Habi*do通信

コロナ後の日本はどう変わる? 会社が見逃せない、4つの変化

終わりの見えない、新型コロナウイルス感染の拡大。経済活動の停止を余儀なくされたことによって、経営破綻する飲食店や中小企業も増えています。東京商工リサーチの調査によると、コロナ関連で経営破綻した会社は全国で128件にものぼるようです。
参考:http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200508_03.html

しかし、悪いニュースばかりではなく、明るいニュースも徐々に聞こえるようになりました。感染者が日本より多いドイツや中国はロックダウンを解除し、経済活動を少しずつ再開しています。
日本でも1日の感染者数は減少傾向にあり、少しずつではありますが、終息に向けて着実に1歩ずつ歩み出しています。首都圏の1都3県と関西の2府1県を除くの39県では緊急事態宣言が解除されています。(2020年5月18日時点)

終息に向かう今、企業にとって重要なのは、「アフターコロナ」の時代を生き抜くための働き方を考えること。
新型コロナウイルスが我々にもたらした影響は、身体的な影響だけではありません。これまでになかったテレワークやオンライン会議が多くの会社で実施されるなど、働き方にまで影響が及んでいるのです。

今、日本の働き方は大きく変わろうとしています。コロナ終息後も今までと同じような働き方では、生き残るのが難しいことは、経営者やマネジメント層の方々も理解しているのではないでしょうか。

コロナ後もテレワークを希望するビジネスパーソン

テレワーク

全国的な自粛期間は、テレワークの導入やオンライン会議など、これまでになかった働き方の導入に一気に拍車をかけました。

もちろん、予算上の都合テレワークを導入できない、仕事内容的にテレワークできないなどの理由で、今までと特に変わらない企業もあるでしょう。しかし、働き方の変わっていない人の中にも、コロナをきっかけに働き方の変化を望む人は増えています。

パーソル総合研究所が 4月10日〜12日に行った調査によると、コロナウイルス収束後のテレワーク継続意向は53.2%。 20-30代では6割を超えています。
テレワークで行える業務ではない、テレワーク制度が整備されていない、といった理由でテレワークができていない【テレワーク非実施者】の中でも「テレワークを希望する」と答えた人は47%と、ほぼ半数がテレワークを希望していることがわかっています。参考:https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/files/telework.pdf

現在テレワークを実施していても、コロナ終息後には従来の働き方に戻す企業も一定数はあるでしょう。しかし、上記の調査結果からわかるように、多くのビジネスパーソンは働き方に変化を求めています。

今後は、雇用や採用ブランディングのためにも、多くの企業が働き方を変化させていくはず。組織として変化が求められている今、従来の働き方に戻すのか、新しい働き方へ本格的にシフトしていくのかを考えることは、アフターコロナを生き抜くための大きなポイントです。

変化① 時間の使い方

時間の使い方

大きな変化は、なんといってもオンラインの普及でしょう。

「自宅で仕事なんてできない」「営業先には対面で会わないと…」などの不満の声も上がってはいますが、業務効率化という観点から見れば、新しい働き方を「食わず嫌い」するのはもったいないですね。

たとえば、テレワークの導入。当たり前だった会社までの通勤時間は、不要な時間となりました。自宅で仕事ができれば、毎日満員電車に揺られてストレスを溜めることなく、業務に集中できます。
今まで場所を確保して行っていた打ち合わせや遠方への出張も、研修も、セミナーも…すべてオンラインで済ませられます。無駄な移動時間を省けば、余った時間を業務にあてることができ、その結果、残業も減っていくでしょう。

管理職の皆さんは、社員たちが今まで使っていた「通勤時間・移動時間」をざっと頭に思い浮かべてください。その時間を、すべて業務時間に変えることができたら、どれほど業務効率はあがるでしょうか。

「だからといって、8時間働くことには変わらない」と思いますか?もちろん通勤時間が減ったからといって、労働時間を増やすわけにはいきません。しかし社員たちの「プライベート時間」の増加は、趣味や運動、家族との時間にあてられ、仕事へのモチベーションアップにもつながるはずです。

福利厚生のコストをかけるより、効率的で喜ばれ、なおかつメンタルマネジメントにも有効とあっては、「通勤時間・移動時間の削減」にはいいことしかありません。

変化② 企業と従業員の関係性

関係性

今回、雇用の安定性を保てず、やむを得ずに従業員を解雇した企業もあるかもしれません。しかしその企業も、コロナ終息後に経済活動が戻れば、人手不足から採用を考えることでしょう。

