2020年4月22日の緊急事態宣言下で登壇者・参加者ともに自宅から参加するミートアップ形式のイベントを実施しました。本記事は興味深い大放談トークをまとめたレポートとなります。
新型コロナの影響でテレワークをはじめられた方も多いのではないでしょうか。
働き方改革が、この新型コロナの影響で想定以上のスピードで変わっていっています。そしてコロナはこれまでの組織マネジメントの在り方まで変えてしまうのではないか…。
ということで、そんな思いを感じているであろう方々とオンラインディスカッションをしてみたい、緊急事態宣言直後に緊急企画を立ち上げ、Home to Home方式のオンラインイベントを実施しました。
イベントでは、これからの働き方や組織の在り方、人材マネジメントについてのヒントになる貴重な話題が数多く登場しました。
本レポートはパネラーの方々から率直な本音や、これからの展望が数多く聞かれたディスカッションを書き起こしました。
パネラーの皆さん
1985年神戸大学卒業。同年藤沢薬品工業(現アステラス製薬)に入社、営業、労働組合、人事、事業企画を経験。人事部では米国駐在を含め主に海外人事を担当。2005年にバイエルメディカルに人事総務部長として入社。2007年に武田薬品工業に入社し、本社部門の戦略的人事ビジネスパートナーをグローバルに統括するグローバルHRBPコーポレートヘッドなどを歴任。2018年7月に参天製薬に人材組織開発本部副本部長として入社し、2019年4月に執行役員人事本部長、2020年4月より現職。参天製薬のグローバル化を推進。M&Aは米国と欧州の海外案件を中心に10件以上経験し、米国駐在は3回、計6年となる。グローバル化の流れを日米欧の3大拠点で経験し、グローバルに通用する経営に資する戦略人事を探究。人と組織の活性化研究会「APO研」メンバー。
神戸大学農学部卒。フジッコ株式会社商品開発部に入社し、おまめさん、おかず畑、塩昆布など多数の商品開発に携わる。営業企画、マーケティング、広告宣伝等を経験し、2006年より、通信販売事業部にて、商品開発、広告販促全般を担当。通信販売事業部長、マーケティング部長を経て2020年4月より現職。
一橋大学卒業。上場ファッションメーカー、化粧品メーカー、組織コンサルティング企業(UFJ総合研究所、識学)などを経験。取締役として最大170人のマネジメントに携わる。自らのマネジメントとコンサルティング経験に基づき、株式会社タバネルを設立する。OKRの導入、運用のコンサルティングを中心に組織コンサルティング、企業研修を行う。著書に『本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR』
専門はクリエイティビティ・マネジメント、組織行動論、人的資源管理論。著書『クリエイティビティ・マネジメント』『入門組織行動論(第2版)』『研究開発の組織行動』等。直近では2020年6月に『こころの資本~心理的資本とその展開』を翻訳出版している。
モデレーター
武庫川女子大学文学部卒業後、1985年に25歳でセールスプロモーション系人材派遣会社を創立。1994年に組織・人材活性化コンサルティング会社を共同経営で設立し数十社の組織活性化コンサルティングを行う。1998年から組織論の第一人者である加護野忠男先生、キャリア論の第一人者である金井壽宏先生のご指導を得て「人と組織の活性化研究会(APO研究会)」を設立。2011年に株式会社Be&Doを設立。 【講演、著作物】「なぜあの人は『イキイキ』としているのか」第1章30歳はきちんと落ち込め執筆 (2006年,プレジデント社)、「R&D部門の“働き方改革”とその進め方」第9章,第3節 イノベーションを生む人材マネジメントの体的手法執筆(2018年,技術情報協会)そのほか、寄稿、執筆
ポスト・コロナで成長する組織とは?(前編)
新型コロナのパンデミックが始まって、みなさんいろんなことが急激に変わっていったのではないかと思います。
私たちも自宅でテレワークをしています。
本来なら今年オリンピックが開かれる予定だったので、東京都から旗を振って「開催されるタイミングではテレワークで」と言っていましたが、それでも無理だろうなと思っていましたが、この緊急事態で、一気にテレワークができる環境に移行していきましたね。
これまで自分たちが常識だと思っていたことが随分変わってきています。今日は参加者の皆さんといろんな意見を出しながら議論していきたいなと思っています。ぜひ本音で喋っていただければと思います。
では藤間さんから自己紹介をしていただきながら、最近ご自身の周りで起こっていることをお話しいただければと思います。
