Habi*do通信

採用にマーケティング思考を採り入れる~採用成功・定着率改善に必要なこととは~

人口減少と少子高齢化が急速に進んでいます。
浜銀総合研究所 人手不足に拍車をかける「新卒採用2021年問題」(2019年2月19日)によると、

就職活動を行うものが最も多く含まれていると考えられる22歳人口の推移をみると、2000年代を通じて減少傾向で推移した後、2010年代は横ばい圏内で推移したが、2020年代から再び減少トレンドに入ることが確認できる。

とのこと。
採用環境はますます厳しくなってきています。
有効求人倍率が高止まりした状態が継続、就活売り手市場。とりわけ地方や中小企業では採用難が大きな問題となっており、事業縮小どころか黒字倒産、人材不足倒産も現実に起こっています。
ただでさえ苦しい現状、しかし採用難が本番を迎えるのはここからなのです。

そして、採用することがゴールではありません。
人材獲得競争が激化している今、社員の流出を防ぎ、定着させることも企業人事の大きなテーマとなっています。
入社後、職場に定着し、活躍するにはどのような要素が重要なのでしょうか。

採用活動に求められるのは、「伝える・伝わる」戦略的な採用マーケティング、です。

伝える力『採用マーケティング』 ~ファネルを活用してタッチポイントを考える~

見込み客増やし、顧客データの分析や長期的なアプローチによって、顧客を育成する。
受注につなぎ、いかに売り上げ目標を達成していくか。組織の土台・基礎となる、ビジネスを戦略的にとらえていくマーケティング活動。
このマーケティングの思考を採用活動にも利用していく。「採用マーケティング」が必須となってきています。

そもそも母集団形成をするための対象となる人材数が減っているのが現状です。マスマーケティングのようにプッシュ型で発信していくだけでなく、将来的に貴社へ入社する可能性のある人、貴社や商品やサービスに興味がない「潜在層」の段階からスタートします。

採用ファネル図

潜在層と顕在層を理解する

潜在層はそもそも貴社に対しての興味はない状態。なので、自ら情報を取得する活動をしているわけではありません。しかし、興味をひかれる情報があれば、それに対して反応はします。接点づくりから始まり、徐々に貴社への興味・関心促進し、顕在化してもらうアプローチが必要となります。

顕在化が進むと、貴社の情報も理解していきます。自分にとっての最適解を見つけようと、自ら積極的に情報を集めます。適切な場所に待ち構えて、求めている情報(他社との差別化ポイント、魅力など)を、わかりやすく伝えることが効果的になります。

また、潜在層の下には非認知(無関心・低関心)といった層も存在します。貴社の情報を伝えられても反応はありません。低関与な潜在層に対して行うべきは、欲求の顕在化です。自分がやりたいことに気づけていない、なんとなく貴社と同業界に興味はあるけどどうしていいかわからない、こういう状態の人をファネル構造の下へ送っていくためのアプローチをするべきです。

採用と組織作りは繋がっている

「本当にこの商品で良かったのかな」「もっといい商品があったのでは」
モノを購入した後、こういった気持ちになったことはありませんか。

周囲の評判が良くなかった場合、自分の選択に不安が生じた場合こういった気持ちになることが多いのではないでしょうか。
採用活動もいい人材と出会えたから終わり、採用できたから終わり、ではありません。採用活動時のメッセージだけでなく、「あなたの選択は間違ってません」ということを伝えるフォローメッセージを発信する必要があります。

「愛着」や「信頼」といったロイヤリティの向上。企業や商品へのロイヤルティが高い顧客は、単に購入して終わるわけでなく、その商品を愛し続け、企業・商品を他者に推奨したり、継続利用してくれる可能性が高くなります。
会社においても同様です。人材定着や従業員のエンゲージメント、定着・戦力化までの一連の流れが出来上がっている、環境・組織作りができていることが大切です。

採用活動とはまさにマーケティング~入社後まで描けているか~

ナビや採用ページで応募を待つのではなく、採用担当者が自らアプローチをするダイレクトリクルーティング。
近年日本でも注目され、採用市場が著しく変化する昨今、日本での浸透度や有効性も高まっているようです。
とはいえダイレクトリクルーティングにおいて返信率が低い、とお悩みの担当者の方も多いのではないでしょうか。
また、会社説明会(合同説明会)や就活イベントといったイベントを開催しても参加者が少ない、優秀な層が選考に乗ってこないといった悩みも。

採用担当者
これらの課題は、採用ターゲットにおける自社のステージにおいて、
認知→興味・関心→比較・検討→購入・申込
のどのようなステータスかどのステージにいるのかをより明確に判断することで改善に期待できます。
また、ニーズの高い群にとっての潜在的な魅力を理解し正しいブランディングをすることで、採用に繋がる活動を推進できます。

採用がゴールではありません。採用者が入社し、貴社において継続的に成果を上げてもらうことが本来の目標であることを忘れてはいけません。
入社後のタッチポイントまで詳しく検討を繰り返し、採用プランを見直してみましょう。

カスタマージャーニーを作成するように、貴社に関する情報接触から、入社、そして入社後の行動に至るまで描けているのか。共感の醸成には戦略的な仕組みが必要となります。
採用活動とは、まさに『マーケティング」なのです。