Habi*do通信

【開催レポート】テレワークにおけるマネジメント課題のリアル!激論LIVEトークセミナー

開催レポート!テレワークにおけるマネジメント課題のリアル

先行き不透明な時代の競争優位性を保つため、これまで人的資本や社会関係資本によって把握されてきた能力を活用するドライブとして、心理的資本®に注目が集まっています。

新型コロナ渦をきっかけに、組織運営の在り方を問われることも増えました。そして働き方の選択肢としてテレワークが常態化する中、目標に向けて自律的に前進していくポジティブな心の状態をいかに開発していくのか。

今回、いち早くテレワークを取り入れられてきた参天製薬株式会社、カルビー株式会社、島津製作所の実務家の皆さんにお集まりいただきオンラインベントにて徹底議論しました!当日の内容を簡単にダイジェストでご紹介いたします。

ご登壇いただいた皆さん

ご登壇者の皆さま

  • 藤間 美樹氏(画像左上)
    参天製薬株式会社 理事 人事担当
  • 石井 信江氏(画像右上)
    カルビー株式会社 人事総務本部 D&I・スマートワーク推進室 室長
  • 松本 由紀氏(画像右下)
    株式会社島津製作所 技術推進部 KYOLABS
  • 石見 一女(画像左下)※モデレーター
    株式会社Be&Do 代表取締役

自己紹介・直近のテレワークの取組みについて

藤間
藤間
テレワークは2020年2月の最終週に「まず1週間やってみて、長く継続できるように課題を洗い出してみよう」と開始。今でも出社には上司の許可がいる仕組みにして続いています。戦略と風土はそれぞれが良くても相性が良くなければ実を結ばないと思っています。テレワークをやるしかないとなれば風土を変えないといけないが、その際の戦略についてお話しできればと思っています。

藤間さんの紹介スライド

石井
石井
現在ダイバーシティ推進と働き方を担当。私自身も子どもが3人いるので、会社がテレワークを進めているということについては、働きやすさという意味で助かっています。当社では2020年2月にまずテレワーク推奨という形で開始をし、3月末から在宅ワークが原則となりました。7月には「Calbee New Workstyle」をスタートしており、出社の際は目的を明確にし申請制に。ワークスタイル変革のために進めてきたチャレンジがいくつもあり、6年前から在宅ワークに取り組んできましたが、こんなに一斉的にやったのは初めてです。
石井さんのスライド

松本
松本
イノベーションセンター「KYOLABS(キョーラボ)」を運営。社外の方に自社の技術を紹介しつつ、社会課題を解決するような新しいビジネスの種を育てていこうという場です。一時期休止もして、昨年と比べて来訪者は激減しオンラインでの打ち合わせが増えました。メンバーに加えて取引先の方とのコミュニケーションの取り方についてもお話しできればと思います。
松本さんのスライド

地方移住について

石見
石見
行政や各企業が移住やテレワークを推進しているが、実際に移住やワ―ケーションの希望や可能性について社内で話題になっていますか?
松本
松本
本来はイノベーターのような方はリゾート地からリモートで仕事をしているのかなと思うんですが、弊社は工場を持っている製造業なので移住という話は全く聞きません。東京支社の在宅率は高いがそれ以外はそうでもないですね。
藤間
藤間
地方に移住するというところまでは出ていませんが、、単身赴任を辞めて家族のところに戻るという社員はいますね。
石井
石井
当社も製造業なので、移住となると具体的な声としては挙がっていないですね。単身赴任の解除はテレワーク前提でできればと思っていますが、今のところ若干名というところです。

