Habi*do通信

働きがいは創り出せる~ポイントは「意義・重要性」~

やりがい。働きがい。

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働く人自身が自分で見つけ実感していくべきものであって、やりがいや働きがいは用意することはできない。
そう考えられている方も多いのではないでしょうか。

パナソニック社の前身である松下電器。ある社員が電球を磨く単純作業を任されていました。
その社員自身は「つまらない仕事だ」と感じていたようですが、あるとき創業者の松下幸之助氏から「それらの電球がいかに多くの暮らしを明るく照らしてくれているか」を説かれ、自分の仕事が世の中の役に立っていることを実感したそうです。
このことを機に、今までと同じ単純作業であっても「やりがい」を感じられるようになった、というエピソードがあります。
(※詳細は下記のブログにてご紹介しております。)

「やらされ感」なく「やりがい」を感じる組織やチームとは

自分の仕事のやるべき理由を理解し、納得した上で仕事に取り組んでいること。仕事にやりがいを見出せている否かはモチベーションや生産性に大きく影響を与えます。

松下幸之助氏の従業員に対する説明。これこそが社員のやりがいを作り出している、みなさんお気づきでしょうか?

働きがいにつながるコトとは

働きがい。決して給料だけが決めるものではありません。
2018年11月6日に公開された「職場における意義と目的」白書では、仕事の意義について、2285人の米国人プロフェッショナルを調査。調査対象は26業種にわたり、給与額や企業規模が異なり、人種や年齢層もさまざまで、その背景も多種多様な働き手。
そこでわかったのは、10人中9人が、より意義深い仕事ができるなら、生涯賃金の一部と交換しても構わないと思っていることです。年齢や給与額に関係なく、金銭的な条件は悪くなっても意義ある仕事をしたいと考えていることが分かりました。

働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書 (厚生労働省 職業安定局 雇用開発部雇用開発企画課)
中小企業における雇用管理制度の実施状況や、働く従業員の「働きがい」「働きやすさ」に関して実施した調査

働く従業員の「働きがい」「働きやすさ」に関して実施した調査
企業で行われている業務管理・組織管理のうち、それが「実施されている」場合と「実施されていない」場合とで、「働きがいがある」と回答した割合に差があったものをみると、

①各自に与えられた仕事の意義や重要性についての説明
②従業員の意見の会社の経営計画への反映
③本人の希望ができるだけ尊重される配置
④自分の希望に応じ、特定のスキルや知識を学べる研修
⑤提案制度などによる従業員の意見の吸い上げ

の順に差がありました。

2つのグラフの差が大きいほど、「働きがい」意識に違いがある。これらの雇用管理を行っている企業の従業員の方が、「働きがい」を感じているといえます。

「各自に与えられた仕事の意義や重要性についての説明」グラフの差が一番大きくなっています。つまりこの項目が働きがいにつながるということです。
終身雇用を前提とした働き方が崩壊。昔のように時間を削ってでも働き稼ぎたい、豊かになりたいといった望みを持つ人は少なくなっています。仕事に関する価値観そして働き方も多様化しています。
現在の豊かな日本社会では、沢山のビジネスパーソンが「自分の仕事の意義や重要性を知りたい、働く意味を知りたい。」と考えているのです。
多様化するワークスタイルの中、ただ目の前のことをこなし時間でお金をもらうことに価値を感じているのではなく、自身の能力や個性を活かしたい、育児や介護との両立をしたい、趣味を大切にしたい 等々さまざまな価値観を持ったうえで仕事に取り組んでいる人が多いのです。
多様化する価値の中、仕事の意義や重要性、働く意味が分からなくてははたらきがいは感じられない。給与が高いからと言って言われるがままに目の前のことをこなす、ことを受け入れられる人は少なくなっているようです。

とはいえ「各自に与えられた仕事の意義や重要性についての説明」を行うこと、日本の企業においてできている、とはまだまだ言えないのではないでしょうか。

双方の目指す方向・目標の共有の重要性

上意下達(じょういかたつ)。
年齢主義的で年功序列、縦社会を形成。日本の多くの企業で以前から採り入れられていたマネジメントスタイルです。経営層や管理職層が現場における細かなことにまで指示をトップダウンで展開します。現場の社員は上に意見を言うことはなく、仕事に対する理解がされているか否かにかかわらず、言われた通りに進めていきます。
トップダウン型マネジメント。効率的かつスピード感をもって業務が進むとはいえます。

現在の日本はフラットの組織に変わってきたとはいえ、現場ではまだまだ、
仕事をお願いするときに「とりあえずこれやっておいて」、
目標を考えるときに「とりあえずこの案件を終わらせよう」、
といったことを伝えているだけの上司の方、まだまだ多いのではないでしょうか。
ただ単に仕事の手順の説明があるだけで、各自に与えられた仕事の意義や重要性についての説明がなされていない職場はまだまだ存在するように思います。

やる気がない
顧客へのDMの送付・・・よくわからないけど言われた通り、封筒にチラシをいれて閉じて送付。
顧客への電話・・・よくわからないけどとりあえずリストへ電話をして定型文を読む。
どういった作業や仕事においても、その背景にある、「なぜそれをする必要があるのか」をやっている側が理解していることが大切です。
「このDMや電話することはお客様との再接点になるよ。もし興味をもっていただければビジネスにつながるかもしれない。この事業に賛同する顧客が増えてくれば、うちの会社が世の中をよりよくすることができるんだよ!」
こういった説明そして説明に対する理解がある上で行う作業や仕事であれば、やっている側も頑張ろうと思え、自分が貢献できている、世の中の役に立っていると実感することができるでしょう。DMにいれるチラシに工夫をしたり、電話で定型文の他にもこういうことを言ってみようといった行動へもつながるかもしれません。

仕事を誰かに任せる、お願いするということは実はとても難しいことです。任せる仕事の背景を共有し、質問や疑問に答えられるようにしておかなくてはいけません。そもそも任せる仕事について任せる側も理解しておく必要があるのです。
忙しい上司においては「そんなことは自分で考えろ」という人もいるでしょう。ですがそれはマネジメントの丸投げ・放棄とも言えます。
仕事を丸投げされた側は迷惑でしかなく、モチベーションは低下するしかありません。

「各自に与えられた仕事の意義や重要性についての説明」以外に「働きがいがある」と回答した割合に差があった雇用管理を順にみていくと、従業員の意見の会社の経営計画への反映、本人の希望ができるだけ尊重される配置、自分の希望に応じ、特定のスキルや知識を学べる研修、提案制度などによる従業員の意見の吸い上げ、とあります。いずれも自身の意見・希望、想っていることを会社側に聞いてほしい、聞いてもらえていることが重要であるという従業員側の気持ちの現われでもあります。

言われた通りに仕事をする、言われたことをこなすだけ、といった一方通行のコミュニケーションではなく、双方の目指す方向、目標の共有こそが必要なのです。

働きがいを高めるメリット

働きがいを高めることは従業員側のメリットのみならず、働く意欲が向上し、職場での定着率が上がり、さらには会社の業績向上に効果があることが調査で明らかになっています。(働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書/厚生労働省 職業安定局 雇用開発部雇用開発企画課 参照)
働きがいを高めることのメリット
メリット
・従業員の意欲が高まる
・ 従業員が定着する
・ 会社の業績につながる

人口減少にともない、人手不足を経営課題として挙げる企業が増えています。今後採用がより難しくなり、優秀な人材の獲得のみならず、必要な労働力自体の確保も難しくなることが予想されています。

「働きがい」を創り出せる会社。そこにこそ人材が集まる、成果へとつなげることができると言えるようです。