新年が明け、仕事に家事に勉強にやることはたくさんあるのに、なかなかやる気が起こらない・・・そんな方もいらっしゃるかと思います。
休み明けの憂鬱感を感じる時期だけに限らず、やり始めてしまえばすぐに終わることなのに、やり始めるまでに時間がかかってしまう。その結果、終わらせることができない、終わらせるまでにすごく焦ってしまう・・・そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。
今回は『やる気を出すにはどうしたらいいの?』ーにお答えします。
やる気を高めるには
そもそも物事に取り組む際、成し遂げたい・目標を達成したいと思ったとしても失敗を恐れて、取り組むこと自体を行わない、あきらめてしまうこともありますよね。実は子供のころから育まれている動機が関係しているのです。
子どものころ、テストで良い点数をとったり工作・絵や作文で賞を貰ったりして、親や先生・周囲の人から褒められ嬉しくなった経験ーありませんか。やりがいのあることを成し遂げたいという動機を成功動機といいます。成功動機とは、子どものころからの経験を通して育まれる、成功したい・物事を成し遂げたいという動機です。周囲から褒められ嬉しくなるといった成功経験の積み重ねにより成功動機が育まれていきます。
また子どものころ、テストで悪い点数をとったり、みんなの前で失敗して笑われたりしてつらくなった経験ーありませんか。失敗を避けようという動機のことを失敗回避動機といいます。失敗回避動機とは、子どものころからの経験を通して育まれる、失敗しそうなことは避けたいという動機です。失敗をして辛い経験を重ねることで、失敗しそうなことはしたくないという失敗回避動機が育まれていきます。
アメリカの心理学者ジョン・ウイリアム・アトキンソンは、人は全員「成功動機」と「失敗回避動機」を持っており、課題を前にした際に成功達成要求が失敗回避要求より強いと、その課題を乗り越えるべく挑戦していくのだと考えました。
達成動機=成功動機-失敗回避動機
成功動機を高める、もしくは失敗回避動機を低くすることが達成動機(やる気)を高めることにつながります。
では、成功動機を高める、失敗回避動機を低くする、にはどうすればいいのでしょうか。
やる気がでる目標の立て方とは
アトキンソンは小学生たちを集め輪投げをさせ、実験を行いました。輪投げをする前に、成功すると思う距離と失敗すると思う距離を聞き、どこから投げるかは自分で決めるように言いました。
子どもたちが一番多く投げたのは中間。半分の確率で成功すると思われる場所だったのです。
難しすぎる、失敗するであろう距離で挑戦する子どもは少数。
簡単すぎる、成功するであろう距離で挑戦する子どももまた少数だったのです。
失敗するとわかっている目標でもなく、成功するとわかっている目標でもない。
実はここが一番やる気の出る地点なのです!
成功動機の高い人:成功する可能性が50%に近いとき、やる気が出る。成功する可能性が0%や100%に近くなると、やる気が起きなくなる。
失敗回避動機の高い人:成功する可能性が0%や100%に近いとやる気が起きる。50%に近いとやる気が起きない。
成功率50%の目標を掲げると、人はやる気が出るということになります!
確かに輪投げを近くから投げる場合は、目標を簡単なところに設定している。また、遠くから投げる場合には、実現不可能な大きな目標を掲げることでできなかった時の言い訳にして逃げようとしている、といったことが考えられます。
確実に失敗するとわかっている目標だけでなく、確実に成功するとわかっている目標も取り組みにくいということです。簡単すぎても難しすぎてもだめだということです。ほどよく難しいと感じている、それこそがやる気が高まることなのです。
やる気を出すには、無理に大きな目標を掲げるのではなく、成功する可能性50%を目指して行動することが大切です。
ご褒美をうまく利用すること
また、アトキンソンはやる気の強さは次の方程式によって導くことができると言っています。
やる気の強さ=達成動機の強さ×主観的な成功確率による課題の魅力×成功報酬
他者からの称賛やご褒美。成功動機にプラスがあるとモチベーションが高まるのです。やる気が下がった際には、成功報酬を思い出すこと・意識することです。
自分にとってプラスだと分かっていることでも、なかなか今までの生活や習慣や意識を変えることは難しいこと。ダイエットすることで代謝をスムーズにし疲れにくい体を作り出したい、病気を防ぐためにも必要、とわかっていても続かない。
過度なご褒美は逆効果かもしれませんが、ダイエット中であってもプルーンやカカオ70%といったチョコレートを採り入れてご褒美を設定してみる。お気に入りの服を見つけてわざと小さいサイズを買ってみる。そうするとやる気が出てくるはずです。
また友達や家族、仲間からの称賛を得ることもやる気につながります。Facebook、ツイッター、インスタグラムといったSNSを利用して、多くの人から自分の頑張りを認めてもらうこともいいかもしれません。
達成動機が低いものもご褒美をうまく利用することが大切です。
人はつい「●●しかできなかった」「●分しか頑張れなかった」と悪いほうにとらえがちです。逆に「●●もできた」「●分も頑張れた」とスモールステップごとに報酬を与えることは非常に効果的なのです。
また、「これが終わったらスイーツを食べる」「●時まで頑張ったら買い物に行く」といった時間を制限して報酬を設定することで、作業の効率を上げることもできます。
まとめ
やる気があって失敗を恐れないということは、ただただ何も考えずにやればいいということではありません。
無謀なチャレンジをして失敗を目指すのではなく、努力を惜しまずに一つ一つの目標を着実にクリアし前に進むということです。
やらなくてはいけないのにやる気が起きない。
やらなくてはいけないことはとても簡単なこと、とても難しいことになっていませんか?まず目指すところをほどよく難しいところに設定し行動に移してみることが大切です。
プライベートにおいても仕事においても、目標を立てる際、行動に移す際の参考にしていただければ幸いです。