すると今まで、不備なんだけどなんとかこなせていたことが、こなせないことで課題が見えてきました。これからは、その課題に対応できる会社や組織と、終わったらもとに戻ってしまう組織で差が出てくるんじゃないか、そんな風に思っています。
今回、外圧があると一気に変わるんだなという意味ではいいことだったんじゃないかなと思っています。文科省ですら変わってきているので、僕たち大学の人間も柔軟に、むしろ前向きにいかないといけないなと思っています。
在宅の場合、人によってずいぶん働き方や成果の出しぶりが違っています。スムーズにWEBツールを使える人はどんどん自分で会議を主催したりコミュニケーションしていくんですが、なかなかそこがおぼつかない人は2週間くらいかかってやっと連絡が取りあえる状態だったり。ここまで劇的に変わることはこれまでなかったなと思っております。
今、自発的に改善を進めていけるチームと、なかなか適応できないチームの差っていうのがでてきてるんじゃないかなと。ちょっとしたコミュニケーションもそうですし、会議の開き方もそうです。雑談をどんどん取り入れましょうよというところもあれば、まだタスク管理に終始してしまってるところとか、そのあたりが大きな差になってきている。
会社にいたら許可や承認をとって進めていた文化から、在宅でどう工夫していくかという状況になり、奇しくも自発性とか自律性の差が可視化される状況になってきているのではないかな、と感じています。
先ほど開本先生も日本の組織は外圧がないとね、みたいなことをおっしゃったと思いますが、こういう変化は組織や人の思考にどういう影響を及ぼすものだと思われますか?
だけどチャレンジを繰り返して乗り切った経験のある人や、志の高い人、そういうちゃんとしたリーダーが引っ張っていくことが必要じゃないかなと思います。そうでないと組織共倒れになりそうですし、組織がコロナ後どうなるか?の分岐かもしれません。
変わった部分だけにフォーカスを当てて悲観をするのか、それとも変わっていない現状の部分を活かして今後新たな機会を探索するという楽観主義でいくのかが、結局一番大きな差になってきていると思います。
藤間さんがリーダーの役割の話をされたとおり、企業のトップがこういうときに今回の状況を楽観的に捉えられるかどうか?っていうのが、組織全体がうまく乗り切れるかどうかに、すごく大事だという気がします。
当社の場合はトップがまず人命優先であると明言しました。要するに社員ひとりも傷つけたくないんだという話を第一にして、当初は全然できる体制はなかったものの、とにかく在宅しなさい、来ちゃいかん!という感じになっているんですね。ただし一方で、ライフラインである食品の供給が止まると社会不安になるので、食品企業の従業者として食品の供給はしっかりやろうと。
食品の供給をしっかりやることと従業員の安全性の両方を、いかに一緒にやるのかということをみんなで考えようということで、ライフラインの供給に従事する社員は本当に必死にやっていますし、そうでない社員は後方支援をやりながら、限りなく在宅率を上げて政府の8割減らす目標に協力するんだという意識でやっています。
トップから最初にメッセージが明確にあったので、優先順位は常にその順番で考えるということができました。この2週間ほど毎朝9時半からWEBミーティングで役員層と各部門長が入る会議体があり、そこで通常の意思決定とは全く違うスピードでいろんなことを決めていくという体制になっています。そういう意味でも、トップというのは非常に重要だと思いますね。
テレワークはダイバーシティの観点からも以前から推奨していて、昨年の夏にはいろんな制限を撤廃していたものの、週に1回テレワークくらいのペースでした。これを今回まずは一斉に一週間テレワークできるかのトライアルやりました。とにかくやろう、いろいろ課題が出てくるので、その課題をつぶしていこう、と進めてきて今に至ります。
今は毎週月曜のそのミーティングで、前半30分はコロナ危機対策委員会として、メンバーを広げてやっています。今の課題は、我々は製造業として生産を止めないために、世界中から材料を仕入れている供給のサプライチェーンは大丈夫なのかとか、そういった課題が今のテーマですね。
目標がすごく明確で、目標への熱意がきちんとあれば、とにかくやってみようということで1歩を踏み出せると思うんですよね。やり方はその後やってみていろいろ問題があれば修正しないといけないですし、参天さんだったらサプライチェーンの問題を考えるという。やる前からサプライチェーンの問題とか考えていたら、たぶんスタートできなくなって、今のような在宅勤務の形にはなってなかったかもしれません。
