Habi*do通信

前向きな「ネガティブフィードバック」で部下の成長を促そう

管理職が避けて通れない道の一つがフィードバック。
相手の良いところを褒めることはもちろん大切ですが、時には良くない部分を指摘…いわゆるネガティブフィードバックをしてあげなければいけません。

とは言え「ネガティブフィードバック=悪いフィードバック」ではありません。
むしろ良くなかったところは積極的に指摘してあげる方が部下のためになるのです。

今回は、ちょっと扱いの難しいネガティブフィードバックについて見ていきましょう。

難しいけど必要なネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックは、評価対象者の問題点を指摘し業務改善につなげるものです。
主に設定した目標に対して軌道修正を促す目的があります。

つまりネガティブフィードバックとは、部下にとっては耳の痛い内容だということです。

効果的な振り返りではあるものの、少しやり方を間違えれば「人格を否定された」と思われてしまう諸刃の剣でもあります。

実際「褒めるのは得意だけど、悪い部分を指摘するのは苦手」という上司の方も多いかもしれません。

また2019年5月には、職場における「いじめ・嫌がらせ」の防止を目的とする「パワハラ防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)」が成立し、2020年6月に施行されました。

良かれと思って言ったことも、伝え方次第でパワハラと受け取られてしまう…。
背後にパワハラがちらつき、部下へのネガティブフィードバックを敬遠してしまう上司もいるのです。

ネガティブフィードバックのメリット

ポジティブフィードバックとは対極にあり、相応しくないと思われがちなネガティブフィードバック。
否定的な内容を伝えることに一体どのようなメリットがあるのでしょうか。

最も大きなメリットは、やはり部下の成長につながるということでしょう。
あえてネガティブな表現で返すことにより、何が問題なのかを部下自身が考え、状況を打破する力が身につきます。

また自分の問題点に気づくことができれば、効率良く目標を達成するための手順が可視化されるでしょう。

たしかに優しい上司なら「相手の良いことだけ伝えてあげたい」と思うかもしれません。
しかし明らかな失敗に対して何も触れない、ポジティブフィードバックで終わることが、果たして部下にとって良いことなのでしょうか。

ただ褒めるだけは、伸びしろのある社員もそこで満足して成長を止めてしまうかもしれません。

今後、優秀な幹部候補生やリーダー候補生を育てていくのであれば、ネガティブフィードバックも時に必要となるのです。

伝え方が9割なネガティブフィードバック

フィードバックをする上司

部下の成長を促すためのネガティブフィードバック。

とはいえ、正しく上手に伝えなければ相手にパワハラだと捉えられてしまうこともあります。
ではパワハラと捉えられず、効果が出るネガティブフィードバックはどうすれば良いのでしょうか。

まずはポジティブな言葉を添えて褒めましょう。
先に褒めておくことで、「こうすればどうかな?」「ここを改善してみればどう?」といった上司からの指摘を部下が受け入れやすくなります。

そして指摘をするときは駄目出しにならないように注意が必要です。
相手は部下である前に一人の人間、プライドを傷つけないように配慮してあげましょう。

部下を十分に理解できていない状態でのネガティブフィードバックは、かえって逆効果です。

ネガティブフィードバックの注意点

上司がネガティブフィードバックをする際の注意点は、大きく分けて4つあります。

1.情的ではなく論理的に

自身の想いや感想、主観を伝えないようにフィードバックをしましょう。
相手を思いやる気持ちを持ち、その人の人格に触れないようにすることがポイントです。

「だから君はダメなんだ」
「本当にルーズな性格だ」

このように仕事に直接関係のない話は、人格否定として受け取られてしまいます。

その事柄に対して話をしているというスタンスを明確にしましょう。
なぜ厳しいことを言っているのか、相手を思いやるからこそであると伝える必要があります。

2.リアルタイムフィードバックに努める

効果的な方法として「リアルタイムフィードバック」があります。
リアルタイムフィードバックとは決められた日にまとめて評価をするのではなく、その仕事が完了してすぐにフィードバックをすることです。

直後に伝えることで内容が浸透しやすく、仕事の進捗に合わせて軌道修正もしやすくなります。
またそのつどコミュニケーションをとって評価を下すため、相手にとってもわかりやすく誤解が生まれないのもメリットです。

リアルタイムフィードバックは、部下も上司もストレスが少ない評価方法として知られています。
ネガティブフィードバックこそリアルタイムを意識し、今は忙しいからと怠らないようにしましょう。

3.関係性の構築を重視

どうしてもネガティブフィードバックが失敗に終わる上司は、先に部下との関係構築が必要かもしれません。
尊敬している相手からの指摘は愛のムチであり、ありがたい言葉にもなり得るからです。

「元気なさそうだけど大丈夫?」
「最近頑張ってるね」

どんな些細なことでも構わないので、このような声かけから始めてみてはいかがでしょうか。
上司部下の間で相互理解ができて、初めてネガティブフィードバックは成り立つのです。

4.内容は具体的に

ネガティブフィードバックは曖昧にせず、具体的な指摘を心がけましょう。

「全体的に改善の余地がある」というような指摘は、どこに問題があったのか理解しづらく、ただ批判されたと思われてしまうからです。

具体的な数値も交えながら、目標と現状にはどのようなズレが生じているのかなどを説明し、相手が納得できるようなフィードバックにしましょう。

まとめ:ネガティブフィードバックも時には必要

ネガティブフィードバックを実施することで、部下は仕事の進め方を改善します。
上手な伝え方ができるようになると、結果として会社全体で改善を促す風土が生まれるでしょう。

そして結果的に部下のスキルアップと成長、ひいては組織の強化につながります。

ネガティブフィードバックによる効果が出れば、「あの時しっかり言ってもらえて良かった」と上司に感謝する日が来るかもしれません。