企業にとって最大の資産はもちろん「人」。
AIやIoTの発達、効率化やオートメーション化が進んでいるビジネスの場においても、それらの発展を進めるのは「人」。「人」がいなくては企業活動は成り立ちません。
人手不足倒産は現実に そして隠れ倒産も
労働力人口の減少。また有効求人倍率が高水準を記録し人材の流動が活発となっている今、人材の離職・定着が企業の課題となっています。また、継続的な売り手市場の中、採用難が続いており企業を悩ませています。
そして、深刻な人手不足が会社の運営を困難とし倒産へとつながる。これが現実のものとなっています。
2017 年度の「人手不足倒産」は114件と、4年連続で前年度を上回り、年度合計で初めて100件を超えた。増加幅も2年連続で拡大し、2013 年度比では 2.5倍に増加した。また、2013年度(2013 年 4月~14 年 3月)から 2017年度(2017年 4月~18 年 3月)までの5年間で発生した「人手不足倒産」は累計371件となった。
(「人手不足倒産」の動向調査(2017 年度)(株)帝国データバンク より引用)
また、倒産件数としてはカウントされない隠れ倒産なるものも存在しています。
2017年に休廃業・解散した企業数は2万8,142件(前年比4.8%減)で、3年ぶりに前年を割り込んだ。ただ、企業倒産が年間で1万件を割り込む中、倒産件数の3倍以上の企業が休廃業・解散を選択し、毎年4万社近い企業が市場から退出している。
休廃業・解散した企業の代表者の年齢は、60代以上が8割(構成比83.4%)と高齢化が市場退出の大きな要因になっていることが鮮明になった。業績の先行き不透明感に加え、経営者の高齢化、事業承継の難しさが休廃業・解散の大きな要因になっている。
(2017年「休廃業・解散企業」動向調査 株式会社東京商工リサーチ より引用)
アルバイトが雇えない、後継者が見つからない。そのような状況下で倒産する前に、黒字のうちに、事業として余裕がまだあるうちに、「廃業」の道を選ぶ経営者が増えているのです。
人手不足による経営の圧迫 有効なリテンション施策とは
特に人手不足が顕著な中小企業。賃金の引上げに迫られています。
正社員の 1 人当たり平均賃金の引上げについて、「引き上げる/引き上げた」とする企業の割合は、平成 28 年度は 59.0%、平成 29 年度は 66.1%であった。
正社員の 1 人当たり平均賃金を「引き上げる/引き上げた」と回答した企業の理由で最も多かったのは平成 28, 29 年度ともに「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」で、平成 28 度は 45.5%、平成 29 年度は 49.2%であった。
(中小企業庁 中小企業の雇用状況に関する調査 集計結果 より引用)
しかし、賃金が上昇したからといって、その上昇分を価格に転嫁するというわけにはいかないようです。
本来であれば、人手不足に対応するため労働コスト分を価格に上乗せするはずであるが、今のシェアの確保や他社との競争を優先させる傾向が続いています。つまり、人手不足による賃金上昇が経営を圧迫。人手不足により業務の運営を妨げているだけでなく、人件費高騰による経営圧迫にも及んでいるのです。
こちらのブログにもあるように金銭的な報酬だけで優秀な人材を引き留めるのは困難であり、「非金銭的報酬」が人材の定着には重要であると言えます。非金銭的報酬を前提としたリテンション施策、早急な実施が必要です。
女性、高齢者、外国人、障がい者といった多様な人材の活用を推進すること。在宅、リモートワーク、短時間勤務といった時間や場所にとらわれない働き方を認めること。
中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集
【中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会】
こちらの事例集にあるように、中小企業において人手不足解消に向けた非金銭的報酬による人材の定着、採用の取り組みを進めている企業は存在しています。
今人手不足が問題となっていない企業においても人手不足倒産は数年後に迫る状態やもしれません。
会社の資産である「人」について今一度考えてみませんか?