ゴールに対する熱意みたいなものと、そこに至るための手法をたくさん選択肢として考えてるっていうポジティビティ、HOPEとか希望という概念で説明するんですが、そういったものがあるかどうかというのはとても大きいと思います。
それに加えて、先ほどおっしゃっていたように100点になるまで発進できないよという考え方だと危機とか変化のスピードに対応できないので、50点でもいいから始めてみて、改善していきましょうというのが危機とか変化への対応には大事です。まさしくイノベーションとか新製品開発でMVP(実用最小限の製品: minimum viable product)と言われる、最小限の機能でお客様の声を聞けるような商品を作りましょうといった考え方。本当に50点でもいいのでまずやってみて、そこから改善を繰り返しスピードを上げていくというのが、藤間さん寺嶋さんも仰っていたところかなと思います。
ここからは皆さん自由に話していただければ。
しかも目標管理って、組織の今期の目標をブレイクダウンしてあなたの目標にするっていうことをしていると新しいことがないですよね。評価の仕組みの中に、新しいことをやるとか、何か自分の持ってる仕事の中に何でもいいから付加価値をつけるというような仕組みを持つ組織、要は意識の高い人だけではなくてみんなでできる仕組みや評価制度を作っていかないと絶対追いつかないと思います。
10人の組織から100人の組織、一人だけ考えているよりも、みんなが考えて、アイディアが100個でてくる。もちろん使い物にならないものが山ほど出ると思いますけど、一人の力よりもみんなの力をつけていく。とにかく「今のままでいいんだ」という考え方で安住する人はダメで、常に何かおかしいはずだという意識を持っている人が多くならないとダメなんじゃないかなと思いますね。
そうすると面白いんですけど、テレワークになって会議の参加メンバーが減りました。大勢だと議論しづらいじゃないですか。おのずと今まで10人だった会議が4人とか5人で成り立ってるんです。そこからはじかれた「いらない人」っていうのが見えてきています。会議を主催する人がアジェンダを示さなくとも、目的意識をもって「今度会議でこれ言わなきゃ」とか「私これを確認しよう」とか、常に今までこんな課題があったから次何をするということを意識してる人が会議に参加するということになる。会議メンバーの参加者を知るだけで人事評価できます。
すでに一部の会社さんが15%ルールとして、その15%の余力を会社が時間とお金を従業員に与えて、自分自身が鍛えられるような状態を従業員に作ってもらうような取り組みをされています。何が正解になるかわからない時代に、その15%が毎年積み重なっていくと、事業であったり研究であったりいろんな打ち手が出せる。そんな組織を作っておく必要があると思いました。
部下の顔を毎日見ないとわからないというような古い考え方の上司の方は、在宅せざるを得なくなると、否応なしに違うところで部下の様子を気遣わないといけなくなる。そんな視点の180度転換っていうのを、この15%の余力のところで一人一人に持たせたいなと思いました。
やっぱり従業員の中には、人の意見に同調するだけで会議に参加していた人や、その人自身の発案や考えで会社の事業にインパクトを与えられていない人が、この状況の中でたくさん見えてきたなという感じがします。会社に来ていただけの人はなかなかしんどい時代になっています。
レジリエンスと言うと「折れない心」とか「危機に負けない」ということが協調されますが、むしろそれよりも、危機を乗り越えて危機の前の自分よりは一歩でも二歩でも先に進んでいる、成長しているというところが大事だと思います。今のように環境が変わった時こそ自分の引き出しを増やすための努力とかエネルギーをかけたらいいのかなと。そういう人たちがたくさんいる組織、自己啓発や自己研鑽をサポートする組織っていうのが、これから伸びていくし強いのかなという気がします。
よく目標管理はトップダウン式かボトムアップ式か、と言いますが、私は二元論ではなくて両方ともなくてはいけないと思っています。今までは与えられた目的・目標を分解することで評価されていた人に、そうじゃなくなるということをしっかり示さなくてはならない。
もう一つは、目的・目標も今までは縦割りで自分の守備範囲だけ知っていればよかったんですが、タバコ部屋とか居酒屋とかで話してる中でお互い他部署どうしてるの?と話せていたものができなくなったので、ますます情報の透明性というか、他の人はこんなことを頑張ってるんだとか、こういうことがうまくいってるんだといった情報の透明性を高めていくと、それが切磋琢磨していくひとつの契機になるのかなと思います。
