新たな門出を祝う成人式。
1月14日(月・祝日)は成人の日ということで、 華やかな振袖姿の方を、 たくさん見かけました。
企業が抱える人材採用・定着の問題。 働き方改革関連法の施行も迫るなか、若い人たちを自社にとどめ長く働いてもらうためには、どのようなことが必要でしょうか。
キーワードは『ワークライフバランス』。2019年の新成人の本音をみながら考えていきます。
新成人の仕事に対する本音とは
「チームワーク総研」は1月9日、新成人の「理想の働き方調査」の結果を発表。新成人の仕事への考え方が明らかになりました。
どんな働き方をしたいかと聞く質問では、「プライベートを重視しながら働きたい」と答えた方が約8割いました。
また、どんな職場で働きたいかを尋ねた質問では、「人間関係が良い」「自分が成長できる」「定時で帰りやすい」が上位となりました。逆に「忙しいが活気がある」「様々なテーマに挑戦できる」など忙しさを想起させるものは下位となりました。
2019年の新成人は、1998年(平成10年)4月2日~1999年(平成11年)4月1日までに生まれた人。
バブル崩壊後、平成不況下で育ってきた世代であり、リーマンショックや就職氷河期を見てきました。一生懸命頑張って働いていてもある日職を失い、家を失う・・・苦しい時代を目の当たりにして育ってきました。
モノは必要最低限でいいと考え、消費が少なくコストパフォーマンスを重視。90年代までの流行りものがあれば皆が飛びついていた時とは違い、集団よりも「自分らしさ」や「個性」を重視します。
モノが不足し、生活にもあえいでいた高度成長期。昼夜問わず、朝から夜遅くまで長く働くことが当たり前。頑張れば昇進し豊かになるとしていた時代の金銭的そして物質的な“豊かさ”を求めているわけではありません。金銭的・物質的な豊かさを求めていた時代から、心の豊かさを求める時代へと変化しています。
自分の成長を求め、自分の個性や得意を生かしていく、家族や自分の時間を大切にする。育ってきた環境を見ていくと、この世代がワークライフバランスを求めることにも納得がいきます。
ワークライフバランスの充実はメリットとなる
バブルの崩壊。企業の終身雇用、年功序列の維持が困難になり、組織の体制も大きく変化。
「両性の(法の下の)平等」を実現するための男女雇用機会均等法や女性活躍推進といった施策や流れと共に国として企業としてもワークライフバランスに対する取り組みが広がってきました。
出産や育児、介護といったライフイベントに対する支援にとどまらず、多様な働き方・生き方を認め、一人一人が仕事そしてプライベートのどちらもを充実させる社会が必要とされています。
とはいえ、国や行政が推奨しているから仕方なく取り組んでいる、ワークライフバランスは大切かもしれないけれどまだまだ難しいといった、職場や上司の方も多いかもしれません。
しかし、企業にとってもワークライフバランスの実現はメリットとなるものなのです!
長時間労働を改善されることやリモートワークといった多様な働き方が認められること。子育てや介護といった時間制約のある社員の離職を防ぐことはもちろん、それ以外の社員にとってもそういった働きやすさは企業への定着へつながります。
また、定時退社でうまれた時間や残業がなくなった時間を使い、社員一人一人が「個」の成長につなげる、勉強や資格取得といったスキルアップに時間を使うことができます。社外の人との接触が増えることで刺激となり、新たなアイディアが生まれることもあるでしょう。家族との時間や何気ない日常生活の中でのインプットもとても重要です。自己充実と共にそれらのインプットが実務に活かされる機会も増えるはずです。
残業代のコストカットが可能となり、イキイキと健康に働く社員による生産性向上も進んでいきます。
長時間労働や徹夜をすることで、自分の時間や家族との時間をないがしろにすることで、生産性が上がり社員一人一人のやる気はあがるでしょうか。
AI時代の今、人間はより高付加価値な仕事が求められています。
ITの活用や業務の無駄、業務フローの見直し。残業をしなければ企業の生産性が落ちると考えられていた時代は終わりを告げています。
ワークライフバランスの充実が、人間ならではの強みを出していく、イノベーションへとつながるのです。
「個」を尊重することで、集団としてチームとしての向上を。
しっかり働きつつ、プライベートの時間も確保できる。結婚、出産、介護をしても復帰できるような環境。
若者が理想とする「個」を活かす、だれもがイキイキと働ける環境についてー改めて考えていかなくてはいけません。