女川町×ロート製薬株式会社
  • 会社名:女川町×ロート製薬株式会社
  • 業務内容:復興支援・コミュニティづくり
  • 利用用途:地域住民を対象とした健康づくり推進プロジェクト
健康活動の継続意志80%!地域の生活習慣改善とコミュニティ活性化に貢献した取組みとは。
具体的な成果
<事前>運動習慣がない→68.8%
<事後>健康活動の継続意思→80.4%
※前期・後期に分け、町全体で取り組みを実施。

現在、日本の地方都市が共通して直面している、人口減少、少子高齢化などの課題。とくに東日本大震災後、東北でそれらが一気に表面化しました。その中で、女川町は2011年4月からいち早く、復興と未来を見据えた取り組みを展開しはじめます。東日本大震災の復興支援に取り組んでいたロート製薬株式会社は、活動を進めるなかで、そんな女川町の現状を知ることになりました。

同社が着目した女川町の大きな課題、それは「住民の健康」でした。住民のメタボ率や、こどもたちの小児生活習慣病リスクが高く、住民1人当たりの医療費が上がっているにもかかわらず、健康診断や医療機関の指導を受ける習慣があまりありませんでした。

そうした状況を変えるため、2016年6月に女川町と、特定非営利活動法人アスヘノキボウ、そして同社の3者が手をたずさえ「健康な町、女川町」を目指した連携協定を結びました。こうして町の未来づくりのために、住民の健康を促進する活動がはじまりました。

その一環として、Habi*doを使った健康づくり推進プロジェクト「健康100日プロジェクト」はスタートしました。住民は、「健康な町、女川町」に向けて、個人の目標とチームの目標を決め、100日をかけて自らが健康になるための取り組みを行い、一緒に楽しく健康づくりに取り組んでいます。

今回、この活動を推進してきたロート製薬株式会社の広報・CSV推進部 阿部真さんに、Be&Doのスタッフ 俣野がお話を伺いました。

俣野
俣野
阿部さんは、2015年から東北に移り住み、週に2~3日は、仙台から1時間半かけて女川のコワーキングスペースに通っています。
プロジェクトの立ち上げに際しては、自ら手を挙げて参画されました。震災直後からボランティアや業務を通じて、東北の復興支援に関わってこられたそうです。震災をきっかけに表面化した社会課題を、それまでにないやり方で解決しようと、東北での活動を続けていらっしゃいます!

Habi*doの運用方法

前期と後期で2回、いくつかの組織を規準にグループを作成しました。

(例)
・小学校教職員チーム
・〇〇会社チーム
など。(※各グループ十数名、全体で200名/年 規模で実施。)

健康100日プロジェクトの実施イメージ

阿部さん
阿部さん
Habi*do上と、リアルな場での交流の両方で、取り組みを推進しました。
プロジェクトで、チームごとに競い合っている中で交流が生まれ、それぞれのチームの周りにいる人たちに輪が広がっています。例えば、教育委員会の方々がこの100日プロジェクトを実施して、次は学校の先生に勧めて広まる。あるチームがこのプロジェクトを通してラジオ体操をやっていると、「一緒にやろうかな~!」と人が集まってくる。組織の中で、掲げている目標で会話が増える。組織の中でも、町の中でも健康活動が広がっていっている感じです。

Habi*doを活用した健康100日プロジェクトの実施目的

女川町での活動の様子

俣野
俣野
女川町の住民の健康に課題を感じられて、Habi*doで100日プロジェクトを実施するに至った経緯を教えていただいてもよろしいでしょうか?
阿部さん
阿部さん
復興支援の中で、健康数値が良くないと分かった時に、まずは健康問題がどんなことから生まれているのか、住民の方の生活スタイルを知ることからはじめました。
俣野
俣野
生活スタイルは健康に影響しますよね。
阿部さん
阿部さん
そうですね!実際、町内には畑がなく、スーパーへのアクセスもよくない為、十分な量の野菜を日常的に口にしていない人が多くいました。一方で漁港町なので、たとえばサンマなら1回の食事で3匹くらい食べてしまう人もいたり。青魚の脂は身体にいいといわれますが、食べすぎは高タンパク・高カロリーになりすぎるため、気づかないうちに生活習慣病のリスクが高くなってしまいます。そんな生活がごくごく当たり前になっていることがわかってきました。
俣野
俣野
生活習慣の中に原因があることがわかったんですね。
阿部さん
阿部さん
そうなんです。なので、100日くらいかけながら生活習慣を改善したら良いのではないかと考えました。私自身も社内で、Habi*doを利用した健康活動のプロジェクトに参加したことがあったので、ゲーム性があって楽しく取り組めて、健康のことを考えてもらえるきっかけとなると思い、導入しました。
俣野
俣野
なるほど!Habi*doは習慣化にぴったりですもんね!
阿部さん
阿部さん
はい!「歩くのが習慣になった。」とか「食べる量が少し減った。」など良い習慣を続けられているという声をもらいました。積極的に声をかけにいっていることもあってか、日常でもそのような声をもらうことは増えましたね。

健康100日プロジェクトの実施目的
生活習慣の改善の為、Habi*doで良い健康行動の習慣化に取り組んだ。

実際に「100日プロジェクト」を実施してみていかがでしたか?

Habi*doを活用したプロジェクト運営の図解

阿部さん
阿部さん
一時は、女川町がやっている健康活動イコール「健康100日プロジェクト」というくらいの知名度になったといっても過言ではないんですよ。健康づくりの推進が多くの人に認知され、広がりました。
やってみて良かったなと思ってもらいたかったので、「どういう取り組みにするか?」は毎回、試行錯誤しています。Habi*doの良いところは、1人1人が自分に合った目標や習慣を立てられることですが、何でも自由にしてくださいというのではなく、事務局側が、例えば、チームの歩数の目標をポイント化したり、目標は何個設定してくださいなどと、ある程度指定する方がうまくいきますね。
実は、チームによっては、活動をうまく進められず、失敗したケースもありました。それでも、「私たちのグループが今回うまくいかなかったのは、こういう点なので、次回はこういう風に取り組みたい」と改善案を出してくださる方々がいらっしゃいました。そういった取り組みの結果が、このプロジェクトの成功に結び付いていると思います。

今後について教えてください

阿部さん
阿部さん
直近のプロジェクトでは、生活習慣のアンケートを実施しました。事前のアンケートでは、「日常生活で歩くまたは似たような身体活動を1日1時間以上(※連続でなくてもよい)実施していますか?」に、68.8%が「いいえ」と回答しましたが、事後のアンケートでは、下記のように健康への関心が高まり、80.4%が健康活動の継続意思を回答してくださいました。

参加を通じて参加前と比較して少しでも変化したと感じること(グラフ)

取り組んだ活動は、今後も続けられると思いますか?

阿部さん
阿部さん
今後の課題としては、民間企業をもっと巻き込んで取り組んでいくことですね!健康数値で良くなかった人たちの中には子供たちも含まれています。子供たちの健康をつくっているのは親世代ですから、企業を巻き込んで今後は、「健康経営」「働き方改革」の文脈の中で、この健康プロジェクトを広めていきたいですね。

■ロート製薬株式会社
主な事業内容:医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売
URL:http://www.rohto.co.jp/
■女川町(おながわちょう)
宮城県にあり、太平洋沿岸に位置する町。
町域は、三陸復興国立公園地域に指定されている。
URL:http://www.town.onagawa.miyagi.jp/