Habi*do通信

アンガーマネジメント~怒りをコントロールする~

「アンガ―マネジメント」
日本ではまだあまり馴染みのない言葉です。

怒る女性

直訳すれば、怒りの感情をコントロールする、といった感じでしょうか。

先日、一般社団法人日本アンガ―マネジメント協会主催の「アンガ―マネジメントファシリテーター養成講座」に参加して来ました。
「コーチング」をはじめとするコミュニケーションスキルが上司・管理職にとって武器になるということで、企業研修に取り入れている会社も多いと思います。

実際に私も、企業研修をさせて頂く際には、そのエッセンスを演習の中に入れることもしばしば。
日常の指導やマネジメントにはコーチングはとても大切なスキルですが、現実的にはそれだけでは対処できないこともあり。。。

効率やスピードが求められ、さらに成果を求められる管理職にとって若いころは何でもなかったことでも「イラッとくる」出来事や、「イラッとくる」部下・後輩の行動、「イラッとくる」家庭生活、も少なからず、あるかと思います。

「怒り」の性質

怒りの性質の一つとして、「高いところから低いところに流れる」ということがあります。
すなわち「役割の高い人、発言力の大きい人、専門性の高い人、情報量が多い人」
から「役割の低い人、発言力の小さい人、専門性が低い人、情報量が少ない人」に流れる、
というものがあるそうです。

部長が課長に「今月の売上なんでこんなに低いんだ!」と怒ると、その課長が係長に「何で先に俺に資料を見せないんだ!」と怒る。すると係長は係員に「もっと早く資料を作成しろ!」と怒る。
・・・と、怒りは高いところから低いところに伝播する、ということです。

そうなると組織に掛るストレスも次第に大きくなり、モチベーションにも影響して、成果創出のブレーキになってしまいます。このような経験、キャリアの長い方なら1度や2度はお有りかと思います。

アンガ―マネジメントは「怒り」の正体を知り、「怒り」の性質を理解し、何に怒るのか、どの程度で怒るのかという「怒り」のモノサシを安定させ、自分の怒りの感情に責任を持つ、ということが軸になっています。

またその対処法は、皆さんが今まで学んできた様々なコミュニケーションスキルが大いに活かせます。

私たちを怒らせるものは何?

アンガ―マネジメントのエッセンス、「私たちを怒らせるものは何?」をお伝えしようと思います。

いつも始業時間ギリギリに出社する新人の田中さんに対して怒っているあなた。
何に怒っているのでしょうか?

  1. 田中さんに
  2. ギリギリにくることに
  3. 変えようとしない態度に

一見するとどれも正しいように思えますよね。。。

実はその正体は上のどれでもなく、あなたが持っている「べき」なんです。「べき」とは理想、こうあるべきという理想です。
「新入社員なんだから誰よりも早く来て当たり前、何様だと思っているんだ!」
理想と現実のギャップに「イラッと」するんですね。

恐らく田中さんからすると、始業時間には間に合っているんだから、という理由があります。
怒れば、あなたはスカッとするが相手は「何で?!」となる。怒らなければ、相手にストレスは掛からないが、あなたはストレスを抱える。
こんな時は、お互いの価値観を擦り合わせて、どこまでが許容範囲なのかを決めることです。早く来るとは何分前なのか? その合理的理由は何なのか、を。

ここで重要なのは「擦り合わせ」です。お互いに黙っていれば永遠にその距離が縮まりません。

受講した講座での演習でこんなことをやりました。

①自分の「べき」と全く同じ
②少し違うが許容範囲・許容可能
③自分の「べき」とは違う、許容できない

講師がいうものは①②③うちどれなのかを教えてもらいます。

白いご飯に合うものは①②③どれか指差してください。
お好み焼き・・・関西出身と関東出身で①と③に分かれました。
おでん・・・お酒を飲む人と飲まない人で①②③に分かれました。
シチュウ・・・若い人と年配の人で①②③に分かれました。
等々自分の「べき」と違う人が当たり前のように存在することがここからも分かります。

最近「イラッときた」ことがあれば、是非当事者と擦り合わせをしてみてください。
案外、「知りませんでした、次回からそうします」と受け入れてくれる案件もあるかと。

健全なチーム運営の為に小さなストレスは溜めない努力―管理職には必要ですね。