Habi*do通信

日々のリフレクション~重要性と効果とは~

パソコンの前で困った表情の女性

失敗した・・・ミスをしてしまった・・・
何かうまくいかないことがあった際には立ち止まりふりかえる方は多いかと思います。
目標の進捗状況や行動といった振り返り。評価面談の前になって改めて・・・なんて方もいるかもしれません。

ついついネガティブなことばかりを振り返りがちですが、成功体験を振り返るポジティブな振り返りも必要です。
そして日々ふりかえることが大切なのです。

「リフレクション(reflection)」ー内省のことをいいます。
生産性の向上にはリフレクションが有効?
人材育成の手法としても注目を集めるリフレクションについて、研究結果をふまえながらみていきましょう。

ふりかえりの効果は実験でも証明されている

「ふりかえり」の重要性は研究結果で示されています。

ハーバード・ビジネス・スクールのタンドン・ファミリー記念講座教授 フランチェスカ・ジーノはインドのバンガロールにあるテクニカル・サポートのコールセンターでフィールド実験を行いました。

コールセンターでの実験内容の図解イメージ

従業員を3つのグループに分け、1日~5日目までどのグループにも同じ内容の技術研修を受けてもらいます。
研修6日目から16日目までにおいて、いくつか違う行動を組み込みます。

グループA:終了時間前の15分間を使って、その日に学んだことを(メモを取りながら)振り返る
グループB:1つ目のグループと同じことをしたうえで、さらに5分を使って各自がメモした内容を研修仲間に説明する
グループC:研修を終了時間いっぱいまで受け、その日に学んだことを書き留めたり仲間と意見交換したりしない

研修後のテストにおいて、Aグループは22.8%、Bグループは25%、Cグループよりも良い成績を収めました。
フランチェスカ・ジーノの研究では、研修だけに限らず、「データ入力の生産性、チームワーク、サービスの質」といった側面においても「振り返り」が良い効果をもたらすことが明らかとなっています。
英語論文はこちらから:https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2414478

一見、15分長く研修を受けていたCグループが一番よい結果につながりそうですが、実際にはその15分をふりかえりに使っていたグループのほうが良い結果へとつながったのです。
多くの学びや経験を積んでいったとしても、ふりかえりをせずひたすら学び・行動していては成長にはつながらないのです。

リフレクションに対する勘違い

ポイントを紹介する人

よく失敗やミスを改める「反省」と同等だと勘違いされますが、「反省」と「内省」は異なります。

リフレクションで重要なことは客観的に自分自身の行動を振り返ること。
必ずしも成功した、失敗したといった大きなことである必要はありません。自分自身が今日経験したこと、気づいたことから学びを得ること。
感情に任せ悪い点ばかりに目を向けるのではなく、主観を抜きにして客観的にふりかえることが大切です。
※「客観的」なふりかえりとは、数字を出し、目標達成に向け何をしたのかという具体的な行動内容等を用います。

「リフレクション」と「フィードバック」。
ついつい同じものと考えがちですがこれも違います。
フィードバックもおなじ「ふりかえり」ではありますが、他者から感想や意見を受けたうえでのふりかえりをさします。
また、上司や他人がミスを指摘し指導をすることは「リフレクション」でも「フィードバック」でもありません。

日々のリフレクションを習慣化する

日々仕事終わりに、その日の自分の仕事について振り返っていますか?
日報を書いたり、仕事が終わる度にリフレクションを行うことを習慣化する。自身の成長に気づく機会となりモチベーション向上につながります。
仕事のミスや成功の原因を分析し、今後に活かす。成長につながります。

  • 自身を客観的にみる。成長を実感し今後の行動における自信につなげる。
  • うまくいっていることやいないこと、業務の進め方をふりかえる。どうすればうまくいくか、よりよくなるか課題を見つける。
  • 今後自分は何を行うのか、目標を考える。

忙しい日々の中でも振り返りを行う。大切なのは、自分の行動や仕事の成果について、自分で考えて自ら振り返る機会をいかに作り出せるのか、マネジメント層が与えるのかということです。