~すべき”を減らす
「忙しい」状況を少しでも緩和する行動のヒント、まず一つ目は。
“~すべき”を減らす。
例えば、
・部下の仕事は全て知っておくおくべき
・担当部門の数値は全て把握しておくべき
・上司が帰るまでは、自分や部下も会社に残っているべき
・上司に質問にすべて答えられるように準備しておくべき
考えてみるとこの“べき”には
会社や組織の守るべきルール(例えば就業規則等諸規定)以外は、その“場面の維持”を目的にやっていることも少なくありません。
・今までの組織慣習をこわさないためにやる
・管理職として自分の体面を保つためにやる
・上長から叱責されないため(評価されたいため)にやる
「場面の維持」のためにやっている “すべき”
その“場面の維持”を目的にやっている、典型的な例をご紹介します。
ある会社の営業管理職の方。
「直接自分が商品を持って行った際に、お客様が大変喜んで頂けました。なのでそれ以降は、休日出勤してでも行ってます。もうかれこれ10年は続いています。」
これは顧客満足行動としては間違っていないとは思います。
ただ一歩間違えると、お客様の喜ぶ「場面の維持」を単に続けているだけかもしれません。
それをやり続けることでお客様の期待(当たり前)のハードルが上がり、時間的に他の業務にしわ寄せが行ってしまいます。
さらに会社としては経費(旅費や時間外手当他)が掛かっていきます。
一番問題なのは、営業管理職としてその行動を顧客満足行動と信じてしまう。そして信じてしまうことで、環境適応やスキル向上ができなくなり、部下の指導・評価にも影響が出てしまう。
想定される副作用がそれこそたくさん見えてきます。想定される副作用=(イコール)、会社発展の阻害要因になる可能性を秘めることにもなり兼ねません。
管理職の「忙しい」仕事の中に、「場面の維持」のためにやっている「~すべき」はありませんか?
是非、1つでも2つでも減らす努力をしてみましょう。
次回以降も、忙しい病の解決方法を考えていきます。

株式会社パーソナルヴィジョン研究所 代表取締役。
1984年神戸大学教育学部教育学科卒業後、株式会社ワールド入社。人事課長、組織活性化プロジェクトリーダーとして、採用・教育・ 配置・海外人事、国内関連会社(約15社)の設立・ 合併人事業務を企画・推進。2000年、人材開発コンサルタントとして独立。主に人事コンサルタントとしては企業理念・人事制度設計、組織風土診断、マネジメントの強化支援を中心に、 キャリアコンサルタントとしてはキャリア開発を基軸とした人材育成の支援、キャリアカウンセリング、就職支援業務を専門領域に活動。 また人事マン育成を今後の課題に掲げて様々な支援に取り組んでいる。
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