Habi*do通信

ポジティブは、感染(うつ)る。 情緒感染を利用して、チームの生産性を上げる方法

「課内やチーム内、会社組織全体の雰囲気が、何となく気になる」
「部下や同僚が、何となくダルそうで、やる気が見えない」

やる気なし

この「何となく」を感じたとき、どうしていますか?
普通は、そのもやもやをうまく言い表せずに、放置してしまいがちです。

その結果、自分もしくはチーム内のテンションが上がらず、ダラダラと仕事をしてしまっていませんか?
テキパキ動けずに効率が下がっているのに、ルーティーンとして残業してしまっていませんか?

それは、体調やプライベートに問題があるのでしょうか。
それとも、任される仕事量が多く、余裕がないのでしょうか。

もしかしたら、職場の人間関係の問題かもしれません。

実は、ヒトの感情は、感染(うつ)ります。
特に、ネガティブな感情は、あっという間に感染します!
だからこそ、チーム内にポジティブな感情を感染させることが大切なのです。

嫌な気持ち、チームに感染していませんか?

職場でのネガティブ要素の大半は、『人間関係』に起因しています。たとえば、「部下、後輩、同僚とうまくいかない。自分に原因があるのだろうか」という人間関係の悩みは、1日やそこらでは解決しません。

チーム

労働条件はよいはずなのに、社員にやる気が見えず、生産性も上がらない場合は、やはり人間関係に原因があることが多そうです。
危機感を抱いた人がコミュニケーションを取ろうとするも、会話が上滑りし、他人行儀になってしまうこともあります。本音で話せなければ、おべっかに聞こえ、ますます関係性をこじらせてしまうことも…

上記は「よくあること」ではありますが、部下から見た上司が、消耗していて、しんどそうに見える…というのは問題です。立場が上に行くほど大変になるのなら、若手は上を目指さなくなってしまうからです。
さらに、その上司の「しんどさ」がチームに伝染し、チームや課内全体にネガティブな空気が蔓延するという悪循環が生まれます。

ひとりでもイライラしている人がいると、自分もイライラしてしまい、全体的なチームの雰囲気がギスギスする・・・誰しもそんな経験があるのではないでしょうか。

その空気は、最終的には社内全体に蔓延していきます。
その前に、あなたのチーム内で手を打つことが大切です。

情緒感染の原因はミラーニューロンの法則

「ミラーニューロンの法則」をご存知でしょうか。

ミラーニューロンの法則

ミラーニューロンとは、脳内にある神経細胞のひとつ。自分が体験していなくても、相手の行動を見ただけでミラーニューロンが活性化され、自身の脳内で行動を再現する…という法則です。

その脳内の動きが、情緒感染を引き起こします。

Facebookが行った実験では、情緒感染は直接会っているとき以外でも起きると証明されています。タイムラインにネガティブな言葉ばかりが表示されると、自身の投稿にもネガティブな感情を表す言葉が増え、逆にポジティブな言葉が多く表示されると、ポジティブな言葉が増えたという実験結果があるのです。

(ただし、この実験はFacebookからの告知なく行われたので、謝罪が行われたことが知られています)

上記の実験では、「負」の感情がより伝染しやすい・・・という結果も出ています。人間の脳がいかにネガティブな感情に引きずられやすいか…ということが分かりますね。

「負」の伝染は起こりやすい!

機嫌の悪い上司がいるせいで、チーム全体もピリピリしている日。その上司が席を外すと、緊張が一気に解けるということ、ありますよね。

怒る上司

職場には緊張感も必要でしょうが、過度な緊張は続きません。プレッシャーになるだけで、メンタルや体調面にも悪影響を及ぼしかねません。特に「上司」の立場の人は、たとえ言葉を発さなくとも、無言のプレッシャーや同調圧力がチーム内に感染することで、重く苦しい雰囲気を助長してしまいます。

残念ながら、その感染源が自分だと気付ける人は少ないでしょう。しかし「自分もやってしまいそうだな」と感じたのであれば、自分のネガティブな感情を認め、理解した上で、放出しないように対処することが必要です。

もし、部下が攻撃的であったり、やる気がなさそうであっても、それは部下のせいではなく「身近にピリピリしている人がいる環境」のせいかも知れないのです。

上司の立場の人が、チーム全体の雰囲気を把握し、感情感染の原因を取り除きましょう。
原因は、あなたを始め社内の無駄な同調圧力である可能性は、ないでしょうか?

