Habi*do通信

なぜ日本人は英会話に苦戦するのか〜新しいスキルを習得する基本プロセス〜

こんにちは、マークです。
新年を迎えて、今年の抱負を新たに決めた方も多いのではないでしょうか。

英語の勉強やゴルフの上達、料理のスキルアップなど、新しいスキルを身に付けたいという目標を立てる方もいらっしゃるかと思います。人生や仕事において必要なものもあれば、ただ楽しむためのものもありますよね。

今回は、英語を母国語とする私が、「なぜ日本人が海外で英会話に苦戦するのか」を、スキル習得のプロセスに注目して解説したいと思います。

スキルによって違う、習得までの難易度

スキルによって、学習や習得の難易度は次のように様々です。

  • 学習も習得も簡単なもの
  • 学習は簡単でも簡単にはマスターできないもの
  • 学習は難しくても、一度基礎が身に付けば少しずつ上手くなるもの

また、習得者が少ないスキルは学ぶことが難しいといえますが、貴重である分、学ぶ価値は高いといえますし、習得した後は独自の個性として周囲と差別化されるでしょう。

私たちが「難しいスキル」と表現するとき、「学ぶことが難しい」ということを意味します。なぜなら、学べば習得できるわけではなく、少しずつ上手になるにしたがって、そのスキルが簡単や自然になるからです。

3つのまなび「勉強」「練習」「トレーニング」

New Skills Training

習得までの難易度が違っても一つのスキルが身に付くまでのプロセスは基本的に同じで、「勉強」「練習」「トレーニング」の3つを実践していくことになります。重複することも細分化される場合もありますが、いずれにしてもこの順序で行いましょう。それぞれのプロセスについて簡単に説明します。

1つめの「勉強」とは、読書や動画の視聴、経験者から話を聞くことなどにより、外部の知識を自分のものとして取り込むプロセスです。知識を得たからといって実践できるようになるわけではないものの、何をすべきか知らずにスキルを習得することはできません。

次に「練習」は、実際に試してみた結果を検証することで仕上がりを調整する事です。「試す➞オブサーブ➞修正➞試す」というサイクルをフィードバックループといいますが、一般的にそのフィードバックループを速く繰り返せるほど効率よく練習ができているといえます。

最後の「トレーニング」は、スキルを確実に身に付けるため、様々な負荷をかけて厳しい環境で実践してみることです。例えば、テニスの練習をしていて晴れの日に10回サーブが入れば、風が強いや寒い日に同じことをしてみましょう。また、プールで平泳ぎを練習して50mを泳げるようになったら、次は同じ距離を1分半以内でという時間制限を設けたり、海で泳いだりしてみましょう。

練習とトレーニングの違いはわかりづらいですが、練習はフィードバックループで1つのアクションを身に付けることで、トレーニングはどのような環境でも安定してパフォーマンスを発揮できるように負荷を加えることです。まとめると、最初に勉強して全体像を見ながら知識を習得し、フィードバックループでミス無しで行えるよう練習する。問題なくできるようになってきたら、より速く、より重く、好ましくない条件で、などストレスをかけてスキルアップを目指しましょう。

3つのステップは常に順序どおり行う

Training、Motivation

スキル習得に至るまでの3つのステップを説明しました。大小どの過程においても、順序が変わることはありません。意識して取り組んでみてください。以下に、いくつかの例をご紹介します。

初めてのボーナスでゴルフセットを買いゴルフをはじめようと18ホールのコースをまわるのは、「勉強」と「練習」を飛ばして「トレーニング」だけしていることになります。間違えた方法でも少しずつ進められるでしょうが、きちんとゴルフができるようになりませんし、何年後かに腰を痛めることになるでしょう。

また、カンフー映画を何度も見ただけでは「勉強」しかできていないので、初めての喧嘩で大変な目に遭うでしょう。その後「練習」して空手の全ての型を完璧に覚えても、ストレスを掛けた「トレーニング」をしていなければ、実際に闘う局面では緊張して全てを忘れてしまうでしょう。

ヨガを始めて4ヶ月経った主婦がインストラクターの資格をとろうと思っても、いきなり上級者向けのトレーニングすることはできません。基本的な「勉強」も「練習」もして初歩的なポーズや呼吸方法がわかっていても、インストラクター向けの「勉強」や「練習」ができていない状態では、コントロールできない過度なストレスがかかるためです。レベルに応じたステップを踏みましょう。

確実に身に付け自分のものにするために

勉強、練習、トレーニング

「勉強」➞「練習」➞「トレーニング」の順序を守りましょう。実際に学ぶ局面では複数の段階・項目に挑戦することになりますが、今自分がどのステップを実践しているかを常に意識し、そのステップにおいて必要な事に集中しましょう。
「勉強」ではきちんと内容を理解しているかどうかが重要で、まだ実践できなくても問題ありません。「練習」ではフィードバックループで1つのアクションが正しくできていることを確認しましょう。ここではまだ応用する必要はありません。「トレーニング」では、きちんと練習したことのみ実践します。練習できていないことをいきなり実践しないよう注意してください。

ずっと練習だけしていても、トレーニングしなければ身に付きませんし、実践したいからといって勉強や練習なしに本番に取り組むことも避けましょう。また、同じスキルでも新たなことにチャレンジする際は、一度前のステップに戻って確認することもおすすめです。

なぜ日本人が英会話が苦手なのか、お気づきいただけましたか?それは、英語の教科書や授業で「勉強」し、宿題や試験で「練習」をしても、「トレーニング」として実践する機会がないからです。英語を身に付けたいなら、負荷をかけるために英語を話す人と実際に会話してみましょう。サッカーが好きなら英語圏の方とフットサルをやってみてはいかがでしょうか。練習した英語を試してみるとすぐスキルアップになりますよ。