物足りない管理職
ここ数年、様々な会社、団体の代表にお会いしていると、管理職に対する物足りなさを口にされることが多くあります。
チーム全体の仕事、部下の目標・行動を結果でしかコントロールできていない。
部下が今何に取り組んでいるのか見えておらず、報連相しない部下が悪い!と考えている。
部下の日報に確認印は押しているが中身を把握していない。
中には、期末に結果を出してくれればそれでいい!と放置している…。
なので、同じ失敗を繰り返したり、若手社員が育たず、すぐ辞めていってしまう。
さらにはその原因を若手社員のせいにしたり、採用した会社のせいにする、という悪循環。
みなさんの周辺でも思い当たることがあるのではないでしょうか。
よく聞く話ではありますが、円滑な組織運営の為には、看過できない重い課題であることは間違いありません。
勝手に育つ時代ではない。
ただ、当のご本人たちからすれば、自分も担当を持っていて忙しい。
そもそも初めてリーダーになった日からこれまで、管理職として何をしなければならないかを教えられたこともない。それなのに「しっかりやれ!」と言われても…というのが本音かもしれません。
それに対して経営者は、「自分は教えられなくてもやってきた、その気になればできるはずだ!」とつい言ってしまいたくなる…。分からなくもないですが…。
良いチーム・リーダーとは
かつて、私が新入社員だった昭和の時代。
「俺の背中を見て学べ」とか、「俺は放っておかれて育ったもんだ」とか「とにかくやってみろ」という管理職が珍しくありませんでした。
環境がいい時代はそれでも結果が出ていたので、スタッフはついてきたかもしれません。
しかしその前提が変わってしまった今、そうはいきません。「勝手に育て」ではなく、意識してマネジメント人材を育て、良いチームを作っていく必要があるのではないでしょうか。
良いチームとは
私の様々なコンサルティング経験の中でみていくと、スタッフが前向きで一体感があり、いい組織であると感じるチームには、次の4つのポイントが当てはまると思われます。
- ポイント1
- 目標(大きくても小さくても)や現在の組織状況が共有化されている
「今日は○○をたくさん売るぞ!」
「今月はこの経費が計画より○%上がっているので皆で気を付けよう」
- ポイント2
- スタッフに仕事が任されている、自分で行う機会が与えられている
「この仕事を前任者より迅速に仕上げられないかやってみよう」
「この仕事を頑張ればもっといろんなことをさせてもらえるかも」
- ポイント3
- スタッフ一人ひとりが適正に評価されていると感じている
「私の目立たない努力を見てくれている」
「いつも気を配ってくれてありがとう、とほめられた」
- ポイント4
- スタッフ同士でコミュニケーションが図れている
「私の仕事がひと段落ついたから、手伝うわ」
「あなたがいなかった朝礼でこんなルールが発表されていたので、気をつけてね」
良いリーダー人材
重要なことは、4つのポイントは、メンバー一人ひとりの能力や感度によるものではなく、意識して環境づくりをすれば整うものだということです。
そして良いリーダー人材とはこの環境づくりができる人と言ってもよいでしょう。もちろん、環境というからには一度の打ち上げ花火では整いません。
派手な成果ではなく、メンバーと日々繰り返すやり取りの中で着実に関係を築き上げていくことができる習慣を身につけた人材です。
経営者にとっては、直接点を取ってくれる人材はもちろん、大変魅力的ですが、メンバーに点の取り方を教えてチームに戦うムードを作ってくれるリーダー人材はさらに魅力があるはず。
まずは、一度、4つのポイントで各チームを点検してみてはいかがでしょうか。そしてリーダー人材の育成に本格的に取り組んでみてはいかがでしょうか。