Habi*do通信

今すぐできるセルフモニタリング法【ダウンロード可能:セルフモニタリングシート】

セルフモニタリングとは、自分がどう考え、どう振る舞い、どのような気分であったかなどを記録する方法。
行動変容技法の一つであり、単なる記録ではなく自己の状態について客観的な気づきを得る手段です。

セルフモニタリングの技法を体系的に用いることによって、自分の問題や行動を自分自身で変化させることができます。認知行動療法に応用されているような専門領域だけではなく、ビジネスの分野でもこの技法を用いることが注目を集めています。

セルフモニタリング~チェック方法~

セルフモニタリングとはセルフマネジメント(自己管理能力)の一要素。セルフマネジメント力を高め、精神・身体をコントロールすることで、成果の向上へと繋がります。

達成しようとする目標に向かっている途中の行動や体調、気持ちの変化を観察、記述します。
記録していくのはExcelやGoogleスプレッドシート、記録アプリ。もちろん紙とペンで記述していくといった方法でも構いません。ポイントは必ず可視化する、ということです。
頭の中だけで自身を観察する場合、印象的なことだけに着目し、漠然としたイメージで終わってしまうという可能性も。客観的な事実として認めるためにも、自身のことを整理するには具体的に自分を観察することが大切です。

  • 状況
  • 思考
  • 気分(身体的反応)
  • 行動(とれなかった行動含む)

これらの項目にそって記録をしていきます。
変化を記録しふりかえりを繰り返していくことで、自身の状況や感じていることを客観的に認識することができます。また望ましい行動によって良い結果になることが視覚化されることで、さらなる行動を始める動機づけになります。自己効力感(※)を高めることにつながります。
※自己効力感とは端的に言うと「自信」。問題や課題に直面したときにでも「自分ならできる」と自信に満ちた感覚のことを指します。

定期的にふりかえることも必要です。これにより、自分の振る舞いに対する気付きを深めていきます。

レコーディングダイエット分かりやすい例は、ダイエットにおけるレコーディングダイエット。ダイエットは一日や一週間で結果が得られるというものではありません。そのため、きちんとした習慣づけと自己管理(セルフコントロール)が必要になります。
体重や体調はもちろん、食べたもの、食べた時間、主食・副菜・水分といった量も記録。寝る前などに1日の食事を見返すことで、食生活の改善に繋がります。また、体重が少しずつ減り始めたことがグラフなどで視覚化・可視化されていると、その後も行動を続けるやる気になるのです。

セルフモニタリング傾向(能力)が高い人・低い人

心理学の分野では、セルフモニタリングは感受性という能力であり、個人差があるとされています。
セルフモニタリング傾向が高い人・低い人が存在します。セルフモニタリング能力とは、自身の表情や考え方、態度や行動などを俯瞰(ふかん)することができる能力のことを指します。

セルフモニタリング能力が高い人ほど、状況に合わせて行動を決めます。セルフモニタリングのスコアが低い人は、周りの状況ではなく、自分の価値観で行動を決めます。状況ではなく、自分の考えや信念を大切にするのです。

セルフモニタリング能力~セルフチェックテスト~

心理学者であるスナイダーが作成したセルフモニタリング能力を測るテスト。当てはまるものをチェックしてみてください。

1 .人の真似をするのは下手である
2 .自分が知らない話題でも、適当に合わせて会話ができる
3 .人の気を引こうとして何かを言ったりやったりすることは、あまりない
4 .自分を印象づけたり、人を楽しませようとしたりして演技をすることがある
5 .自分が本当に信じていることしか話せない
6 .状況と相手によって、まったく別人のように振る舞うことがある
7 .ジェスチャーのようなゲームや、あらかじめ決まったことから逸脱するのは苦手だ
8 .外で見せている顔と心の内とが違うことがある
9 .人前に出ると気まずく感じ、思うように自分が出せない
10. 本当は嫌いな人でも、親しげに振る舞うことができる

奇数にチェックが多い人はセルフモニタリング力が低い人、偶数にチェックが多い人はセルフモニタリング力が高い人だといえます。

セルフモニタリング能力を高める方法

セルフモニタリング力が低い人・高い人どちらのも長所・短所が存在します。

セルフモニタリング能力の高い人は場の空気を読むといったことに長けていますが、周りに流されることが多く、自分が疲れてしまうということもあります。低い人は、自分だけの判断で物事を決めてしまうことが多く、空気が読めないといった存在になることも。しかし、人を引っ張るリーダーとなる場合もあります。

セルフモニタリング能力を高めるにはまずは自身を知ることから始めてください。日記をつけたり、マインドマップを取り入れたりすることで、自身のクセや行動を把握することができます。
今いる自分の地点から一歩引いた視点で、自分の行動を観察する習慣をつけましょう。

セルフモニタリングチェックシート~ダウンロード可能~

自分の行動や考えや感情を自分で観察記録するために「セルフモニタリングチェックシート」を使ってみましょう。このシートは、自分が何に取り組み、どういったことを実行できたかチェックできるようになっています。
月、日付を自分で記入できるようなカレンダー形式になっています。

セルフモニタリングチェックシートダウンロードバナー
まず、何を行っていくのか、項目を決めて記入しましょう。できた場合には、当てはまる項目の左に○をつけて右に行った内容などを書いてみましょう。

セルフモニタリング事例

仕事や人生において目標を立て、その目標を達成するために日々努力している方も多いかと思います。また、人材マネジメントにおいて「KPI」の達成を評価項目に取り入れるといった場合も。

今回は、入社3年目で営業を担当する山田さん(仮名)がセルフモニタリングを用いた結果、目標達成が可能となった事例をご紹介します。

セルフモニタリング事例

山田さんは、仕事における目標があるもののなかなか結果が出せません。上司である佐藤さんとの面談の際に話し合いとなり、目標を見直すこととなりました。

山田さん:「そんな大きな目標、私には無理です。いつも達成できずに本当に申し訳ありません。」
と平謝り。すっかり自信を無くしている様子。
山田さん:「すみませんいつも…。でもどこが悪いんだろう。」
山田さんは自身の行動においてどこに問題があるかわかっておらず、自身の変化や状況を客観的にみることができていないようです。

上司の佐藤さんは山田さんに「セルフモニタリング」を進め、実際に取り組んでみることに。

  • 具体的な達成目標と行動目標
  • 気持ちの変化を観察、記述

これらをGoogleスプレッドシートに日々書き留めていきました。記述の際には「最も満足しているのを10とすると、今日の満足度はいくつか」というように、測定可能なものを観測項目に使いました。

記載したものはそのままにするのではなく、振り返りが大事。定期的に上司の佐藤さんが結果を見ながら一緒に評価しました。目標の結果に影響するような要因は何か、行動内容、体調の変化や自分の感じたことなど影響要因を知り、対策、工夫することで翌日からの行動へ活かすことができました。

3か月後の面談には、目標達成し自信に満ち溢れた様子の山田さんがいました。
山田さんはセルフモニタリングを用いることによって自身のできている「行動」に着目することができるようになったそうです。また、体調および気持ちの変化の確認を行うことが自己効力感を高めることにも繋がったとのこと。

まとめ:セルフモニタリングはビジネス、生活に欠かせない

セルフモニタリングはビジネスはもちろん、日常生活における目標や生活習慣の改善などにも応用ができる技法です。
項目すべてをしっかり書き出そう、書かなくてはいけないとなるとなかなか続かないものです。
セルフモニタリングシートのように簡単なチェックから始めてみましょう。まずは自分自身を知ること、そこがスタートです。