Habi*do通信

新入社員・若手社員の定着~離職を防ぐためには~

桜

春を迎え、新入社員を迎える季節になりました。
新たなメンバーが入ることで職場の雰囲気も明るくなり、昨年まで新入社員だった社員の成長も垣間見ることができる時期です。
この新しいメンバーの定着が課題ともなります。

内定先で一生働きたい 新入社員のホンネとは

新社会人のホンネ、マイナビ学生の窓口の調査データから見ることができます。
内定先の会社で一生働きたいと思いますか?との問いに半数以上が働きたいといった回答。

いまの会社に内定を決めた理由を教えてくださいの問い、会社の雰囲気が決めてだったようです。

一生働きたいと思える会社の特徴は何だと思いますか?の問いには、
・福利厚生や給与がいい
・人間関係がいい
・ワーク・ライフ・バランスがいい
・会社の風土がよい環境であること
といった回答があったそうです。
マイナビ学生の窓口 調査期間:2018年2月 より引用)

特にこれから社会人としての一歩を踏み出す新入社員としては仕事の内容やそこに対する満足感よりも、人間関係や社風、ワークライフバランスの実現がより重要であることが分かります。働く環境の整備、受け入れる側は大切にしなくてはいけません。

若手社員 離職に関する現状そして採用にかかるコストとは

半数以上が内定先でずっと働き続けたいと思っているものの、現実は若手社員の離職が問題となっています。
「七五三現象」
新卒で就職した人のうち、中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が3年以内に離職してしまうといわれるこの現象。多少数値の上下はあるもののほぼ変わらず毎年同じように推移している数字だそうです。

マイナビが新卒採用実績のある国内企業に対して行った調査「2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、2016年度(2017年卒)の入社予定者一人あたりの採用費の平均は46.1万円。
企業種別で見てみると、2016年度は上場企業が42.3万円、非上場企業が46.7万円。
人を採用するということはコストがかかること、というのがよくわかります。

また、新卒採用は企業にとって大きな「先行投資」 でもあります。新入社員は中途採用者のように即戦力とはなりません。まずは教育が必要となります。新卒者そのものにかかる教育コストはもちろん、OJT(On-the-Job Training)による教育、新入社員の教育を担当する社員の人件費や時間も必要となります。

若手社員の定着に必要なこととは

コストをかけ教育もしてきた新入社員、みすみす手放すことはどなたも望んでいないと思います。労働人口が減り、求人難が進む今、若手社員の定着はより差し迫った経営課題ともいえます。
では若手社員を定着させ、離職を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。

そもそも採用時点でのミスマッチを防ぐことが大切です。妥協や給料面での採用ではなく、自社への理解や共感を持ったうえで採用ができるよう努力が必要です。
今回はこの採用時の問題ではなく、採用後、「内定先の会社で一生働きたい」と思って入社した新入社員をいかに定着させるかについて考えてみます。

福利厚生の充実

一生働きたいと思える会社の特徴にもある福利厚生の充実が大切です。
高度経済成長期からバブル経済の福利厚生の主流は箱ものでした。独身寮や社宅、保養所などにお金をかける企業が多く存在。しかし、昨今は働く人の価値観、ライフスタイル・ワークスタイルが多様化しています。
福利厚生の中でも昨今人気を集めているのがカフェテリアプランです。

cafeteria plan。カフェテリアで好きな飲み物や料理を選ぶように、社員が会社から事前に与えられた一定のポイント(予算)の範囲内で、住宅、医療、介護、育児、自己啓発、リフレッシュなどの中から、自分の好みにあった福利厚生メニューを自由に選んで利用する「選択型福利厚生制度」のことです。
日本の人事部 カフェテリアプラン より引用)

若手社員とベテラン社員では、持っている価値観もライフスタイルも異なるのは当たり前です。自身の価値観に応じて選択できる福利厚生は大変魅力的だと思います。

ワークライフバランスの実現

ワークライフバランスの実現に向けた施策も大切です。
仕事のみを頑張り続ける、それでは身体的にも精神的にも疲弊してしまいます。長く働き続ける中で、私生活における介護や育児といったプライベートそして仕事との両立といった問題も生じます。
ワーク・ライフ・バランスとは「仕事と生活の調和」と訳されます。また以下のように定義されています。

国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会
内閣府 仕事と生活の調和憲章 より引用)

ワークライフバランスが実現されることで若手社員の定着につながるだけでなく、生産性、業績の向上、優秀な人材の確保にもつながります。

フォローアップ施策の実行

仕事に対する自信を持ってもらうこと、そして今後の仕事へのモチベーションアップをはかることが重要です。そのためにも定期的な研修や継続的な教育はもちろんのこと、加えて新入社員の不満や疑問、相談を受け入れる体制が必要となります。
入社からの一定期間後、自身の実力なさや仕事の難しさの実感、仕事だけでなく人間関係や私生活とのバランスといったところにも悩みを抱えるようになる新入社員も増えてきます。
上司によるフォローの面談といった定期的なものだけでなく、日々の業務の振り返りや悩みや不安の解消を上司はもちろんのこと、周囲のメンバー全員で行うことが効果的です。

社内の雰囲気・社風の構築

内定先に決めた理由にもある「会社の雰囲気」。やはり一番はこの組織風土が重要です。
仕事やキャリアの相談が新入社員・若手社員問わず容易にできる、普段からコミュニケーションがとれている職場。

個人商店の社員ばかりだと、シナジーを生まないというお話。

良い社風の会社であればシナジー効果により1+1=2以上の成果が出されます。

「つながり」の重要性

新社会人が回答した一生働きたいと思える会社の特徴
・福利厚生や給与がいい
・人間関係がいい
・ワーク・ライフ・バランスがいい
・会社の風土がよい環境であること
この実現こそが人材定着のカギであります。
これは若手社員の定着だけでなく、キャリアを積んでいるメンバーにおいても言えます。また、新たな優秀な人材を惹きつける要因にもなります。

職場における「つながり」。
つながりが存在することが新入社員におきても既存社員においても重要です。人間関係や社風といった問題もこのつながりが多くを解決してくれると思います。
新入社員の成長をメンバー全員が後押し、また組織の成長へとつなげていく。
そのための環境づくりに対する施策、「つながり」を生む施策。計画ではなく実行が早急に必要です。