環境が変わりますので、一人一人が頑張るのも大事ですけど、やはりみんなで切磋琢磨して環境変化に対応していくような、目標だけでなくそういう対応が大事になっていくのかなと思います。
この新しい環境変化に全然対応していない意思決定がなされてしまうという組織が、実際まだまだ多いんじゃないかなと思っていて、相当頭のパラダイムシフトをしていかないといけないんだろうなと思っています。
そりゃ給料いっぱいもらえたほうが仕事もやる気になるかもしれないし、いい評価をもらえたら嬉しいかもしれないけど、ものすごくモチベーションが上がってイキイキと仕事ができた経験って、それは給料とかボーナスじゃなくて、何かやりがいだとか、そういうものだと思うんです。
私が若いころ営業をしていたとき、この親分を男にしたいという気持ちがあれば、給料とかボーナスとかそんなの関係なくもう一件行くわけですよ。この人と一緒に仕事をしたいんだとか。そういうモチベーションを持った従業員がいる組織が強いと思います。
先ほどの日本電産の話に戻ると、従業員のためを思っているリーダー、それが体現できた組織、それをまっとうに感受性高く受け取れる社員。いくらやっても響かない人も中にはいるんですけど、より多くの人が響く組織が強いと思います。
そして今、会社には出社できません、Face to Faceで見えません、となったときに、やれと言われた仕事が終わったときにプラスアルファ何かやろう!となるのか、終わったーとなってしまうのか。中間管理職の人も、上から言われたことをやってまあいいか、あいつやってるかどうかわからないし、となるのか、それともこれからのお客さんのことを思って何か考えようとしたり、リーダーやメンバーと一緒にナンバーワンのチームにするんだとかいうような思いを持つかどうかで違いが出る。そういう思いを持つ人の集まりは、たとえどこで仕事しようが、顔が見えようが見えまいが、変わらないと思うんですよね。
在宅だと仕事してないんじゃないか、さぼっちゃうんじゃないかという発想で見てしまう。そこに大きな矛盾があるので、性善説でいこうとトップが言わないといけない。自社の従業員に対してさぼってるだろうという発想で見る経営者なんて全然だめだと思うんですよね。
そもそも性善説でないとWellbeingなんて出てきようもないですし、Wellbeingがない状態でいい仕事をしろと言っても難しい。
今回在宅勤務で、ある意味成果主義が進むようなところも感じていて、見えるものがずいぶん変わってくるんですよね。これまでは対面だからこそ、仕事の成果じゃなくて態度とか印象でその人が仕事してるような気になって、それが人事考課になるようなおかしなところがありました。オンラインでやると誰がどんな仕事をしてるかっていうのがものすごくよく見えるようになるので、これまでなかなか成果主義がうまくいかなかった原因の一つである「評価がしづらい」というのが、別の意味で突破できるんじゃないかなと思います。成果主義にするのでも性善説が大事だと思います。
それは、一緒に仕事をする5m以内の人を幸せにできるかというミッションもあれば、こういう商品を作って供給していることに自分は誇りを感じているということもあれば、とにかく社長の考えが好きだということもあれば、この方をなんとか上のポジションまで引き上げるのを自分が下支えしたいという動機もあるかと思います。いずれにせよ、自分の中に内発的に起こるものが、いかに会社と繋がっているかを発見できるか?から、一人一人の自律が始まるんだろうなと。会社に就職するというんじゃなくて、自分が貢献できるジョブの方でどうやって組織に尽くせるかというのが、いよいよ日本にも来るんだなという感じがします。
【タレントマネジメント研究がご専門のM先生より】
タレントマネジメントの観点では、リモートワークなどを定量的にはかる管理型組織のタレントマネジメントを活用する組織と、自律的に従業員を信じて育成、啓発するスタイルでコミュニケーションを重視するタレントマネジメントをとる組織に分かれそうな気がします。
【人材育成系コンサルティング会社役員のTさん】
社会全体に同じ危機が起きてリーダーの質が見える化してきたように思います。リーダーシップについての理解が社会全体で深まるのではないか、部下がリーダーを選ぶ時代になってきた。
休憩をはさみ後半はテーブルディスカッションに移行しました。それぞれのテーブルで議論を行い発表を行いました。
ポストコロナで成長する組織とは?(後編)
ポストコロナを考える上では、コロナがいつまで続くのか?によっても、きっとポストコロナの状況は違うだろうねという話も出ました。比較的早くに収束すると、元に戻そうとする保守層が比較的強いかもしれない。一方で、1年とか、ある程度影響が長引くようだったら逆にそれが普通になるので、これが大きな変換点となって、いろんな新しい価値観が定着していくじゃないかという話がありました。
