Habi*do通信

意識高い系だけじゃない、私にもできる「イノベーション」

イノベーションとは英語の「innovation」、いわずと知れた「革新」という意味を持つ言葉です。

はじめは技術革新という意味で使われていましたが、昨今では一般的なビジネスシーンでも、よく聞くようになりました。

ただし、こう思っている方も多いのではないでしょうか。「イノベーションを起こせ、とかいうけど、僕たち末端の会社員には無縁のことだよね」「イノベーションって、意識高い系の人が口にしているだけじゃない?」
その気持ちも分かります。でも、イノベーションって、そんなに敷居の高い言葉でしょうか。
スマートフォンたとえば、モールス信号などの「電信」からスタートした「通信手段」は、「固定電話」へ。そこからさらに「携帯電話」になり、わたしたちが手にする「スマートフォン」へと変化しました。このそれぞれの段階で「イノベーション」が起こり、多くの人の働きの上に成り立っていると思うと、「イノベーション」も他人事ではありませんよね。

イノベーションは、案外わたしたちの身近にありそうです。

「イノベーション」の定義が変わり始めている

イノベーションという言葉は技術革新の枠を超え、サービスやマーケティングなどの分野でも使われる機会が増えました。このときのイノベーションが意味するのは、「新しい価値観」やそれに付随する「サービス」です。そして、イノベーションの定義には「既存のやり方を新しくする」という考え方や心構えも含まれるようになってきました。社会変化によって、イノベーションが求められる背景も変化するのです。

「画期的な新製品→大ヒット!→その製品を改善→さらなる改善(繰り返し)」というサイクルで利益を得ることができる時代は、終わりを告げています。なぜなら、時間をかけて新製品を開発しても、ライバル社でもすぐに似たような商品が販売されるからです。「時間とコストをたっぷり使った優れた新商品のコストを、ゆっくりと回収する」というビジネスモデルは、現代では成り立たないのです。

価値創造にフォーカスしよう

UberEatsたとえば、数年前は聞いたことすらなかった「Uber Eats」や「サブスクリプションサービス」。これらは新しい技術が開発されて始まったビジネスではありません。既存のモノを組み合わせ、新たな価値観が創造され、市場に受け入れられた流れこそが、今風のイノベーションを体現しています。

そう、これから求められるのは、新しい価値観を元にしたタイプの「イノベーション」。もしあなたやあなたの会社が、イノベーションを「新しい技術や製品の開発」だと認識しているなら、それはとうに古い考えです。

今後、少子高齢化が進む日本の経済市場は、縮小する可能性が高いでしょう。時間をかけて新たな技術を開発しても、その技術だけで大きな利益を得ることは難しいですし、もちろん、買う人も減っていきます。製品依存ではない、価値創造タイプのイノベーションは、生き残りの必須条件といっても過言ではありません。

どうやって起こす?あなたの会社のイノベーション

しかし、日本企業ではイノベーションは起こりにくいといわれています。
さまざまな理由があげられますが、
・無難な選択をする人が、結局出世する
・上司に忖度しがち
・多様性の欠如
といった点が思い浮かびます。

では、これからの企業がイノベーションを起こすには、どうすればいいのでしょうか。

そのポイントを3つ、あげてみました。

その1.イノベーション人材を確保する

イノベーション人材とは、文字通り、イノベーションを起こせる可能性の高い人材のこと。従来の価値観にとらわれず、フレキシブルで自由な発想ができる人です。同じ人が同じ場所に所属し、同じ仕事を続けていては、その仕事のプロフェッショナルにはなれても、イノベーションは生まれません。視点が凝り固まってしまうからです。
ダイバーシティさまざまなバックグラウンドを持つ人と一緒に働く環境をつくり、多様な視点を持つイノベーション人材を育成しましょう。ジョブブローテーション制度なども、効果的ですね。その環境に置かれた社員は、自然と会社全体を把握し、新たな視点や価値観を身につけます。新たな人脈構築というチャンスにも恵まれるでしょう。

社内だけにとどまらず、社外の人材活用も視野に入れてみてください。クラウドソーシングなどに集まる専門性の高い人材が加われば、チームへの大きな刺激となります。社内で、いわゆる「ダイバーシティ(多様性)」を推進するのです。

その2.社内起業家を活躍させる

社内起業家社内起業家とは、社内で開発グループを立ち上げ、まるで独立企業のように運営できる人のこと。

企業規模が大きくなると、既存社員の利益確保に走りがちです。結果、社内の調整などに時間が多くとられ、意思決定が遅くなります。もし若手からイノベーティブな意見が生まれても、対応が後手に回ればビジネスの好機を逃すことになるでしょう。そんな状況が続けば、社員のモチベーションも低下してしまいます。

一方、しがらみの少ない社内起業家は、柔軟で自由な発想をタイムリーに出し、実現に向けた行動を起こすことができます。実現に時間がかかるプロジェクトもスピーディーに回し、小さなアイディアを絶妙なタイミングで事業化できる力を持ちます。このような人材が社内にいれば、空気が変化するのではないでしょうか。

その3.会社の仕組みを見直す

まず、さまざまな制度をフレキシブルに活用できる風土をつくりましょう。実力はあれど制約が気になり、十分に力を発揮できていない社員はたくさんいるはずです。凝り固まった制度を変え、社員が自由に意見を出せる雰囲気を目指してください。

また、働き方の自由度を上げて副業を推奨したり、「出戻り転職」を認めるという手も有効です。多様な働き方が選択できれば、社員の視野が広がり、新しいアイディアが生まれるかもしれません。
失敗失敗を許容してくれる環境づくりも大切です。イノベーションには失敗がつきものです。むしろ、イノベーションの多くが失敗です。日本企業には「挑戦せず、失敗せずに過ごしたほうが評価される」という傾向がありますが、イノベーションには何回でも挑戦できる環境が重要。過去の失敗が次の成功につながるからです。失敗しても認められる環境には、果敢に挑戦する人材が集まりやすいというメリットもあるでしょう。

イノベーションは、すべての人と会社に必要

「既存のやり方を新しくする」という意味では、あなたの会社もすでにイノベーションと隣り合わせです。イノベーションが必要なのはベンチャーだけではありません。誰もが聞いたことのある、長く成功し続けてきた老舗企業であっても、同じように必要です。

「多様な人材を集めて新事業部を立てる」といった、既存の動きだけではなく、企業買収や異業種への参入といった経営戦略も視野に入れるべきかも知れません。とにかく、いつまでも同じやり方をしていると、取り残され陳腐化してしまいます。
イノベーションもしあなたが、この記事の内容に「そうそう、そうあるべきだ」と同意してくださるなら。あなたはすでに、イノベーション人材としての潜在能力をお持ちです。

しかし、もしあなたが「そうはいってもうちの会社では無理だし、変化しなくても給与がもらえるならいいや」と思っているのなら。視野を広く持ち、これから数年後、数十年後の会社にどのような変化が生まれているかをイメージしてみてください。危機感は生まれませんか?あなたも、今の会社に新しい価値をもたらすイノベーション人材の種であることに変わりはありません。まずは身の回りから、一歩ずつ変えてみてください。

新しい技術やサービスで、わたしたちの生活や文化は今後もめまぐるしく変化します。
その流れが、とどまることはないでしょう。

あなたも、あなたの会社も、その流れに乗るべきではないでしょうか?