Habi*do通信

組織変革を成功に導くには~イノベーターを生み出す~

新型コロナウイルスによる影響を受け、企業には経営戦略の見直しが迫られてます。目まぐるしく事態が変わり続けるコロナ禍の社会、そしてその後の世界。これからの企業が生き残っていくために、組織の構造的変革が求められています。

変革そしてイノベーションを起こすことができる組織とはー。どうすれば組織変革が進められるのか、考えていきます。

組織変革と業績の板挟み

変革物が売れない時代。新製品を出したからといって簡単には売れなくなりました。消費者の”わくわく”や使えそうと思わせる共感、想像力を駆り立てる価値観を持つ製品そしてサービスを生み出せるか否か。

求められているのはイノベーション。新しい価値を提案する力。変革の思いを持つ企業の経営者は増え、経営者の発信内容には「イノベーション」や「変革」という言葉が多くみられるようになりました。

一方で、現業を効率的に回し成果を獲得する「業績」も求められています。また、新型コロナウイルス感染症に起因する景気後退により業績が悪化につながれば、企業はコストの削減にも取り組まなくてはならないでしょう。

現業での成果がふるわず苦しくなる中で、目に見える成果がなかなか上がらない変革への取り組みに対し二の足を踏む、といったことも起きているかもしれません。

中長期的に推進すべき変革と業績の板挟み。しかし、何もしなくては何も変わらないのです。

急に変革が始まるわけはない

期が変わったから急に新たな価値観が見いだせるわけはありません。新しい人材を採用すれば、勝手にイノベーション人材に育つわけでもありません。ある日突然、 いきなり斬新なアイデアが空から降ってくるわけではありません。

地道な試行錯誤を継続する。その取り組みを支援し奨励する組織づくりを追求する。その結果「変革」がカタチになるのです。

イノベーションと言うと、ぱっとした思いつきで即成果がでるといったイメージがあるかもしれませんが、アイデアを行動に移し具体的なカタチにするためには相当な労力がかかります。イノベーションは”結果”として生まれるものなのです。そのように考えると、当然ながら組織変革も一日や一週間でできるものではないのです。

簡単に変わるものではない。そうであれば、これからの未来を見据えて道を探し続け、組織を変革する動きを止めてはいけないのです。業績が悪化したからといって、とにかくコストを削減するという安直な考えでは何も進みません。

会社・組織とは「人」から為る

一つの製品が完成されれば一生売れ続けるわけではありません。一つの新商品ができたからといって、組織変革が達成されたとも言えません。
組織 人会社、組織とは「人」の集まり。新しい発想や製品は人が生み出すのです。

新たなことにチャレンジする個人の存在。その個人の集合が組織です。そのチャレンジを後押しできているでしょうか。チャレンジには失敗はつきものですが、失敗を許容し次につなげる行動を促す支援を行えているでしょうか。

企業が環境変化に自律的に対応していくためには、そこにいる「人」が組織を、そして自分自身が変化に適応し成長を目指す行動をすること抜きには考えられません。

変わらなければならないというのは呼びかけのようなもの。結局目の前の仕事をこなしているだけでは変わりません。
組織開発や風土改革の必要性を声高らかに訴えたとしても、何ら変化は感じられません。これまでと同じことを繰り返していては、変革人材は生まれないのです。

「人」に着目する。組織とは「人」の集まりであることを忘れてはいけません。そしてひとりひとりが行動を起こし前進しなければ前向きな変革につながらないものと思います。

イノベーターを発掘する~全員を動かすことは難しい~

ではどうすれば変革が起こるのか。

縦割り組織やセクショナリズム。日本企業の組織は、縦割りからの脱却しきれていないのが現実です。縦割り組織の内部にいる場合、その役割を超えて発想することは難しくなります。
こういった難しい状況でも組織変革を突き進めるには、全体一律な訴えかけや働きかけだけでなく、イノベーターやアーリーアダプターを発掘し巻き込む動きが必要です。

イノベーター理論エベレット・M・ロジャーズ氏が提唱したイノベーター理論という理論をご存じでしょうか。
『イノベーション普及学』という著書の中で 1962年に提唱されました。消費者の商品購入に対する態度をもとに新しい商品に対する購入の早い順から分類したものです。

イノベーションを普及させるためには、新しいものやことに対して積極的な、イノベーターやアーリーアダプターが重要であるとされています。イノベーター理論では、商品の普及率がアーリーアダプターまでの16%を超えると、シェアが爆発的に拡大すると述べています。

ここで大切なことは、イノベーターやアーリーアダプターが火付け役になりますが、シェアが拡大する時にはマジョリティの存在が重要になるということも忘れてはいけません。

組織の変革に関しても同じようなことがいえるのではないでしょうか。
人は変化を恐れる生き物です。組織改革をしようとすると、残念ながら変化に反対する人が存在するので、スムーズに進んでいくことはあり得ないのです。

それでも組織に前向きな変化を起こしたいイノベーターやアーリーアダプターを組織から探し出し彼らにリーダーシップを発揮してもらう。組織変革の火を灯すこと。その火を組織内に拡大していく時には、マジョリティのフォロワーシップが重要になると思います。どちらも欠けてはならない存在です。

人の潜在的価値や強みにフォーカスし、それらの連携により新たな成果を生み出し、ありたい姿を描き共有すること。そこで、はじめて効果的な変革の戦略が立てられるのです。


時代の変化に適応した新規事業を創出し、価値を生み続ける組織に変革するためには、イノベーターという存在が必要不可欠です。イノベーターの素質がある人材は実は外に求めなくても潜在的に存在しているのです。その潜在的なイノベーターを発掘し、起動させるか。まずは、継続的な取り組みに対する覚悟が必要となります。

2021年。多くの企業が、変革に挑戦していくための一歩を踏みだす重要な年になりますように。