ある程度は、従来のスタイルに戻していく方向性もあると思いますが、とはいえ元のままではない価値観が大きく影響していくので、そこをきちんと踏まえて、環境変化にどうバランスをとって考えていく組織なのか?によって、大きく違ってくるんじゃないかなと、そんな議論がありました。
まずトップがぶれないことが大事であるということ。社員に本音を話せと言っておきながら、実はトップが本音を言ってないと社員からは見透かされてしまうので、まずトップが本音を言い、ぶれないこと。
そしてこれがとても印象的だったんですが、トップが騙される覚悟を持つということ。つまり多少さぼってもいいじゃないか、多少騙されても私は本音を喋るよというような姿勢の持ち方が、エンゲージメントを高める元になるんじゃないかなというお話は非常に納得しました。
それから、働く側の姿勢としては、今までワークライフバランスという言葉が「何時から何時まで働いて」という時間の話ばっかりだったのが、これから時間じゃなくて心の持ちようであるとか、本当の意味でワークライフバランスというものを考えていく時代に入ったので、自分はどう会社と関わってどういう貢献をして、何を受け取るのかというのを、今こそ本当に考えなきゃいけないというお話も、本当にそうだなと思いました。
そういう意味では、今のトップ側の姿勢と、働く側のワークライフバランスがうまく両方から成功すれば新しい働き方が実現するのかもしれないと感じました。
もともと生き物はネガティブな要素の情報に非常に反応しやすいんですね。生き残っていかなきゃいけないというのを根底に持っているので、ネガティブな要因というのは非常に重要な課題になっています。こうしたネガティブな状況になったとき、いかに一人ひとりが広い視点で好奇心を持ってその状況を受け入れて、判断して、解決していこうという内発的なものが生まれるのかっていうのは非常に大事になっています。
もう一方で、その事象がなぜか?を考えていく力も非常に大事です。例えばトップが対策を出したことに対して受け止める力も非常に大事な部分じゃないかなと。トップと働いている人達がうまくチューニングできるようなアプローチをして、好奇心をうまく生かせるような組織がキモになるんじゃないかという議論になりました。
一番最初のチームからは、具体的なものとして、今リアルに起こっている課題のお話をされました。すごく気になったのは、どう評価していいのかわからないのでタスク管理的なものを強化する流れになっているという話と、名ばかり在宅になっているという実態の話です。こういうところって本質的な議論をしていかないとだめなんじゃないかなと思います。
2つ目のチームは開本先生が入られて議論をサポートされましたが、トップの騙される覚悟っていうのは、先ほどのタスク管理の話と裏表みたいな話のようで、これも非常に興味深いですね。
最後のチームは、Aさんが脳科学を研究されていることもあって、ネガティブなもの、危機感に対する反応ということが生物の生きるベースになっているという中でも、好奇心を持っている組織がこの時代を乗り切れるんじゃないかというお話でした。
こういうことがコロナの前と後で随分変わってくるだろうということで、3つのポイントを書いてみました。
1つはポジティビティ(心理的資本)の話ですね。
2番目が本当の意味での成果主義。根付くかもなという気がしているので。
最後は組織と個人の関係をもう少し見直す機会になるのかなと思っています。
物理的に職場から離れることで見えてくるものってたくさんあると思います。これまでワークライフバランスって結構議論されてきたと思うんですが、いま一つ本質的には変わっていないような気がします。今回初めて強制的にでも在宅勤務になると、自分の人生において何が一番大事なのか、なにがWellbeingを決めるものなのか?っていうのが、よりはっきり見えてくると思うんですよね。そこで初めてワークライフバランスの目的は何か?っていうことも考えるでしょうし、自分の仕事と家庭のオンオフをきちんと切り替えないといけないような状況ができてきたと思います。
従業員の側から組織が選ばれるようになるかもしれないという意味で、心理的契約を更新しなきゃいけない。だから結構これから終身雇用って厳しくなるのかなって思いますね。
この3つを僕としては今回のテーマとしては僕なりの結論にしたいなと思って作ってきました。一番上のビフォー・コロナ(B.C.)からアフター・コロナ(A.C.)というのが一番ポイントですね。それが一番言いたかったことです笑
