「ホウ・レン・ソウ」(報告・連絡・相談)。
その実践に使ってもらおうと、サンスター文具が「ほうれんそうふせん」を11月中旬、全国の文具店などで売り出しました。ホウレンソウの形になったふせんの裏を白地にし、メモが残せるようになっています。3種類のデザインがあり、それぞれ30枚入り。希望小売価格は税込み432円。(朝日新聞デジタルより引用)
「報告」「連絡」「相談」のそれぞれの頭の文字をとって「ホウレンソウ」。ほうれんそうふせんが発売されるほど社会人として常識であり、仕事の上でコミュニケーションの基本として大切であるとされています。
組織運営の上で、下から上への情報の流れだけでなく、上から下へ、横から横へといった情報の流れが不可欠となります。
しかし、ホウレンソウは「目的」を実現するための「手段」であるということを忘れてはいけません。
ホウレンソは簡単なように見えて案外できていない職場も多く、頭を抱えている上司の方々も多くいらっしゃるかと思います。
ホウレンソウー上司が行うべきことは、「雰囲気づくり」と「仕組みづくり」の 2つにあります。
雰囲気・環境づくり
職場自体が、ホウレンソウができない雰囲気が生じていれば当然ホウレンソウは行われません。
親身になって相談にのってくれる、ちょっとした冗談も言える上司であれば、自然と会話が増えるので情報交換がスムーズに行えます。しかし逆に話しかけにくい空気感や雰囲気を出している上司に対しては、報告する側は「後にしよう」「また今度にしよう」とホウレンソウのタイミングを逃していきます。それが続くことで報告されない、相談されない状態が当たり前となっていきます。
現場で得た気づき、学んで得た知識、研修を受けて得た知識。
せっかく教育をして知識やスキルを身に付けさせたとしても、共有の場が持たれなければ、実践の場を作ることもなく、宝の持ち腐れになってしまいます。
そうしたことを防ぐためには、上司がホウレンソウをしやすい雰囲気をつくり、ホウレンソウをしたくなるような職場にすることが必要です。
部下にホウレンソウを奨励する、ホウレンソウをしたことに感謝する、聞いた内容を早速採用して仕事に役立てていく、などのやり方があるかと思います。
報連相は、部下から上司にするだけのものではありません。上司の方からも報連相をおこない、持っている情報を部下と共有しようとする姿勢を示すことが重要です。
管理する側、される側。説明する側、される側。
同じチームとして働いている中でこういった対立関係が生じさせ、批判や指摘ばかりが一方に与えられるといった状況を作り出すことは、職場環境としても相応しくありません。
同じチームなのに「理解していない」「知らない」を前提にプロセスを進めていくことは、説明のための会議や資料に時間を費やしていくことにつながりかねません。これらが常態化する中では、部下のモチベーションは下がり、事業に悪影響が生じ続けます。
そもそも報・連・相とは1982年に山種証券社長(現SMBCフレンド証券)山崎富治氏が社内に「ほうれんそう運動」として広めたのが始まりです。
「ほうれんそう運動」を閃く前。
会社の従業員が増え組織が大きくなり、仕事の進捗や情報共有がままならなくなってきていました。この状況を打破し、職場の環境を風通しの良いものにしなくてはいけません。
職場の環境を整えていく上でも社員の悩みに対して会社として上司としてできることを考え実行することが大切。社員から『 報・連・相 』ができる環境づくりをしなければならないと考え、運動を始めました。
以上のように山崎氏は、会社組織に”ホウレンソウ”が育つ土壌を作りあげ、社内のタテ・ヨコのコミュニケーションを密にし会社を強くするという「目的」に対する手段として、”ホウレンソウ”を提唱しました。
いつの間にか部下側の基本行動を意味するものに変化しつつあるホウレンソウ。風通しの良い職場にする・いつでも相談しやすい環境をつくり出すといった上でも、本来であればマネジメントする立場の方がホウレンソウを意識することが大切なのです。
仕組みづくり
しかし実際「ホウレンソウをしていこう」と呼びかけるだけでメンバー全員が行動にうつせるわけではありません。
これを解消するために行うのが「仕組みづくり」です。
朝礼や会議などでホウレンソウの場を設ける、週報・日報を活用する。日々の仕事を目で見てわかる形にすることができ、仕組みとして業務に取り入れやすいかと思います。
週一度の定例会議
ホウレンソウを回すためとはいえ、この会議に向け様々な資料を準備、報告書を作成するのに時間をかけること自体が目的ではありません。
そもそも「何のため」の情報共有であるのか。
情報共有の結果、どういった「判断や行動」が必要であるのか。
どちらか片方に一任するのでなく、情報を渡す側・受ける側、双方が「何のため」「判断や行動」を意識したうえで情報の受け渡しを行うことが大切です。
「何のため」の場であるかを明確にしないで、会そのものが形骸化しているケースも多く存在しているのではないでしょうか。
週報・日報
本来の目的は「部署内のメンバーの動きを把握すること」にあるかと思います。
進捗を報告するための日報作成に長々と時間と手間をかけたものの、結局は上司はきちんと読んでいない、結果として何ら把握されていない。モチベーションは下がって、未提出につながるといった流れが生まれてしまうでしょう。
日報や週報は部下の状況を正しく把握でき、かつ記入する人にとって業務上の負担になりづらい書式を考えることが必要とされます。
また、日々忙しく一人一人の行動の把握がままならない上司のためだけ、ではなく、チーム内のメンバーがお互いにお互いの動きを知るために書く方が組織全体としての情報の流れができるとも考えられます。
ビジネスコミュニケーションの基本である、ホウレンソウ。
上司が出来ると思っている当たり前のホウレンソウが、 部下には出来ていない。原因は思っているところとどこか違うところにあるのかもしれません。
そして決して忘れてはいけないのは、ホウレンソウは「目的」を実現するための「手段」であるということです。