しかし、アフターコロナでは、採用・雇用の考え方も大きく変わるとされています。

ビジネスパーソンの意識が変わっていることは、先ほど申し上げたとおりです。そのような状況下において、「コロナ以前の働き方」にしがみついている企業は、就職先の対象から外される可能性が高くなるでしょう。アフターコロナでは、もはや企業と従業員、雇う・雇われる側という、単純な上下関係はなくなり、時代に適した働き方の導入と、従業員にとって魅力のある環境が求められていきます。

これからの雇用安定に欠かせないのは、エンプロイメンタビリティ(会社の魅力度)。あなたの会社には、どんな魅力がありますか?従業員が柔軟にワークスタイルを選べる制度は、しっかり根付きそうですか?

会社の魅力度?!注目を集める「エンプロイメンタビリティ」を高めるには

一人一人の社員を大切にして、「入社したい、ここで成長したい」と感じてもらいましょう。

雇用基準が大きく変わる時代。今のうちに、「自社の魅力度アップ」について、しっかり考えてみてください。

変化③ 優秀なリーダー像

リーダー

働き方が変われば、当然チームとしての在り方も変わっていきます。コロナが拡大する以前では、チーム全員が同じ場所で働き、毎日顔を合わせていました。しかし、テレワークの導入が根付き、コロナ前に比べ出社機会が減り、顔を合わせるのはオンライン。会議は多いけれど、雑談は減り、仕事の話に偏りがち、といった状況が続くでしょう。

このような状況でもチームで成果を出すには、リーダーが新しい存在に変化しなければなりません。

部下への指示、プロジェクトの全体管理といった今までのリーダーの仕事にプラスし、オンラインによるコミュニケーションを進め、テレワークであってもチームの一体感を作る力が必要となります。オンラインの特性とリスクを理解し、チームビルディングで成果を出すことが、優秀なリーダーの条件となっていくでしょう。

変化④ タスクとフローの見直し

ワークフロー

無駄な移動時間を業務に充てることができるテレワークは、業務効率化につながっています。しかし、それだけでは不十分。今後は、さらなる業務の効率化を目指す必要が出てきます。

まず手を付けるべきは、これまでなんとなくやっていた業務フローの見直し作業。直近では、捺印のために会社へ通勤しなければならないという「ハンコ問題」が取り沙汰されました。一部の大企業では印鑑を廃止し、電子契約サービスを導入するなど、業務効率化に向けた動きはすでに始まっています。

この流れに乗れない企業は、他企業と比べて生産性は向上せずに、業績不振に見舞われるかもしれません。コロナをいい機会ととらえ、なんとなくやっていた業務フローを見直してみましょう。本質的な改善につながる仕組みや、外部的要因に対応するための新たなフロー構築に取り組むチャンスです。

そのためにも、リーダー・管理職は、日々の業務で当たり前となったプロセスを疑い、固定観念を捨ててブラッシュアップしていくことが大切です。アフターコロナに向けて、今のうちから業務効率化の視点を持っておきましょう。

まとめ:アフターコロナを生き抜くために

アフターコロナ

今回、テレワークやオンライン会議、ウェビナーを経験した人々には、働き方に対する心の変化が生まれました。変化に合わせて、企業としての在り方も変わっている必要がありますね。雇われる側は、新しい働き方ができる環境を求め、その動きは決して後退はしないはずです。

今はまだ社会不安も大きく、国の指針すら定まっていません。企業としても、今すぐの大きな進路変更はできないはず。しかし、働くメンバーのための緊急施策であれば、思い切って手を付けてみてもいいのではないでしょうか。コロナ騒ぎの渦中で、どんな対応をしたか、コロナ後どのように変化できたか。これは、今後、「会社を見極めるバロメーター」になるからです。

ただし、「世間体を気にして導入した、回っていないテレワーク」のような、場当たり的で本質から遠い施策に意味はありません。もしあなたが、いまだに「テレワークは社員がサボる」などと考えているのなら、変化すべきは、社員でも会社でもなく、あなたです。視野を広げて、コロナ後に自分がどう評価されるかを、イメージしてみてはどうでしょうか。

今のうちからアフターコロナを生き抜くための戦略を考えることは、きっと後に追い風となって、あなたの会社を支えるはずです。この未曾有の困難を乗り切り、より良い会社を目指しましょう。