Habi*do通信

ワークプレイスラーニングとは?学びは現場で7割以上が起きている!

ワークプレイスラーニングって何?と言われることがあります。直訳すると「職場での学習」で、まさしくその通りではあるんですけれど、ただ「職場でする学習」という言い方をすると、ちょっと異なります。

どちらかといえば、より自然なかたちで、職場での実践による様々な経験や、他者との関わり合いや、相互の学び合い、スキルの伝承などが行われたり、知識としての学びを得たりするようなイメージと私は考えています。

東京大の中原淳先生が以前、ワークプレイスラーニングの定義って何?というブログエントリーの中で、いくつかの定義の中から、

個人や組織のパフォーマンスを改善する目的で実施される学習その他の介入の統合的な方法(Rothwell & Sredl 2000)
というものが、最も考えに近いと述べられています。

ワークプレイスラーニングは、この70%の「現場の学び」にも注目する概念なのです。そして、この「現場の学び」も支援しようとする。これまで「現場の学び」は、現場の人間まかせにされ、多くの場合は、「放置プレイ」を招いていたのですね。ここも何とかしようと。

引用元: NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 – 大人の学びを科学する: ワークプレイスラーニング (Workplace Learning)とは:定義編.

座学研修やeラーニングなどによる、いわゆるフォーマルラーニングによる学びは30%といわれています。残りの70%は実際の経験からというもの。 McCall(2000)

現場でチームで学ぶ

これまで現場の学び=OJTとされてきましたが、それだけだと行き届かないことが多いですよね。OJTという名のついた放置プレイ(!)は確かによく聞く話!
OJT(オンザジョブトレーニング)。職場の上司や先輩が、部下や後輩に具体的な仕事を与えて、意図的・計画的・継続的に指導し育成していく活動。実態は見よう見まねで仕事をとりあえずやらせておく、上司や先輩自身に指導する意識がない・・・といった声もよく聞かれます。無計画で一時的なOJTも多いようです。

職場を離れての訓練であるOff-JT( オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)。
教育研修やワークショップ、セミナー受講などは、きっかけづくりとしてや、気づきを得るという意味でとても重要な学習機会です。ですが、それだけで行動変容を起こし、継続して成果を残せる人というのは、ほんの一握りではないでしょうか。
多くの場合、その場だけモチベーションが向上する!翌日には平常に戻っているとか、もって1週間。ほとんど3日坊主。よくある話です。
せっかく良い学びを得たものを、仕事場でも活かしてより実践的な学びに変えていくことが、結果として生産性向上に結び付くはず。それを実現するためには“学習その他の介入の統合的な方法”により仕組みづくり、環境づくりをしていくことが求められます。

ワークプレイスラーニングの実現は、組織開発・組織活性化と「≒」かもしれません。教育研修や講義での学びをもっともっと効果的にするものです。決して大げさに大規模に取り入れないまでも、事業所単位、職場単位でこういった環境をつくることも大いにアリだと思います。

ワークプレイスラーニングは従業員のエンゲージメントを高める

学習デザインの専門家であるMark J. Rosenberg博士は、学習をより仕事に近づけることの必要性から「eラーニングを越えて」という概念図を用いて、理想的なブレンド型学習を提案しています。

ワークプレイスラーニングの概念図

現場におけるOJTに加え、継続的にお互いが学び合うためのオンラインコミュニティが重要です。そして、各種情報データベース(教材等の学習コンテンツを含む)へ容易にアクセスでき、メンターやコーチによる支援を受けられる状態をつくることで、組織と個人の成長を促し、生産性の高い企業体となります。

従業員が日常的な業務の中で実践的に学びを活かすことや、学んだことをコミュニティ上で他者に教えるという行為そのものが学習定着を向上させます。

実践を通じて達成体験を積むことで自信がつきます。
日々の実践や学びの共有といったがんばりを同僚、上司、メンター・コーチなどの支援者から承認してもらうことで信頼感が醸成されていきます。
周囲からもらえるフィードバックはさらなる成長につながります。

業務のクオリティが上がっていくことは言うまでもなく、所属している組織内で成長を実感できることや周囲との人間関係づくりをできることで「エンゲージメント」も向上します。

生産性の高い企業体への第一歩です。

離職率6割がゼロに!早期戦力化と定着化を実現した育成プログラムとは?

特に昨今のビジネス環境においては、グローバル化、マーケットの複雑化、ビジネススピードの高速化など、めまぐるしく変わる様々な変化への対応が求められています。

こんなビジネス環境にあって、組織の目標達成・成果のためには、

自ら考え、行動しながら答えを模索する力

が求められています。

そのためにも、現場で学び続けられる環境・場・風土づくりをしていくことが必要になるでしょう。