Habi*do通信

健康経営の取り組み~健康診断の実施だけでは健康経営は実現できません~

近年、注目の集まる「健康経営」。

健康経営を実施することにより、組織の活性化、保険費用の抑制、ひいては経営効率、生産性の向上といった企業にとって非常に有益な効果が期待できます。

客観的に従業員の健康状態を知ることができる、といえば年に一度の健康診断にあるかと思います。
しかし、単にこの健康診断を実施するだけでは、健康経営を実現できません。今回はこの健康診断を軸に「健康経営」について考えていきます。

健康診断後に必要な働きかけ

人間ドックや健康診断を受けた結果、「再検査」あるいは「精密検査」の必要ありという通知を受けとることに・・・。再検査や精密検査とはならなかったものの明らかに昨年よりも数値の悪化・・・。
このままではいけない、病気になるというデータを見せられたとしても、日々の行動を変え改善に向け続けられる人は少ないのではないでしょうか。

健康の管理、といった視点からみれば「改善に向け頑張りましょう」と呼びかけ、啓発ポスター掲示やガイドブックの作成や配布等がまず考えられるでしょう。

しかし、単にデータを見せられ、健康リスクのあるメンバーへ一方的な働きかけをしたところで、改善に向け動けるものではありません。
まずは改善の必要性を自覚すること。そして、どうすれば改善に向かうのかの知識を得ること。どう動き何を実行することでどういった効果が得られるのかどう自分にメリットがあるのかを知ること。また一人で行動させるのではなく周囲と共に行動する環境を整えていくこと。そういった働きかけが必要となります。

この働きかけ、最適なタイミングを逃してはいけません。
健康寿命の延伸のためには、働き盛り世代から健康意識を持ち、習慣付けることが重要です。現状健康リスクがないメンバーにおいても働きかけを行うことが重要です。
年老いてからも元気で過ごしたいと普段から考えるような人は、人に言われなくても既に健康に気をつけているでしょう。多くの人は将来健康を損ねたときの負担に関して考えていません。健康なうちにはあまり意識されないのが現実です。いま現在は健康、しかし健康について意識していない、そういったひとたちにも働きかけることが必要なのです。

会社ができる仕掛けづくり

ではどういった働きかけ、仕掛けづくりを会社が行うことが必要なのでしょうか。

健康寿命の延伸のための健康意識の保持、習慣付けには時間がかかります。

従業員同士をつなげ、お互いに刺激しあえる環境に身をおいてもらうことで、生活習慣改善、健康習慣取得のための日々のルーティンワークを継続しやすくします。

メンバー同士でお互いの現状を教え合い、コメントしあったりできるような場。そういった場が提供されることで互いに励ましあいながら行動を続けることができます。また、自身が持つ課題や悩みごとに、メンバー間で意見交換をすることも大切です。頑張りが蓄積・可視化され、それらが褒章や表彰といった制度と結び付けることもメンバーのやる気につながるでしょう。

自分以外の他人から見られている、という環境を作り出すことはとても有効です。「誰かに認めて欲しい」「 誰かにすごいと思ってもらいたい」といった承認欲求は誰にでもある当然の感情です。この承認欲求をうまく刺激することが大切です。自分の健康状態が他のメンバーにも見られていることはモチベーションの向上にもつながります。

また、健康活動継続のアイデアをメンバー同士で共有することが可能であれば、行動の継続率が高まると考えられます。
日々の頑張りや行動に対して他のメンバーからのリアクションがあれば、「自分は誰かにみてもらえている」「自分は大切な存在だ」と自分自身を認め褒めることにつながり、楽しみながら続けることができるでしょう。

一度成果が出てくると急に面白くなってきます。健康リスクがでていないうちに成功体験を得て、「成果が上がった→楽しい→やる気がでる→さらに成果が上がる」のサイクルを実現させていくことが大切です。

まとめ

こういった仕掛けづくりを行い、行動を変えるところまで会社側から支援することで初めて、健康経営を行っているということができるでしょう。
一人一人の健康マネジメントがされていれば、単に医療費経費削減だけにとどまらず、生産性の向上やリスクマネジメント、さらには企業のイメージ向上にもつながります。

健康診断を実施するだけでは健康経営は実現できません。
次の健康診断実施を機に一度御社の健康診断そしてその後の働きかけについて、見直してみてはいかがでしょうか。