Habi*do通信

4M分析~実際の災害発生事例からわかりやすく方法をご紹介~

労働災害の再発を防止するためには、人的・物的要因の把握にとどまらず、その背景にある管理的要因における本質的な原因の究明を行い、それに基づく本質的な対策を実施する必要があります。

災害調査、分析、対策
(1)事実の確認
①調査の幅を広くとる⇒4Mの視点で
②事実は客観的・具体的に
(2)問題点の摘出 ①基準外れの事実を摘出
(3)原因の確定
①直接原因(不安全状態、不安全行動)と
間接原因(管理的欠陥)を明確に
②表現は具体的に⇒対策が具体的になる
(4)対策の樹立
①影響の大から優先順位を決めて
②具体的に「何を」「どのように」「誰が」
(5)実施計画 5W1Hで具体的に表現

しかしながら、労働災害の発生状況をみると、災害が発生した場合に、その管理的要因まで追究した対策がなされないために、同様な原因による災害の発生が繰り返されているケースが多くあります。
また近年、派遣労働者による災害や新たな機械設備・化学物質での災害、技術の伝承不足に起因する災害など、以前では考えにくかった労働災害が数多く発生しています。

事故や災害の原因分析や対策検討の要因を次の4つのジャンルに整理する事によって、原因の本質を捉えやすくなります。4M分析と呼ばれます。
要因をあぶり出す際に意識されるのが、4M と呼ばれる要素です。
Man = 人的ー不安全行動
Machine = 設備・物的ー不安全状態
Media = 作業方法・環境
Management = 管理
M から始まる英単語で表現されます。

今回はとある災害の発生を4Mの視点から分析してみます。

災害発生の状況

押出し機から押出された成形シートを定寸に切断する作業で切断カッターで指を骨折、切創した。

4M分析

Man
(人的ー不安全行動)

考慮すべき事項 発生要因(具体的内容)
・危険な行為
・手順/規律無視の行為
・共同作業場の行為
・職場の人間関係
・不安全な姿勢
カバー内に手を入れたまま切断刃を降下させた。
カバー内に手を入れて切断刃を操作しないとの禁止事項を守らなかった。他の人の仕事のやり方には口を出さない職場雰囲気であった。
カバーを通して手元がわかりづらい姿勢でボタンを押した。

Machine
(設備・物的ー不安全状態)

考慮すべき事項 発生要因(具体的内容)
・取り扱い物
・機械設備の欠陥・安全装置/保護具の欠陥
・本質安全化の不足・点検整備の不足等
最後部の切断のために手を添える必要があった。
刃の降下部に手を入れたまま刃の下降ボタンを押せる構造であった。
カバー取り付けにより刃の降下する部分が判りづらい構造であった。
カバー開口部から手が入る構造であった。
カバー開口部から危険源に手が届く構造であった。
最後部のコンパウンドを定寸に切断できる構造でなかった。コンベアに逆転機能なし。
危険源と安全カバーの形状寸法、安全ロック等の検討不足であった(短すぎる、上蓋が開く)。

Media
(作業方法・環境)

考慮すべき事項 発生要因(具体的内容)
・作業情報の不適切
・作業方法の不適切
・作業空間の不良
・作業環境条件の不良など
禁止事項が明確に表示されていなかった。
最後部のコンパウンドの定寸切断法が明確に定められていなかった。

Management
(管理)

考慮すべき事項 発生要因(具体的内容)
・管理組織の欠陥
・作業手順の不備/不徹底
・作業工程計画の不良
・教育訓練の不足
・指導/監督の不足
・適正配置の不十分
・健康管理の不良など
***作業は派遣社員に任せており、***として細かい作業内容まで把握してなかった。作業前の事前検討、最後部の処理に対する危険予知活動が不足していた。
標準的な作業手順を全作業員対象に教育訓練されていなかった。
挟まれ巻き込まれ危険性とその対応についての教育が不足していた。
管理監督者が通常の作業内容を把握していなかった。
作業開始後、監督者(指示者)が作業状態を確認していなかった。
経験が2年〇か月あるとのことで作業をすべて任せていた。

まとめ

4M分析をはじめとした分析をおこなうことは問題の真因を特定するのに非常に有効です。分析の過程において、自分たちを取り巻く環境や状況について「振り返り」を行う貴重な機会ともなります。
分析の目的は災害の再発防止のためであることを忘れずに進めていきましょう。

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