Habi*do通信

【開催レポート】イノベーションを生む人材育成と組織づくりを徹底討論!~心理的資本セミナーvol.3

イノベーションを生む人材育成と組織づくりを徹底討論

イノベーションを起こせといわれても打ち手が見つからない、うまくいかないという声も多くうかがいます。

今回の「心理的資本®セミナー」で注目したテーマは”イノベーションを生む人材育成と組織づくり”。これからの企業は戦略ありきではなく組織変革への柔軟性・人材のパフォーマンス発揮を促すマネジメントが企業の競争優位性をつくるといわれます。

新規事業立ち上げには「起承転結」人材の重要性や「失敗=切腹の武士ではなく、生きて帰る忍者式」の重要性など分かりやすい言葉でイノベーションについてのノウハウを発信され、事業立ち上げから事業立て直しに至るまで実践者として数々の組織で手掛けてきた”しーさん”こと竹林一氏(オムロン株式会社イノベーション推進本部インキュベーションセンタ長)と、JR東日本での様々な事業の担当、新規事業立ち上げやベンチャー企業との提携等を経てジョントベンチャーを設立し山手線内に無人コンビニ店舗を開業するなど注目を集める阿久津智紀氏(株式会社TOUCH TO GO 代表取締役)をゲストとしてお迎えしながら、イノベーションを生む「人材育成とは」「組織づくりとは」という、これからの組織の命題についてパネルディスカッションをLIVE配信いたしました!当日の内容を簡単にダイジェストでご紹介いたします。

パネラープロフィール

パネリストの画像

  • 竹林一氏(画面左下)
    オムロン株式会社 経営基幹職 イノベーション推進本部インキュベーションセンタ長 /京都大学経営管理大学院 客員教授
  • 阿久津智紀氏(画面右下)
    株式会社TOUCH TO GO 代表取締役社長/JR東日本スタートアップ株式会社マネージャー
  • 石見一女(画面右上)
    株式会社Be&Do 代表取締役 CEO
  • 権基哲(画面左上)※モデレーター
    Con代表/ベンチャー支援家/株式会社Be&Do社外取締役CFO

パネリストによる自己紹介

トークライブ形式で繰り広げられたパネルディスカッションでは笑い声が絶えず、パネラーの皆さんのご経験や熱い思いに大きな盛り上がりを見せました。トーク内容について一部抜粋してご紹介いたします。

竹林
竹林
私は関西人ですが、「イノベーションというのは、関西から起こることが多い」と先輩から言われてきました。なんでやねんと言うと、ブラブラしとるやつがおると。ブラブラしとるやつは、おしべとめしべをくっつけるんですよね。蝶々とかミツバチみたいに。今花が咲いているぞと言っても、放っておいたら新しい花は咲かないんですよね。あとは視座視点が異なるためにインスタント麺やレトルトカレーが生まれた。例えば回転ずしも寿司を回そう思った人がいるんですよね。ビアガーデンもビルの屋上でビールを飲むとうまいんちゃうかと思った人がいるんですよね。これまでにない視座視点でものを考える人が関西には多いと思っています。私は「しーさん」と呼ばれているのですが、ある関西の会社の受付で名前を書いたときに《竹林一》をみて、名前の《はじめ》を伸ばし棒だと思った方から「たけばやしーさんですか?」と言われたことがきっかけです。物の見方を変えるというのはそういうところにもあるのかなと思っています。
阿久津
阿久津
私は生まれも育ちも東なんですが、私はJR東日本の社員で、「JR東日本スタートアップ」というコーポレートベンチャーキャピタルからカーブアウトという形でつくった「株式会社TOUCH TO GO」という会社で無人決済の物販システムの開発をしています。大企業の社員とスタートアップの社長と両方をやりながら既存のルールを活用しながらうまく逃げ回る道をやっていますので、その辺をお話できれば。
石見
石見
私は30年近く、人はイキイキしないと生産性も上がらないし、成果も出ないと言い続けているが、それが高じて2011年から仕組みで支援できないかということでHabi*do(ハビドゥ)というツールを開発している。私としては当たり前のことだと思っていたが、極めてイノベーティブ過ぎて世の中の経営・人事の方々に受け入れてもらいにくかったという時代が長かったが、ここにきて、やっぱり人の可能性を活かしていかないといけないし、コロナ禍で離れ離れになってしまっているとFace to Faceにも限界があるとなっているため、ようやく必要性を感じてもらいやすくなった。イノベーションとして結実できたらいいなと思っている。

イノベーションを起こした経験について

阿久津
阿久津
私は会社の中で動かなければいけなかったので、目標とか理念とか課題解決みたいな所にはマッチするような形で、その場その場で判断しながら自分でやりたい方に導いていったのかなと思っています。いくつも新規事業を担当してきたのですが、ずっと「スーパーサイヤ人理論」というのを信じていて、厳しい状況を経験する度にどんどん戦闘力が上がってくる気がしています。なので無謀なことをやるほどに、次もうちょっと刺激が欲しいと感じるようになって、どんどん深みにはまっていましたね。
竹林
竹林
は赤字会社の立て直しと、新事業・新会社もいくつか立ち上げましたけど、真ん中がなくてですね。両極端のことやっていて、ここ10年20年普通のことをやってないんですよね。最初はプログラマとしてSEやプロマネのような仕事をしていたんですが、新規事業をやるようになると経営陣から「赤字会社立て直しも頼む」「次はヘルスケア部門の立ち上げを」と、やったことないことをどんどん言われて。でも今思えばやってることは同じで、「軸のマネジメント」とやってるんですね。何を軸に動いているのか見極める。例えばパスネットを立ち上げる時は改札の捉え方を「駅への出入り口」から「街の入り口」というふうに切り替えて、軸を変えることで新たな展開を考えました。

