少子化に伴い、働く人の割合は今後さらに高齢化していきます。そんな中で従業員にいかに健康で働きがいをもって長く働いてもらうか、健康経営を推進する企業では工夫しながら自社にあった施策を実施しているようです。
以前、働き方改革・健康経営の参考になる事例集サイトまとめで取り上げましたが、中小企業における健康経営のススメ(経済産業省近畿経済産業局)の事例集を見ても、労働時間や休暇、福利厚生といった社内制度の見直し以外にも、その企業がもつ課題を解決するためにさまざまな取り組みをされています。
例えば・・・
・健康診断の内容を充実させる(人間ドッグやオプションの検診の提案)
・健診からの結果によって産業医・保健師等と協力し健康管理の徹底
・ストレスチェックやメンタルタフネスの研修でメンタル対策の実施
・休暇制度、労働時間の適正化
・協会けんぽの健康チャレンジに参加し健康増進
・健康的な食事メニューを提供する
などなど。
では、より日常的に従業員が健康的に働くための方法はあるでしょうか。
場づくりから始める健康経営
健康経営を推進する経済産業省では「健康経営オフィスレポート」という資料も提供しています。
健康経営オフィスとは、健康を保持・増進する行動を 誘発することで、働く人の心身の調和と活力の向上を図り、ひとりひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる場のこと(*)。
オフィス環境を整えることから、働き方や行動の変化に繋げようという試みです。
以下7つの行動を日常的に誘発させることが重要なのだそうです。
- 快適性を感じる
- コミュニケーションする
- 休息・気分転換する
- 体を動かす
- 適切な食行動をとる
- 清潔にする
- 健康意識を高める
1.快適性を感じる
快適性は、室温が適切であるか、姿勢が悪くなるような椅子を使っていないかなどもそうですが、オフィスの緑化も快適性を高める方法の一つ。緑視率が高いと心理的なリラックス効果も高まるとの研究結果があるそうです。
2.コミュニケーションをする
コミュニケーションには、カフェを設置するなど場を提供したり、社内報、スポーツ大会の企画から、社外の清掃活動なども事例として挙げられています。
3.休息・気分転換する
音楽を聴く・整理整頓をするなどは気分転換につながります。また、昼休みについつい業務をしていませんか?しっかり休むことも大切です。仮眠をとることはグーグルやヤフーなどが推奨し話題になった施策です。休息することで就業中の効率が高まります。
4.体を動かす
歩く、体操するなど座っている状態を少なくするようにすることで、生活習慣病の予防に繋がります。スタンディングワークや、オフィスのカーペットの色を変えてフロアを一周するように促している企業などの事例が挙げられています。
5.適切な食行動をとる
従業員食堂がある会社では、自身のからだをつくる食事に注意を向けてもらおうと栄養バランスを考えたヘルシーメニューを提供したり、カロリーを表示するなど工夫されています。また、健康的なお惣菜やお弁当を提供・配送するサービスも増えてきています。自身の裁量が大きく関係する食事面。「昼休みはどこもお店が混んでいて食べれない」「忙しくて食事の時間が取れない」と言うようなことがないように気をつけたいですね。
6.清潔にする
いくら運動したり食事に気を使って免疫を高めていても、清潔でなければ病気の感染原因になります。手洗い・うがいをする、自分の身の回りをキレイにしておくことも大切ですが、共有スペースのキレイさも普段の行動を誘発する要因の一つです。
7.健康意識を高める
従業員個人でもスマートフォンを持っていればアプリ等で歩数などの記録が簡単にできるので、積極的に自身の健康状態について知り、行動を起こすきっかけの一つとなるかもしれません。事例では、健康キャンペーン等の企画をしたり、自身で体重や血圧が図れるようなスペースを作っている企業が挙げられています。オフィスにある環境と個人の意識づくりを上手く支援する風土があれば、従業員が自律的に健康行動に取り組むことが出来るようになるかもしれません。
まとめ
企業側としては従業員の健康について考え、投資をすることで、従業員の仕事のパフォーマンス向上や従業員満足度向上につながり、働きがいのある職場が実現できます。
従業員がわくわくして仕事に取り組める環境があれば、従業員自身もその職場で健康で長く働くにはどうすればよいのかを積極的に考え、健康行動に取り組むようになると思います。
できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。
(*)健康経営オフィスレポートより抜粋
各事例については経済産業省の中小企業における健康経営のススメ及び健康経営オフィスレポートを参考にしています。