それが、オフィスに出ないことで成果がわかりやすくなった。厳しいけれども誰が会社に貢献したのか?というのがわかる世界になってきて、みんながわかるように誰もが測れる指標で競争しあって、大事な仕事はこの人に、大事なポジションはこの人に、となっていくでしょう。ただ日本人のメンタリティが急に変わるわけはないとも思うので、あまりにも急な変化だとついていけずに抵抗勢力が出てきて、わかっちゃいるけど戻ってしまう、となる可能性も高いですね。
結局afterコロナで諸外国がどんどん進む中で、日本がさらに負けるようなことにならないかなというのが心配です。だから、厳しい成果主義にはいくんだけど、性善説に立ちながら、騙される勇気とか気概というか寛容な心をリーダーが持つことですね。厳しいなかでも、皆との交流を深めるいろいろツールなど、新しく出てくるテクノロジーをうまく活用しながらやっていく。それとうまく合わせて変革をちゃんとやっていける組織、うまく引っ張っていけるリーダーと、きっちり高い志を持ってついていくメンバーのセットが大事かなと思いますね。
そういう意味では、ダイバーシティも一気に進むんじゃないかと思います。これまでだったら組織の中で3つか4つくらい仕事ができる人が処遇されやすかったと思うんですが、何か一つでも特化したものがあれば、しっかりと会社にも貢献できるんじゃないかと。それぞれに才能やいいところがあるはずなので、そういうところをより見出していき、全員参加でそれぞれの強みを持ち出し合って組織をバージョンアップしていくことができたらいいなと妄想していますね。
もう一つの絞るということでは、このコロナの状況の中で、「やっといた方がいいですよね」とか「やったふりしてました」というような仕事は排除されていっている、つまり、絞りこむってことが大事ですよね。指標においても、あれもこれも大事、ではなくて、本当にやらないといけない、社会の情勢に役立つとか顧客の声に役立つような指標をきっちり絞り込めるということが今後大事になってくるのかなと思います。それによって「やったふり」の指標ではない評価が大事になってくるかなと思います。
心理的契約というのは、つい組織と個人の契約関係を考えてしまいますが、組織の形とか存在そのものがもっと変わってくるかもしれないし、全てがバーチャルな組織になるかもしれない。
一方で全員が自営業、フリーランスになる厳しい世界なので、雇用の保証の問題とか社会制度との整合性というのは考えないとだめなんですが、そういう意味では、藤間さんのおっしゃってる「厳しいようでもある成果主義」が浸透すると、新たな働き方というのが出てくるのかなという気がします。そうなると大学の先生なんて一番やばいですけど。もっとYouTubeで上手に講義をする先生いっぱいいるので。そうならないように頑張ります(笑)。ジョブ型雇用という言葉がありますが、ジョブがすごく見えるようになってきますよね。
クリエイティビティの話に戻るんですけど、異縁連想は変わった経験をしていないと出てこないという意味では、変な副業することってクリエイティビティを促進するにはいいことだと思うんですよね。だとすると、組織としても副業をする従業員の心理的安全を高めるためにももうちょっと柔軟な制度ができたらいいなとも思います。
ベテランの方で、今の仕事が本来のご本人の得意分野とは違っていて会社の中ではなかなか輝けないんですけど、輝きを取り戻すために外の団体で副業というよりはボランティアに近いような形で活動して、そこで今までの経験を発揮して、自分としての個人のキャリアやモチベーションを保っている方がいます。会社にとってはどこまでプラスなのかはわかりませんが、ご本人にとっては人生のやりがいが出ていることなのかなと思います。
お友達の中には、いくつもの仕事をフリーランスという形でしている方もいます。もともと大きな会社で頑張った方ですが、今は一人で複数の会社を立ち上げて、メインのところは週に3日コミットして、あとの2日は自分でというような。そういう方の生き方を見ていると、それはそれでイキイキしていらっしゃるなと思います。
まとめ
緊急開催で2020年4月に実施したオンラインミートアップは短い時間ながら白熱の展開となり、「ポスト・コロナ(アフター・コロナ)」の組織づくりや、働き方に関する様々なキーワードが展開されることになりました。
まとめとしてグラフィックレコードをご覧ください。
変化が大きく激しい時代です。
ひとりひとりが働き方と向き合うことと、変化に適応した組織づくりが改めて重要であることを再認識させられた議論でした。
登壇いただいたみなさん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。