「起承転結」人材育成論

竹林
竹林
数年前から、みんなが立ち上げられる仕組みって何だろうなと6人くらいでずっと集まって考えてきたんですが、そこで出てきたのが「起承転結 人材育成論」なんですね。「起」は石見さんみたいに0→1を発想できるような人で、会社の中にいるとややこしいんです(笑)「承」は、そのグランドデザインを描きなおして軸を作れる人。軸を作り始めると世界観とストーリーができで、物語が生まれるんですよ。「転」は、分析して事業計画を立てて、リスク管理がうまいんです。「結」は、きっちりやり続けるのが得意。どれが良い悪いではなくて、全部そろって初めて新しいことがどんどんできてくるんですよね。
石見
石見
一人の人が全部は絶対できないんですよね。アイデアや行動力のある「起」の人がいても、一緒にやろうと言ってくれる「承」の人がいないと成し遂げられない気がしていて。また大きな組織では「転」「結」の方が上にたくさんいて、組織の中の若い「起」「承」の人たちを引っ張り上げるような仕掛けができたらいいなと思っています。

イノベーションが生まれる組織

竹林
竹林
まずコミュニケーションのない組織からはモチベーションが生まれないんですよ。モチベーションのない組織からイノベーションなんて生まれないじゃないですか。イノベーションは結果なので、指示命令からは生まれないです。まずはコミュニケーションから作っていかないといけないし、モチベーションも勝手に生まれないです。さらにイノベーションをやろうとするとコンフリクションが起こるんですね。そのマネジメントを間違うとハレーションがおこって、イノベーションの火が消えてしまうんですね。
石見
石見
我々は、一人ひとりがイキイキと前向きな気持ちにならないと何も生まれないと主張し続けていますが、「イノベーションを生み出すためには何を管理すればよいか」と考える人がとても多いですね。お互いの考えを認め合って、失敗も許容しながら前に進む風土を応援しなければいけないのに、すぐ管理・評価したがる。そうなると委縮してしまうので、やはり対話・承認をしっかりとする基本の組織作りをしないと何も生まれないと思います。

阿久津
阿久津
コミュニケーションが生まれる前段って、個人が何かしら課題を持っていて他の人に相談しているはずで、個人が何も課題に直面していない状況だとそもそも会話が生まれないのではないかと思います。少人数のグループであれば当事者意識が生まれて、「いつまでにこの石を動かさないと自分が死ぬ」と思うので、コミュニケーションが生まれるはずなんですよね。

Q&A

Q:コロナ禍によってこれまでと同じ会社の軸ではビジネスが成り立つないという危機に瀕してる会社も多いと考えられます。どこから手をつけるべきだと思われますか

竹林
竹林
私のいるイノベーション推進本部では明確な目標として「オムロンでイノベーションが起こり続ける仕組みをつくれ」という軸があるんです。もし「新規事業を立ち上げろ」という目標なら、何件立ち上げたかというのがKPIになるんですね。当然一つの数字目標ではありますが、失敗したとしても「この方法はうまくいかないことがわかった」という知見ゲットという意味ではプラスですよね。身近な所から手を付けるには、「そもそも」を考えることなんですよ。そもそもうちの事業部は…、そもそもうちの商品は…、そもそもなぜ会社に行かないといけないのか…、と考えて何か変えられるかどうかだと思います。身近なところから変えられないのに大きなことを言ってもしんどいので。
阿久津
阿久津
最近とても危険だなと思うのが、手段が目的化している気がしていて。「オープンイノベーションしろ」「何か新しいことしろ」というのはおかしいのかなと。課題設定や今やるべきことを明確にしなければいけないと思います。チームや部署の単位で、まず何をするというのをはっきりさせることが大事なんだと思います。

まとめ(動画で全編をご覧になりたい方へ)

本セミナーでは希望者がそのまま残り、本編終了後のアフタートークセッションも行いました。
本編中に回答しきれなかった質問への回答や、イノベーションにおける組織の「慣性の法則」や「4つの”しごと”」の話題なども盛り上がりを見せました。今回、特別に動画を公開いたしました!以下よりご覧いただけます。

登壇された方々の注目情報!

▼竹林一氏(しーさん)による「し~ちゃんねる」はおもしろいことしている人たちとの雑談が繰り広げられます!要登録!
https://www.youtube.com/channel/UCxyw2JMUnkJpsST74DpRJeA

▼阿久津智紀氏が代表をつとめる「株式会社TOUCH TO GO」のWebサイト。省人化・無人決裁端末など流通販売の新しい取り組みなど要チェック!
https://ttg.co.jp/

▼モデレーターをつとめた権基哲氏による「こんちゃんネル – 社長の素の顔 -」はベンチャー社長が本音をもらす!要登録!
https://www.youtube.com/channel/UC8jCnrfE_WaVTcYBgzzckGA

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