Habi*do通信

能力主義の終焉は近い

あなたの会社にもトップセールスは必ず何人かいることだろう。営業部門だけでなく、それぞれの部署に優秀層と呼ばれる人材がいるはずだ。そして、彼らや彼女たちは業績に貢献した功績者として、高い評価と報酬をもって遇されているに違いない。

頑張った人には頑張っただけの見返りを与えなければ。

多くの経営者がそのように言う。公平で、正当で、まっとうだ。頑張った人が増えれば増えるほど、会社としての成果は大きくなるはずだ。ならば、頑張った人に報いるべきである。

しかし、敢えて言いたい。中長期の視点で会社の業績を考えるとき、そんなにシンプルに無邪気に物事を考えてはいけないのではないだろうか。

営業の表彰

再確認したい成果が創出される要因

あらためて考えてみよう。優秀な成果を生み出している人は、なぜ成果を生み出せているのだろうか。いや、言い換えよう。

何がその人に成果を生み出させているのだろうか?

もちろん、本人のスキルや意欲、仕事上のセンスなど、本人に依拠するものはたくさんある。でもそれだけで成果につながるのかというと、そんなに単純なものではない。

まず、会社としての事業の戦略があり、先人が積み上げてきたブランド力や信頼がある。つまり、そもそも会社が持っているものがある。トップセールスが自らの実力をたのんで独立した途端、だれも相手にしてくれなくなり路頭に迷う話は枚挙にいとまがない。

そして、とても見落とされがちなのだが、優秀者の周囲にいる人たちが持っている力を忘れてはならない。優秀者が能力を発揮できるように、様々な形で周囲の人たちが支援している。営業事務を司ってくれるアシスタントや、よりよいアプローチを本人に考えさせるように刺激をあたえる先輩や上司もいることだろう。そうした人たちを抜きにして優秀者は優秀でありつづけることはできないのだ。

組織力を高める貢献を評価する

周囲から支援されながら優秀者が結果を出せば、逆に周囲も刺激を受ける。さらに質の高い支援をしようというモチベーションがあがるのだ。

貢献を適正に評価する

支援して、支援される。そういう関係をチームの中に確立することができれば、中長期的に成長するチームになる。そうするためには、個人の能力や成果にフォーカスを当てるのではなく、いかに相互に能力を引き出しあえているのかにフォーカスを当てなくてはならない。

ある人が成果をあげたから優秀だとして表彰することは、公平で、正当で、まっとうなように見えて、その実、チーム内の相互支援のモチベーションをぶっこわしている。短期的には機能するだろうが、その行為はチームの力を失わせていく。

本質とはなにかを日々問われる昨今、頑張った人だけを評価する能力主義ではなく、頑張ることができるようにしている人たちにもフォーカスをあてる仕組みに切り替えなくてはならないのではないだろうか。