Habi*do通信

想像力を働かせる~背景にある想い・プロセスを捉える~

抽象的・概念的な表現の背景や意味を捉えること

仕事始めのクライアントでのお話です。
新年早々でしたが、クライアントのA社にお邪魔して、ご挨拶と共に前年から引き続き課題の打合せを行いました。

人事制度設計の根幹となる、会社のミッションやビジョン、社員に期待する行動規範等を創り上げるためのキーワードとなる言葉。それらを経営幹部の方々とのフリーディスカッションを通じて収集しようということが目的です。

その中で印象的だった会話があります。

笑顔
A社社長が以前、某テレビ番組を見ていた時のこと。

IT業界で時の人となった「○えもん」氏が社長だった頃、出演していた番組での発言。
一人の慶応大学生が、起業したい理由(経営者を目指したい理由)を、「笑顔になりたいから」と発した時に、その「○えもん」氏が「もっと具体的に言わないとダメだ」と叱責したそうです。

A社社長は、「笑顔になる、という言葉には、その慶大生の様々な想いやプロセスが含まれているはずです。それをまず受け留めずに、すぐに具体的でないとダメとは・・・と、思いました。」とおっしゃられました。
本気の「笑顔」が出るためには、一生懸命考え、そして自分の人間性を磨く行動も必要で並大抵のことではない。A社社長は本気の笑顔を出すことは簡単でないことを心底思っているからこそ、そのテレビでの発言が残念だったようです。

抽象的な表現が横行し、何を言いたいのかわからないという状況は困った状況です。それを繰り返す人にはしっかりとした指導が必要です。しかしその抽象的・概念的な表現の中でも、整理しながらじっくり話を聞いていると、「キーワード」的なものは存在することもしばしば。

何を意味しているのか。
背景には何があるのか。
それらを考える・想像力を働かせることも、管理職にとって重要な仕事の一つだといえるでしょう。
そして抽象的な表現を構成する要素は何なのか、を導く「質問」をしていくことが重要なのです。

状況や表情を想像すること

また角度を変えた例として。

評価者トレーニングの場面において管理職の方々に対して、
「売上目標○○万円が達成できた際には、お店や職場の状況はどうなっているか考えたことはありますか?」と投げかけることがあります。

達成

お客様の状況はー。
売場・職場の状況はー。
スタッフの状況や表情はー。
数字や実行手段を追いかける、そして「やれた」「やれなかった」の検証だけで、本当の顧客満足の売場・職場・状況が作れるのでしょうか。

売上を達成した際には、お客様、お取引先、スタッフ等関係者はどのような状況や表情になっているのか、を想像すること。
それに目標数値等を併せて考えることで、そのためには何をしなければならないのか、の様々な実行手段のバリエーションを導き出すことが可能となります。
そして何より、スタッフのやる気を引き出すことができるものです。

新年早々からスタートダッシュでお仕事を進めておられる方々もたくさんおられることと思います。
まだまだ政治や経済状況は混沌とし、先行きが不透明な時代が続きそうです。だからこそ、皆様の行動力、突破力を駆使したご活躍が重要となっていきます!