目標管理制度を導入している会社はとても多いのですが、現場からはあまりよいお話を聞きません。
評価する側の管理職者、被評価者、運用管理をしている人事部門の現場それぞれから不満がでています。
管理職者、被評価者、人事部門それぞれの不満とは
評価者(管理職)の不満
・掲げられた目標を見ても、その達成プロセスが目が行き届きにくいから、結局印象評価になってしまう。
・そもそも目標達成の成果だけで評価してよいものか、戸惑う。
・成果を問われるので、失敗しない範囲の低い目標を立てる風潮がある。とはいえ、自分も部門で高い目標を立てて未達の場合を考えてしまうので、目標を上げろという指導がしにくい。
・目標管理シートに書くこと自体が面倒だ。目標管理シートは指定された面談と考課のときしか実際は見ていない。
被評価者の不満
・どんな目標を掲げたらよいのか、そもそもわからない。
・目標管理シートに書いても、評価者が公平に評価してくれているのかどうか…。
・高すぎる目標は未達成の場合に評価がさがるのではないか。なので、ムリのない目標にしている。
・評価者はプロセスをどう評価してくれているのか、わかりにくい。
・面談の直前の印象が評価になっているような気がする。
人事部門の不満
・評価者教育が徹底できず、目標や評価にばらつきがでてしまう。
・被評価者のプロセスを評価者は日頃から見て欲しいが、実際は行き届いていない。
・目標管理が現場の運用に活かされているのか、そもそも疑問…。
以上のような不満は、「目標管理制度の形骸化」といわれている現象ですね。
私たちは「目標を持つ」「自発的にチャレンジする」ことがイキイキの土台にあると考えていますが、会社の中でその目標が面倒で不満の対象となっていることがとても残念です。
目標管理はそもそもは人事考課のためのものというより、マネジメントのツールとして考えると理解しやすいと思います。
成果がでるマネジメントの仕組みとは
誘因と動因を区別する
仕事への動機づけ(モチベーション)には、仕事の量を左右する「誘因」と、仕事の質を左右する、「動因」があると言われています。
誘因とは、外部からの要因によって行動が引き起こされるもの。褒賞制度等がそれに値します。しかし誘因だけでは質を高められません。
動因とは、人の内部にある要因によって行動が引き起こされるもの。誘因がなくても自分の中から湧き上がってくるものであり、承認欲求等がそれに値します。
この動機付けに深く関係する「誘因」と「動因」の考え方も取り入れ、成果がでるスパイラルを生み出すことが重要です。
自発的に目標を立てて、その目標に向かって行動する。
上司や同僚は、その行動を認め、アドバイスや適切なフィードバックをおこなうことで、自己効力感が高まる。
成果につながり、自信が生まれる。より高い目標にチャレンジする。
やらされ感から自分ごととして自発的に目標に向かってすすむ会社や社会に。
それが私たちの願うイキイキ社会です。