しかし「幸福」も伝染させられる!

情緒感染は、悪いことばかりではありません。
その理屈を知っていれば、幸福をチーム内へ感染させることが可能です。

笑顔

たとえ情緒感染の理屈を知らなくても、いつも笑っている人の周りは、穏やかで幸福度が高いですよね。

幸福度調査によると、友人や周辺の人の幸福度が高いと、あなたの幸福度は6%上昇する可能性があるそうです。

たとえば年収が100万円上がっても2%しか幸福度は上がりませんが、周りが幸福だと6%も上昇し、つまり300万円以上の幸福度に値します。日々幸せと感じている友人が一人増えるごとに、幸せになる確率9%UPし、反対に不幸せと感じている友人一人ごとに7%も減ってしまします。
※出展:「幸福の習慣」トム・ラス(ギャラップ社の調査結果をもとに幸福につながるデータが掲載)

この関係性には距離にも影響され、近くに住む友人ほど影響度が高くなります。
つまり、日々職場で顔を合わせるメンバーは、家族や友人以上に大きい影響を与え合えるのです!

上司は、「ピリピリ」を表に出さないよう、自身の感情をコントロールしましょう。そして、ポジティブな感情を積極的に放出しましょう。それがチーム内の幸福度を倍増させます。

感染マイナス面を予防し、プラス面を利用する!

上司になると、自分の感情を出しても咎められることが減るため、好き勝手に感情を放出しているケースがありますが、それはマイナスです。

「無理やり感情を抑える必要はない」とお思いですか?
確かにそうかも知れません。しかし、義務感で感情を抑える…というより、自分が気持ちよく過ごすことに注力していると、自然にネガティブな感情が減っていき、その結果、周囲によい影響を与えられるようになるでしょう。

最初は、今より少しポジティブに過ごすだけで大丈夫です。
それだけでも環境が整えられ、いつの間にか物事がプラスに働いていきます。

とはいえ、重い相談を聞いたり、取引先とのやり取りで嫌なことがあったり…と、常にプラス面ばかり見てはいられないはず。
しかし、そんなときに部下にキツく当たっていた人も、感情感染の仕組みを思い出して行動するだけで、ネガティブ要因を減らせます。

部下への寄り添い

また、いつのまにかネガティブに感染してしまった部下を見つけたら、気を付けてあげてください。頭ごなしに「どうしてそんなにネガティブなんだ!」と叱責しても、改善はできません。

感染してしまった部下が求めているのは、「寄り添い」です。
相手のネガティブな気持ちに同調するのではなく、理解する立場でいてください。これは、上司部下だけではなく、どの人間関係においても有効でしょう。

まとめ:感染するか否か、自身も環境もコントロール

感情は、風邪やインフルエンザのように感染していきます。

飲食店で働く男性

サービス業でも、店長の接客態度が店全体の雰囲気をつくると言われています。あなたがよく行くお店でも、店長が変わると店の雰囲気が一気に変わっていた!という経験はありませんか?
それこそが感情感染です。上司が部下と人間関係をしっかり作っていれば、短期間でも社内の雰囲気を変えることができるのです。

上司がピリピリしていると、部下は相談しにくくなります。顔色をうかがい、本音で会話できず、否定されるのを怖がって意見が上がらなくなれば、チームの仕事は円滑に進みません。

しかし、皆が感情感染に気を使う習慣をつけると、自身の感情のコントロールにもつながり、関係性を客観視しやすくなります。その結果、チームの風通しは良くなり、結果・成果につながっていくでしょう。

情緒感染を理解して、イライラなどのネガティブさを、ポジティブな言葉や態度に変えるだけで、職場の環境を変えることは可能です。あなたの「幸福」が、メンバーのやる気やエンゲージメントにつながるのです。