テレワークの長所と短所

石見
石見
テレワークによる生産性やストレスの変化、雑談の有無による影響などについて、実際に導入されてみていかがでしょうか。
石井
石井
これまでは「自分のライフとワークのバランスから使い勝手のいい人が使う制度」「使いたくない人は全く使わない制度」であったものが、原則となったことで、当初は息苦しさや、ずっと座っていることの疲労感を経験しました。開始して2週間くらいで各自が工夫や成功事例を共有するようになってきましたね。
藤間
藤間
物理的な工夫は必要だと思っています。部署によっては日々の状況報告の場を設けたことによって業務が改善しているところもあります。毎日会社でいつでも聞けると思うと抜けてしまうようなことも、きちんと把握しようとしたのでしょうね。
松本
松本
子どもの学校が休みになってしまっている中でノートパソコンを開いてオンライン会議をしてみても、面と向かって対話する感覚とは違っていて、戸惑いのための生産性ダウンというのはあった気がします。いまは出社と在宅が半々の割合なのですが、慣れてくると「出社の日はコミュニケーションをとって、在宅の日に集中作業をする」といったような使い分けができるようになってきて、バランスをとって集中できるようになってきた気がします。
石井
石井
今ちょうど「リアル」と「非リアル」をどう使い分けすべきか意見交換をしているところです。やっぱりリアルの方が・・・という例としては、現物を確認し合う商品企画系の業務、他にはアイデアを出し合うような会議はオンラインでは非常に難しいのでリアルの方がいいのでは、というような議論をしているところです。
藤間
藤間
半日かけてのブレインストーミングといったような長時間の会議は、会社に来なければしんどいと思っています。これまでも海外のメンバーとはオンラインMTGをすることもありましたが、大きなテーマの場合は対面によってわかりあえることもあるので、そういう場合は会った方がいいと思っています。

急激に進んだテレワークとその後

石見
石見
緊急事態宣言が解除されて以降、経済や働き方など、一部で元に戻そうとする動きも出てきているが、そのような世の中の変化についてはいかがですか?
松本
松本
弊社も一時と比べて出社する方が多くなってきたように感じますが、もともと育児や介護を抱える方の要望に沿ってテレワークを推進しようとしてきたこともあるので、今でも制度として据え置くことで、リフレッシュや気分転換も含めて多様な働き方を認めて生産性を上げようとしているところです。
石井
石井
戻したいと思っている人が少しいるのも事実ですが、仕事の仕方や集中できる環境が異なる社員一人ひとりがテレワークとオフィス出社それぞれのメリットを多少なりとも感じたので、今後は会社で一律に決めるのではなくて、社員に選択権があって本人にとって満足度の高い働き方ができればいいかなと思っています。
藤間
藤間
荒っぽい言い方をすれば、戻すなんてもったいないと思っています。テレワークをすることによって、子育てや介護を抱えた方が活躍しやすくなるし、難しいという方も、難しいことをすることによって社員もマネージャーも成長すると思うんです。ここを乗り切ることが大事だと思っています。

テレワークの評価について

石見
石見
評価について、やはり業務が見えづらいとか表情が見えないことで、評価をする側もされる側もなんとなく不安に思っているところがあるのではないかと思いますが、実践されていることやアイデアがあれば教えてください。
藤間
藤間
一つのキーポイントはフィードバックだと思います。そもそも評価のポイントや期待していることを一人ひとりの部下に伝えているのか。業務の進捗を推察ではなく明確に把握していたのか。評価が難しいというのは、本来コミュニケーションをとるべきことをやっていなかったのではないかなと思っています。当社では四半期ごとにフィードバックの機会を持つようにしていて、難しいことにみんなチャレンジしてくれていると感じています。
石井
石井
当社はそもそもフリーアドレスというステップを経てテレワークの導入に至っているんですね。とはいえしんどいというマネージャーもいます。そこで共通して言っているのは、部下からの報告を待つのではなく、メンバーに歩み寄って、上司として業務の進捗ベースで行動を見て情報を取りに行きましょうと。昨年から1on1も実施していて、オンラインだと場所を探さなくてもすぐに始められるのは結構いいという声もあります。
松本
松本
私も在宅の時は仕事の進捗確認がとりづらくなって、途中で「あ、これはまずいな」と思い始めてきて、積極的に声をかけるようになりました。
藤間
藤間
評価に関してはいつもマネージャーばかりが言われることが多いのですが、私は評価を受ける側にも責任があると言っています。「見てもらえない」と甘えないで自分からちゃんと報告しましょうと。ただ言われたことだけやっていても報告するようなことはないので、報告するためにも自律した仕事ができるようになって、メンバー一人ひとりにも力がついてくるのではないかと思います。よって、メンバーの自律を促す声掛けも必要だと思っています。
石見
石見
テレワークになったことで、上司も部下もそれぞれが自律的にアクションを起こしていかないとうまく稼働しないということですよね。本当の意味でチームメンバーが積極的にコミットしていくことがチームにとって重要なんだなと思いました。

