日本全国、一斉にテレワークが広がりましたね。これまでテレワークを行っていなかった企業では、テレワークを実施できるための環境整備、ルール作りに奔走されていることでしょう。
こうした環境整備やルール作りももちろん大切なのですが、次に目を向けなければならないのは、テレワークで働く従業員の”自律”です。
みんなが勤務するオフィスで働くのとは違い、管理の目が行き届かず、同僚からの視線もない自宅での勤務。しかも従来の業務がままならずにいると、ぽっかりと時間が空いてしまったり・・・なんてこともあるでしょう。そんな中で必要なのが、一人一人が自分を律し、自分で考えて行動できる”自律”なのです。
テレワークを推進しながらも、組織としての一体感を保ち、それぞれが担っている業務をモチベーション高く進めていくためには、”自律”が欠かせません。自律的に行動できる人なのか、そうでない人なのかは、このテレワーク期間中に大きな差となって露見するでしょう。また、この自律的に行動できる人が組織内にどれくらいいるのか?その比率によって、組織としての力が大きく差を空けられる結果となることは避けられないでしょう。
では、自律的に行動できる人をどう増やせばいいのか?まずは、できる人、できない人、それぞれの特徴から見ていきましょう。
自律的に「行動できる人」の特徴
自律的に行動できる人にはどんな特徴があるのでしょうか?
- 自分の業務の目的(目標)と自分の役割が明確に理解できている
- 自分がやるべきこと、タスクがわかっている
- 必要に応じて、適切に人に助けを求めることができる(報連相ができる)
一つずつ見ていきましょう。
1.自分の業務の目的(目標)と自分の役割が明確に理解できている
何のためにやっているのか?、またその目的(目標)のために自分がどんな役割を担っているのか?が理解できている人は、仮に状況が変わっても、その「目的」と「役割」を軸に、自分のやるべき業務や、とるべき行動がおのずとわかります。1から10まで指示を受けなくても、自発的に行動し、目的(目標)達成のために着実に歩みを進めることができるでしょう。
2.自分がやるべきこと、タスクがわかっている
1.で目的や役割がわかっていても、具体的に何をすればいいのか?タスクがわかっていなければ行動できません。日々、自分のやるべき行動をタスクとして自覚し、一つ一つを着実に実行していくことで、具体的な自律的な行動へと向かっていくことができます。
3.必要に応じて、適切に人に助けを求めることができる(報連相ができる)
自律というのは、何も一人で全て完結することを指しているのではありません。むしろ、必要に応じて人の助けを借りることができることは、自律に欠かせない要件なのです。自分の役割や業務を遂行する上で、適切なタイミングで報告、連絡、相談をして、上司や同僚、チームと連携しながら仕事ができることこそが重要だと言えるでしょう。
自律的に「行動できない人」の特徴
では一方で、自律的に行動できない人にはどんな特徴があるのでしょうか?
- 自分の業務の目的(目標)と自分の役割がわかっていない
- 自分がやるべきこと、タスクを意識せずに場当たり的に仕事している
- 人に助けを求めない(報連相をしない)
まさに、自律的に「行動できる人」の逆ですね。普段ならそれでも、周りが適切にサポートしたり軌道修正を促したりして、なんとなく仕事は回っていたかもしれませんが、テレワークとなると途端にこういった人は、仕事が立ち行かなくなります。業務の遅延や、ミスやトラブルが発生しやすくなったりといった可能性も高まるでしょう。
特に3.人に助けを求めない(報連相をしない)、は、多くの中堅以上の従業員にみられる傾向かもしれません。ある程度、自分ひとりで業務を遂行できるため、誰とも情報を共有せず、「成果を出せば文句はないだろう」という思考でいる人も少なくありません。しかし、テレワークなど離れ離れで不測の事態の中で業務を行う際に、重要になってくるのはチーム力です。適切なタイミングでの細かな報連相が、結果としてチーム全体のパフォーマンスを高めるのだということを、今一度認識する必要があるでしょう。
自律的に「行動できる人」を増やすためのヒント
では、自律的に行動できる人をどうすれば増やすことができるでしょうか?
一人一人の自律を促すには、もちろん意識改革も必要ですが、仕組化できる工夫もたくさんあります。ここでは、3つのヒントをお伝えしたいと思います。
- オンライン1on1などで、業務の目的(目標)と役割を明確にし、見える化する
- 日々のタスクを書き出す習慣を作る
- 一人一人の業務状況を見える化する(例:週報告の内容を工夫する)
1.オンライン1on1などで、業務の目的(目標)と役割を明確にし、見える化する
そもそも何のための仕事なのか?自分が担っている役割は何なのか?を、1on1などで個別にしっかり話をして理解してもらいましょう。様々な便利なツールを活用すれば、テレワーク中でもオンラインで面談は可能です。また、それをその場限りにせず、普段目にする場所や、いつでも確認できる場所に見える化しておくことも重要です。
2.日々のタスクを書き出す習慣を作る
一日のはじめに、まずは今日自分が取り組むべきタスクを書き出すという習慣を支援しましょう。朝、タスクをメールやコミュニケーションツールを使って投稿することをルール化するのもいいでしょう。書き出すことで、その日一日のやるべき行動が明確になると同時に、羅列して見ることで優先順位を意識して業務を行いやすくなります。また、メンバー同士でそれを共有することで、互いに業務をサポートしあうこともでき、業務負荷が偏っていないかのチェックにもなります。
3.一人一人の業務状況を見える化する(例:週報告の内容を工夫する)
前述の、日々のタスクを共有する案にも通じますが、一人一人の業務状況を見える化することで、自然と報告・連絡・相談が行いやすいチーム環境を作ることができます。例えば、1週間のふりかえりを週報告という形で、メールやコミュニケーションツールを使って共有してもらうというのは、負担も少なく効果が大きいのでおすすめです。
この週報告の効果を高めるためのコツは、①うまくいったことや進捗したこと・うまくいっていないことや改善したいこと、の2点を報告してもらうこと、②報告に対してネガティブな反応は返さないルールを徹底すること、の2つです。ポジティブなこともネガティブなことも、率直に自分の状況を共有することができる安心感をチームの中に作りましょう。
いかがだったでしょうか?先の見えない時代だからこそ、変化に耐えられる柔軟な組織づくりが求められています。そのためにも、自律して行動できる人材を一人でも増やしたいですよね。3つのヒントを参考に、ぜひ取り組んでみてください。きっと組織の力をグンと強くできるチャンスになります。