中国から世界中に感染が拡大している、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
企業の多くが従業員に在宅勤務を指示し、感染リスクの軽減を図っています。
また、2020年東京五輪の開催が近づいてきました。
世界各国の選手が日本に集まってくる、同じ日本にいる、ということを考えるだけでわくわくします。そして、オリンピック・パラリンピックの日本での開催、会場で直接観戦するのを楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
しかし、楽しみばかりではなく、東京で働く、暮らす人達における影響が懸念されています。オリンピック開催期間中は、首都圏の鉄道では朝の通勤時間だけでなく夕方においても、大変な混雑が予想されています。
昨年から台風・大雪など災害時に注目されていた在宅勤務やリモートワーク。
リモートワーク環境が整っていれば、従業員は自宅や安全な場所で業務を継続することが可能となります。「自宅待機」ではなく「在宅勤務」が可能になるのです。
在宅勤務導入について真剣に考えるだけでなく、すでに導入している企業においては「導入しようとしてうまくいかなかった」「導入したものの運用に乗らなかった」などの課題に対応することも必須となってきます。
プロセスを把握すること
在宅勤務を導入した際に、在宅勤務者からは「適切な評価がなされるか」といった不安の声があがります。また、導入を検討している企業側においても「何をもって評価をするのか」を理由にあげることがあります。
出社しなくては、働きぶりが分からない、評価することができない、ということ自体に問題があるといえます。
業務のプロセスを把握することは在宅であろうと出社であろうと変わりはありません。
目標に対してどこまで達成したかという成果と、その成果を出すためにどういう行動をとったかというプロセス。
身近にいないからわからないでなく、プロセスが不明なら事前事後のコミュニケーションによって確認をする。そういう報告とコミュニケーションを常日頃から行っている環境である必要があります。
目標設定と成果やプロセス報告を適切に実施できる『仕組み』が必要となります。
また、特定のメンバーに業務が集中したり、他のメンバーの仕事を手伝うことが難しくなることもあります。
タスクツールや、リアルタイムでチームや社員間の情報交換、報告、コミュニケーションが取れるようWeb会議システムやチャットツールなどの導入を検討する必要があります。
目標と行動そして振り返りを行うこと
営業部門や製造部門など利益が発生する部署は売り上げや受注件数、利益額などの数値での尺度があるのですが、経理・財務、人事・総務、法務などのバックオフィス系職種や間接部門にはそうした尺度がありません。
そもそも在宅勤務であるなしに関わらず、職種によっては評価が難しい、印象評価になりがちである、という課題があります。
上司と部下で常日頃から目標や評価のポイントを共有することが重要になります。
1日単位で、1週間単位で、1カ月単位でどのような仕事を進めているのか。
成長を感じたり、この能力を伸ばすことができたいいと思っていることは何なのか。
もっと短縮できる仕事とはどういったところにあるのか。
仕事のプロセスや成果の振り返りを習慣化することで、目標達成に近づくため、次の行動を導くことは容易になります。
案件や業務の進捗状況を把握しにくいリモートワーク。
目標そのものを目指すのではなく、日々の行動に落とし込むことで、実際に終えたことの報告が容易になります。
また、行動を進めていく上でうまくいかない、結果に結びつかないようであれば、フィードバックを行い改善する。良い結果に結びついているようであれば、よりよい結果になるよう考えていく。
この行った行動を基に次の行動へと繋げていけば、自ずと個人としても組織としてもいい成果に結びつくはずです。
上司の管理や評価におけるスキルアップ
目の前にいない部下の仕事を評価するためには、上司においても、業務の管理や評価のスキルアップが必要となるでしょう。
リモートワークで働く社員をカメラで映し、勤務時間をカウントするというシステムといったものも存在します。確かにフェイスツーフェイスのコミュニケーションが必要となる場面もあるでしょう。しかし、管理されていることを意識すると仕事に集中できず、かえってパフォーマンスが下がる場合がでてきてしまいます。
評価をする際には客観的な事実のみを材料とします。印象や推測等の事実確認ができないもので評価は行いません。
また、部下自ら考え取り組むことに対して、振り返る機会を与えることも大切です。自分自身で考え、学び、次に活かしていく。個の成長を促すことが大切になります。
評価結果が公正であると理解・納得できなければ、社員のモチベーションは下がってしまいます。
このほか、他の従業員と比較し、テレワーク勤務者の評価が不利な評価であってはなりません。
「評価」がきちんとできる上司がいること、リモートワークの成功のカギかもしれません。
緊急事態に企業としての社会的責任を果たしつつ適切に対応することができるか否か
ー企業としての『評価』にもつながるでしょう。