Habi*do通信

会社って、何だろう? wellbeingな組織の在り方とは

新型コロナウイルスの影響によって、テレワーク、Web会議などの導入が進み、働き方の多様化は勢いを加速しています。特に、テレワークが浸透するにつれ、会社以外の場所でも働けることが広く認識され、人々の心には「出社しなくてもいいのでは?」という意識が芽生え始めています。

問題は、「昔ながらの仕事スタイル」を守り続けてきた会社や経営者が、社会の変化についていけなくなっていること。会社に来ない、ハンコがいらない、会議で顔を合わせない…「そんなことで、仕事になるのか?」とお考えの方々も、まだいらっしゃることでしょう。

必ずしも、新しい働き方に迎合する必要はありません。これからは多様性が大切ですから、古きよきスタイルの存続も、ある意味必要です。

しかし、ひとつだけ考えてほしいことがあります。それは、「2020年以降の、会社の在り方」についてです。あなたの会社は、社員にとってそのような存在でありたいですか?どのように、共通意識を持ち合いますか?それを言葉にできなければ、あなたの会社に入りたい、ここで頑張りたいと思う社員は、減っていくでしょう。

働き方の変化にともない、経営者は変革を迫られています。組織としてどうあるべきか、この会社で働く価値はどこにあるのか。本記事が、会社の在り方を考えるきっかけになれば幸いです。

常識が変わる、これからの働き方

満員電車
2020年3月までは、会社という場所に集まり、顔を合わせて仕事をするのが当たり前の時代でした。
しかし4月以降は自粛が叫ばれ、満員電車に乗って会社に向かうという行動自体が「NG」とされました。

人の行動様式は大きく変化し、オンライン会議も珍しい風景ではなくなりました。今後、自粛が多少緩和されても、カフェやコワーキングスペース、自宅などで仕事をする人はそう減らないでしょう。実際に、テレワークが定着して出社の必要性が下がり、オフィスを解約したという企業も出てきています。
参考:コロナ後もテレワーク、「オフィス消滅」企業が続々

これからは、「会社とはこうあるべき」という思い込みを捨て、新しい常識をつくる必要がありそうです。

会社という「場」には何が必要なのか

会社に集まらず、分散して働くことが当たり前の時代になったとき。
経営者・管理職であるあなたは、どのように会社を「働きの場」として成立させますか?
会社の仲間
「会社に行きたい」「働く仲間と集まりたい」。社員がそう思わなければ、会社という「場」は不必要です。
しかし、少なくとも以下の3つに合致すれば、会社は社員にとって必要な場所になるはずです。

・一緒に働くことで、刺激や張り合いを感じられる
・雑談やアイデア想起の場が自然発生する
・企業理念や文化を体感できる

会社は、ただ働いて報酬をもらう場所ではありません。仲間と切磋琢磨できる、刺激や張り合いの場所であるべきですし、目標を達成したときの幸福感とやりがいが、社員を動かしていきます。

雑談やアイデアが自然発生するような場であることも大切です。社員同士の人間関係が、会社経営に大きな影響を及ぼすことは、経営者や管理職なら知っているはず。コミュニケーション不足で人間関係が複雑な会社には、誰も行きたいと思いません。雑談やアイデアに満ちた、人間関係が良好な会社だからこそ、優秀な人材は集まるのです。

上記の3つの条件は、出社しなくても満たせます。「テレワークか、出社か」という極論ではなく、条件を満たしてメンバー間で気持ちよく仕事ができる「場」を、オフィスやオンラインを併用して構築する必要が出てくるでしょう。

この会社で働く「意味」

今後、「現在の会社で働く意味はあるのだろうか?」と考える人は増えるでしょう。「コロナ離職」という言葉すら、出始めています。そして、自由な働き方を導入する会社の魅力度は、ますます高まるはずです。社員に出社を強要したり、急な転勤を命令するような会社であれば、退職者が増加しても仕方ありません。

あなたの会社は、「働く意味」をきちんと世にアピールできていますか?
その仕事、の環境は、「社員の欲求」を満たしているでしょうか。

「人間の欲求は5段階のピラミッドで構成されている」。
有名なマズローの欲求段階説から、社員の欲求について考えてみましょう。

マズローの欲求段階説
1段階:生理的欲求(おなかがすいた、眠りたい)
2段階:安全欲求(危険な目に遭いたくない)
3段階:社会的欲求(会社に属していたい、グループに属していたい)
4段階:承認欲求(誰かに認められたい)
5段階:自己実現欲求(自身の価値観や人生観に基づき、あるべき自分になりたい)

このうち1〜3段階は、社員として働いていれば満たされている、外発的モチベーションです。自発的に行動を起こさなくても、外部からの要因で満たされる、比較的低次の欲求になります。

4〜5段階は、自発的に行動を起こさなければ満たされない、内発的モチベーションです。
人間の欲求の中でも高次の欲求であり、満たされることは難しくもあります。

低次の欲求がみたされた前提での「会社で働く意味」とは、「誰かに認められたい」「あるべき自分になりたい」という欲求を満たす場、ではないでしょうか。もちろんお金が大事だという考えも否めません。しかし、それだけではないはずです。自分は何のために生きているのか、自分は社会にどう貢献できるのか。その解を追求し、満たすことで幸福感は得られるものだからです。

となれば、あなたが社員に「働く意味のある会社だ」と思わせるには、やるべきことは1つです。自発的に行動ができ、わくわくした気持ちで仕事に取り組める【wellbeing】な環境を整えることです。

社員の帰属意識を高める

仲間
会社の本質は、ビルやデスクといった設備のある場所ではなく、仲間と仕事を共有できる環境です。そこに自分の居場所を見つけ、ポジティブに関わる社員がいれば、場は成立します。しかし帰属意識が低ければ、社員は孤立感を感じ、貢献意識を失っていきます。オンラインでのつながりしかなくなれば、その傾向は顕著になるでしょう。

社員の帰属意識を高めるには、定期的に経営層とのつながりを意識させることが大切です。企業理念や文化を再確認してもらえば、仲間意識が醸成できます。単純な話ですが、トップメッセージは経営層の口から語られることが一番。魅力的なリーダーと、近い距離にいると感じてもらうことが何よりです。

オンラインでなら、社長と社員のかかわりの時間が持ちやすいはずです。社長が自分の言葉でトップメッセージを送ったり、経営層の人となりを開示するようなテーマの社内報をつくったり…という施策は、テレワークの時代だからこそ求められるでしょう。

個人と組織の向き合い方

昭和的な会社

あなたの会社に、昭和的価値観は残っていませんか?

時代は令和、しかも新型コロナという意識変革の洗礼を受け、私たちは無理にでも変わらざるを得ない状況にいます。もはや「出社」では社員に価値を与えられません。離職ラッシュがやってくる前に会社の在り方を見直し、2021年以降も価値を高めていける「場」につくりかえましょう。

個の意見や生き方に多様性が生まれるのと同時に、つながりや絆も今まで以上に重視されます。それぞれが自分に合った働き方をしながらも、今まで以上に「チームの仲間」としての意識を持てたら、素晴らしいと思いませんか?

オンラインだって大丈夫。チームで成長を共有し、wellbeingな組織を目指しましょう。
それこそが、未来を生き抜く「組織の在り方」です。