Habi*do通信

若者も感じる孤独・孤立感 コロナ禍で求められる企業の姿勢とは

コロナ禍でリモートワークが普及。
国内でも在宅勤務が増えて兼ねてから問題視されていた従業員の「孤独」がより強まってきています。
現在、孤独はこれまで関係がないと言われていた若者にまで広がってきているのが特徴です。

従業員の孤独は会社にとって生産性の低下や離職率の増加など様々な悪影響を引き起こすため、社会全体で取り組むべき課題であります。

会社が従業員の孤独と向き合うため何ができるのでしょうか。

そもそも「孤独」とは、どのような状態か

孤独とはLoneliness。「孤」にはみなしごという意味があり、頼りになる人や心の通じ合う人がおらず寂しい状態であることを指したネガティブな主観です。

これまで他者との同調や協調性を求め続けられた日本ですが、徐々に一人の時間を大切にしようとする動きがあります。
しかしそれはあくまでも個人が能動的・自発的に一人を楽しむ「個独」であり、人々から孤立してしまう「孤独」ではないのです。

誤った認識で孤独こそが美徳だと捉える会社も多く、働く従業員は「人に頼ってはいけない」「寂しさは甘えだ」と考え悩みを抱え込んだ結果、心を病んでしまう人も多くいます。

コロナ禍があぶり出した「孤独」

ひと昔前まで世間では「孤独なおじさん」と揶揄されていたほど、孤独は主に中高年に関する問題でした。しかし昨今のコロナ禍によって若者にもその孤独が広がっています。

テレワークに悩む女性事実、男女ともに20代から30代の若年層の2人に1人が日常において孤独を感じているというデータがあります。さらにそのうちの5割から6割以上がコロナ前に比べて孤独を感じることが多いと回答。
新型コロナウイルス流行に係る生活の変化と孤独に関する調査報告/株式会社野村総合研究所 参照)

ソーシャルディスタンスの徹底や隔離措置により、若者のストレスや不安を解消する場所がなくなり強いストレスを感じるようになったことが原因でしょう。

このように若者も中高年と同じように孤独を感じてしまっているのが現状です。

孤独はもはや、国として取り組むべき課題

年齢に関係なく広がってきた孤独の波は、国単位で取り組む課題となっています。
日本では新型コロナウイルスの影響によって孤独が深刻化していることを受けて、2021年に孤独・孤立対策大臣を任命しました。

孤独は日本だけでの問題ではありません。日本よりも早く孤独対策を打ったのはイギリスです。
孤独によるイギリス経済の影響額は、年間で4.7兆円に上るとされている試算があります。その結果を受けたイギリスでは、2018年に世界で初めて「孤独担当大臣」を任命して孤独に関する独自の対策をとりました。

もはや孤独は日本だけでなく世界で注目されている社会問題と言っても過言ではないでしょう。

従業員が、会社で孤独を感じる原因

会社で起こる孤独の原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

コミュニケーションが不足している

従業員はコミュニケーションの不足で孤独を感じます。
ここでいうコミュニケーションとは「業務連絡を滞りなく行う」という意味だけではありません。

例えば会社内に趣味や人間関係といった個人的な内容を気軽に話せる相手がいないことによるコミュニケーション不足です。特に年齢が離れた上下関係を持つ従業員や、中途採用にて採用された従業員が感じやすい傾向にあります。

相談しづらいポジションにいる

チームをまとめるリーダーは、相談できる相手が周囲におらず孤独になりがちです。

リーダーという立場上、部下に弱音や愚痴を吐くわけにはいかず、ついつい一人で抱え込んでしまい結果的に孤独を感じてしまいます。また役職が上に行くほど上司が限られてくるため、相談できる環境がどんどん狭まってしまうでしょう。

テレワークが多い

リモートワークや在宅勤務といったテレワークの普及も、会社での孤独を感じる原因のひとつです。

自分の周りに人がいない環境は、初めのうちは快適に感じることもあるかもしれません。しかし長く在宅勤務が続くと、働いているのがまるで自分一人だけのような感覚に陥ってしまいます。

テレワークによる孤独感は、コロナ禍が引き起こした現代ならではの原因と言えるでしょう。

孤独が会社にもたらす悪影響とは?

孤独が会社にもたらす悪影響はどのようなものがあるでしょうか。

業務の生産性が低下する

ワークエンゲージメントのスコアを測定する尺度として一般的なのは、「ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(Utrecht Work Engagement Scale、略称UWES)」。この調査によるとワーク・エンゲージメントは、心身の健康、仕事や組織に対する態度、仕事のパフォーマンスなどにプラスの影響を及ぼすとされています。
社員のモチベーションが高く、活発なコミュニケーションを生んでいる職場は、ワーク・エンゲイジメントが高いといえます。

しかし、孤独を感じる人は上司への報告・連絡・相談、いわゆるホウレンソウがおろそかになり業務に支障をきたすことも。そしてコミュニケーション不足によって会社全体の生産性が低下してしまいます。

離職率が上がる

離職率が上がってしまう悪影響もあります。社内で相談できない環境にさらわれ孤独を感じ続けた社員は結果的に辞めてしまうのです。

また孤独というネガティブな思考があると「全て自分でやらなければいけない」という考えを引き起こします。場合によっては無理な残業を繰り返してメンタルを病んでしまい、仕事を続けたくても辞めざるを得なくなることも。

離職率が高いとなげく会社は、もしかすると従業員の孤独と向き合えていない可能性があります。

「職場の孤独」という課題、企業がすべきこと

職場の孤独解消のため企業はコミュニケーション強化やメンター制度の導入など様々な手段があります。
中でも孤独解決の一つとして注目されているのが「ウェルビーイング (well-being) 」です。

企業における「ウェルビーイング」とは、従業員が幸福で心身的、社会的に幸福な状態であることを指します。働き方におけるウェルビーイングは、良好な人間関係や充実したキャリア、経済的な幸福、日々の業務へのポジティブな状態によって生み出されるのが特徴です。

従業員がウェルビーイングの状態で働くことができれば孤独感の改善につながり、パフォーマンスがアップ。より大きな業績アップが見込めるでしょう。

現在よりよい企業運営のため、各企業でウェルビーイングの研修を導入しようとする動きがあります。
「人材育成がままならない」
「社員のモチベーションが低い」
ウェルビーイングの研修では上記の悩みに対し、コミュニケーションの活発化や労働環境の見直し方法を共有して、社内全体で改善を目指します。会社がウェルビーイングの状態を作る努力をすれば、従業員の孤独を解消させるだけでなく、ひとりひとりがイキイキと働ける環境が生まれるでしょう。

弊社のセミナーにおいてもウェルビーイングやエンゲージメント、人と組織のイキイキについてご紹介しております。ぜひご参加ください。

企業も、孤独と向き合う時代

働き方孤独は今、既に大きな社会問題となっています。

孤独は個人や組織のパフォーマンスに悪影響を与えます。国に任せきりにせず企業としても従業員の孤独と向き合うことが大切です。企業として見て見ぬふりせず、社員ひとりひとりの不安や悩みに寄り添ってみましょう。

離職に関して悩んでいる企業担当者の方も多いかと思います。ウェルビーイングの視点から会社として見直すべき点があるのではないか、しっかり考えてみることもポイントです。