質疑応答

参加者
参加者
(エッセンシャルワーカーを除く)誰もがテレワークを自由に選択できる環境になるための現状の課題は何だと思いますか?
松本
松本
一番はマインドセットかなと思います。日本は割と「みんなと一緒」が当たり前といったようなところがあるので、同調圧力的なものがなく、「テレワークをしたい」「テレワークの方が生産性が上がる」と思う人ができる環境をつくれれば良いのかなと思います。
石井
石井
当社では、これまでは「したい人がやっている」という制度で、したくない人やうまくできない人がいる中ではなかなか難しかったです。一斉にやったということは非常に大きくて、良かったところもあるし、難しいところも工夫して乗り切ってきました。オフィスワークに関しては、テレワークが難しいということはあってもできないことはないと思っています。やりづらいことはオフィスでやればいいので、そもそも「できない」という発想がある限りは広がっていかないのではと思います。
参加者
参加者
メンタルヘルスで業績に大きな差が出てきているように感じます。自律できない場合、マインドの変化や教育が必要という風に感じますがどうすればいいでしょうか。
藤間
藤間
研修もひとつだと思いますが、社長でない限り上司の上司がいるかと思います。組織なので、やはり上から正しい姿を見せてやっていくべきだし、本来はしかるべき人が正しいポジションについていて指導していくべきだと思います。そのうえで、正しい1on1のやり方といった研修もいるのかなあと思います。特に年配の方ほど、今までの経験に基づいて話していてはいけないことを理解すべきだと思いますね。

さいごに

石見
石見
これまでテレワークを導入してこられた経験に基づいて、これから始めるという方や困難に直面している方にむけて一言、ヒントとなるようなお話をお願いします。
松本
松本
私自身、オンラインでの対話というのは難しいなと感じることがあります。ただ「しっかり聞く」ということを意識してやっていくことで、質問も投げるし、表情をみて声も聴くことによってこちらも感性を高めながら相手の心をきこうとする姿勢があると信頼関係もできていくと思います。新しいツールや技術も開発されていって、慣れれば便利になっていくと思います。リモートワークをもっと円滑に進めるためにも、相手とわかりあいたいという気持ちをもって、好奇心をもって取り組んでいけたらなと思っています。
石井
石井
もし今回のコロナに関する状況については元に戻りつつあるとしても、またいつこのようなことが起こってもおかしくないですよね。去年の今頃は、翌年のオリンピックをどう乗り越えようかと話していました。とにかく業務を止めずに継続させていくということは絶対にやっていかなくてはいけないことなので、それぞれが準備をしておいて、テレワークも一定のレベルはできるようになっておかなければいけないのかなと思います。気軽に「いつでもできるよ」という状態になっておくということに損はないと思います。
藤間
藤間
これからの時代は、言い過ぎかもしれませんがカルチャーで会社の価値が決まると思います。この機会は、あるべきカルチャーに会社を持っていく良いチャンスだと思います。テレワークだけでなく、会社のカルチャーをどう築くかという戦略が大事になってくると思います。

※心理的資本®は開本浩矢氏および株式会社Be&Doの登録商標です