Habi*do通信

放置厳禁!クラッシャー上司の危険性と活かし方

「クラッシャー上司」という言葉をご存知ですか?

クラッシャー上司

クラッシャー上司とは、ミスや問題行動を起こした部下に対して必要以上に叱責を浴びせ、部下を“潰す”上司を指します。部下を潰して、退職あるいは自殺にまで追い込むクラッシャー上司の存在は、日本企業における労働問題の1つとして認識されており、たびたびメディアニュースでも取り上げられています。

そもそも、部下が潰れていく原因のほとんどは人間関係にあります。組織で働く以上、上司や先輩から逃げることはできませんから、まじめで優秀な人材ほど「クラッシュされて」しまう…という現状があるはずです。

今回はそんなクラッシャー上司について、特徴や企業に及ぼす悪影響などを解説してみます。

(ところで、この記事をお読みの皆さんは、まさか「クラッシャー上司」ではないはずですが…
ちょっと客観的に、ご自身と周囲の行動を思い起こしながら読んでみてくださいね。)

とにかくプライドが高い!クラッシャー上司の特徴

クラッシャー上司

企業の問題となりかねないクラッシャー上司。
彼ら/彼女らには、以下のような特徴があります。

  • 自分の仕事スタイルを部下に押し付ける
  • 仕事ができる
  • 共感性が低い
  • 情緒不安定な性格
  • 自分の間違いを認めず、部下へ責任転嫁する

クラッシャー上司に共通して言えるのは、とにかくプライドが高いことです。

「自分の仕事ぶりは誰よりも優れている」
「周りの言うことには納得できない」
「自分の言うことは全て正しい」

などの考えを持っているため、部下が自分のイメージと少しでも違う行動をすれば叱責し、自分の理想に矯正しようとします。

また、「俺にはできたのに、なんでお前はできないんだ!」と、部下の能力や気持ちを無視した言動が非常に目立ちます。

クラッシャー上司の大半は、仕事ができる優秀な人材であることも共通点の1つです。外側から見ると、クラッシャー上司の主張は正しく、実績もしっかり残しているため、誰も言い返せないのが厄介なところ。そのため経営層もクラッシャー上司をむげにできません。結果、クラッシャー上司はそのまま放置されてしまいます。

クラッシャー上司を放置する危険性

厄介なクラッシャー上司の放置は、組織全体に悪影響を及ぼします。具体的には以下のようなことが考えられます。

  • 業績悪化
  • 離職率の増加
  • 行動力のない弱小チームとなる

最も危惧すべきは、企業としての業績悪化です。「クラッシャー上司がいるのは一部の部署だけ」と軽く考えていませんか?たとえ一部の部署であっても、クラッシャー上司の影響はいずれ大きくなり、会社全体に波及します。

例えば、クラッシャー上司に耐えきれなくなり会社を辞めた部下が、その上司の存在を企業全体のこととして結びつけていたらどうでしょうか。SNSなどで風評がすぐに広がる時代です。「ブラック企業」の噂がたちまち広がり、企業としての信頼を損なわれ、業績悪化につながるでしょう。

こうした事例は少なくありません。だからこそクラッシャー上司を放置すべきではないのです。

イエスマンがつくるチームにも注意

イエスマン

行動力のない弱小チームにも、注意は必要です。これはつまり、クラッシャー上司によって作られるイエスマンの集団。
大きな組織では、「派閥」という名のチームがあるかと思いますが、そのトップに立つ人がクラッシャー上司であれば、その派閥はどう考えてもいい関係性ではないはずです。
周囲の意見は全て無視、自分が最も正しいという考えを持つクラッシャー上司には、誰も意見を言う気にはなれないからです。

会社組織の最大の利点は、さまざまな意見やアイデアが生まれること。上下関係や価値観の違いを超え、多種多様な人が活躍できる場であることが重要です。その利点を潰してしまうクラッシャー上司の存在は、決して軽視できるものではありません。

クラッシャー上司はなぜできあがった?

そもそも、なぜクラッシャー上司ができあがるのでしょうか?それは、日本企業の雇用形態が背景にあります。
企業の雇用形態には、終身雇用を前提とした「メンバーシップ型」と、人によって明確に業務を分担する「ジョブ型」がありますが、日本企業の多くはメンバーシップ型です。

メンバーシップ型は雇用の安定性が高いことがメリットに思えますが、同時に「上下関係」を強く芽生えさせてしまいます。長く働くことを前提としたメンバーシップ型の日本企業では、経験年数の長い上司と仕事をすることになるので、上下関係は当然厳しくなります。
そのため、部下は上司に対して強く反発できず、反発を受けない上司はつけあがり、徐々にクラッシャー上司へと変貌していくのです。

それに対し、欧米で採用されている「ジョブ型」は、採用前の段階から明確に業務内容を示し、業務にマッチした人員を配置します。その業務自体がなくなれば、人員の解雇も当たり前の世界なので、上下関係という概念が日本ほど強くありません。

また、自分の業務以外のことは基本的にノータッチなので、たとえ上の立場の人であってもイエスノーがはっきり言える環境でもあります。
これではクラッシャー上司はなかなか生まれにくそうですね。

もちろん雇用形態だけでなく、日本の思想文化もクラッシャー上司をつくる大きな要因ですが…

すでにいるクラッシャー上司にどう立ち向かう?

クラッシャー上司の特徴や放置の危険性を述べてきましたが、すでにクラッシャー上司が組織内にいる場合はどう対策すればよいのでしょうか。対策の一例をいくつか挙げてみましょう。

社内のコンプライアンス規定の見直し

→クラッシャー上司を放置しているのなら、まずはコンプライアンスの見直しを図るのがよいかもしれません。
ハラスメント防止研修を取り入れたり、コンプライアンス体制の更なる強化を検討してみましょう。

人事システムの見直し

→コンプライアンス体制は整っているんだけど…という場合は、人事制度を見直してみてはいかがでしょうか。クラッシャー上司は優秀な人が多いので、部下をつけなくてもできる単独の仕事を任せるなど、適切な人員配置をしてみましょう。
クラッシャー上司の良い部分は残し、悪い部分を取り除くと、業績向上にも期待が持てます。

ITシステムを導入し、マネジメントを最適化

→クラッシャー上司のマネジメントがうまくいっていないと感じるならITシステムの導入もおすすめです。
弊社のHabi*do(ハビドゥ)では、最適なマネジメントができるようデータを基に支援します。直接意見を言うと反発するクラッシャー上司には、ITの力を使って、論理的に伝える方が効果的でしょう。

メンタルヘルス対策の導入

人間関係の問題の多くは、不健全な心理状態が原因です。メンタルヘルス対策で、クラッシャー上司のもとで働く部下のケアはもちろん、クラッシャー上司自身の根本的な問題を解決するのも1つの手です。

クラッシャー上司、どうしよう!

クラッシャー上司どうしよう

長らくメンバーシップ型だった日本企業も、終身雇用制度の崩壊や時代にそぐわない雇用法が指摘され、ジョブ型への移行を考える企業が増えてきました。

変化の過程で、クラッシャー上司の存在がブレーキとなる可能性もあるでしょう。クラッシャー上司は優秀な人が多いので、見放すのも企業としては惜しいところ。だからこそ、クラッシャー上司をうまく生かせる場を作る「組織体制の変化」が重要になるはずです。

クラッシャー上司は、マネジメント面においては厄介な存在です。しかし異論や異分子を認める体質を作っていかなくては、組織の変革やイノベーションは起きません。見て見ぬふり・・・ではなく、クラッシャー上司を活かす組織体制について、今一度考えてみませんか?