Habi*do通信

マネジメントの極意!リーダーが実践したい習慣~サッカー日本代表、森保監督のマネジメントより

森保監督が率いるサッカー日本代表がアジア杯で善戦し、準優勝しました。
決勝でカタールに敗れたものの、若手中心の新たなチームの成長を感じる大会でしたね!

ロシアW杯時には西野監督のもとコーチとしても帯同し、W杯が終了してから新監督に就任した森保監督。
その新チームづくり、選手のマネジメントが注目を集めています。

森保監督は、現役時代も素晴らしい選手でした。
日本代表で戦っていた時代にも、カズこと三浦選手やゴンこと中山選手などの目立つ選手と比べるとグラウンドでこそ熱い選手だったが、どちらかといえば普段は冷静で控え目だったそう。

Jリーグで初めて指揮をとった年にリーグ優勝するなど在任期間の4年間で3度の優勝を経験。指導者としての実績もあります。

監督としてのビジョン、チームづくりの戦略の立て方、戦術などももちろん良いのだと思います。
しかし、森保監督の強みは、選手のメンタル面のマネジメントといえるかもしれません。

彼のマネジメント・スタイルは、ビジネスの現場でも意識してみたいものです!

メンバーに歩み寄るボトムアップ型のマネジメント

サッカーの練習風景

長く森保監督のことを知る選手の言葉から、そのマネジメント方法がうかがえます。
ビジネスの場でも活かせるポイントが数多くあります。

強烈なカリスマ性を持ち、トップダウンで組織をけん引するタイプのリーダーもいるでしょう。
一方でメンバーひとりひとりの成長を支援しボトムアップで組織づくりをしていくタイプのリーダーもいます。

森保監督の場合、圧倒的に後者ではないでしょうか。

コミュニケーションを大切にするマネジメント

リーダー側からメンバーに積極的に歩み寄り、コミュニケーションをとる姿勢は、現場の声をしっかりと拾い上げることにもつながります。
うまくいっていないことや、課題に感じていることを把握することはリーダーとして大切だと思います。

また、しっかりとメンバーの意見に対して傾聴の姿勢を持つことは、そのメンバーにとって、自分の話をちゃんと聞いてくれている、分かってくれていると感じるでしょう。これも重要な承認行動の一つです。

ひとりひとりが意見を持つことが認められることは、課題や困難に強い自律型人材と組織をつくることにつながります。
もちろんリーダーとしてビジョンを持ち、進むべき方向を指し示すことや、そこへ導く手段の選択肢を持ち合わせておくことは前提条件です。

「選手一人ひとりを観察する力と、マネジメントする力が長けている方です。特に、試合に出ていない選手へのアプローチの仕方が素晴らしい。出場時間の短い選手たちにも積極的にコミュニケーションを図ってくれる方なので」(中略)
「監督は選手を尊重してくれます。自分の意見もあるはずですが、まずは選手の意見を聞いてくれる。その上で『こういう考え方もあるよ』と、新たな選択肢を与えてくれるし、選手のモチベーションを上げてくれるんですよ」(日本代表・森保一監督は「理想の上司」? 槙野智章と酒井宏樹に聞いてみたー文春オンラインより

サンフレッチェ広島監督時代、森崎選手がオーバートレーニング症候群という体調不良に悩まされ戦線離脱を余儀なくされたときにもずっと親身に寄り添い続けたというエピソードも有名です。その後、森崎選手はJリーグ優勝に大きく貢献することになりました。

リーダーとメンバーのコミュニケーション

試合に出ている人も、出ていない人も、選手を支えるスタッフも、コミュニケーションを欠かさないことで、チームとしての一体感を醸成することにつながります。

サンフレッチェ広島を3度のJリーグ優勝に導いた森保監督のチーム作りで印象的なのは、指導が決して一方通行ではないということだ。今大会でU-21日本代表のキャプテンを務める三好康児も「それぞれの選手の言っていることは聞いてくれますし、逆に意見はないかと求めてもらうこともあるので、本当にチームを全員で作っていこうという思いは監督から伝わってきます」と語っていた。ーフットボールチャンネルより

トップダウンで一方的な指示・指導による組織は、一定の成果を出すには早道かもしれません。
しかし実際には試合の中で想定外のことはいくらでも起こるでしょうし、選手たちは臨機応変に対応することが求められます。
まさか試合中の一瞬の判断が必要な場面で監督の方を見て指示を仰ぐことなんてできませんよね!

結局、選手ひとりひとりが自分で考えて課題解決をできるよう個を強くし、組織としての一体感も兼ね備えることができれば、最強の自律型組織になっていくということだと思います。

しっかりと行動を認めるマネジメント

行動を認めて指導する

時にはメンバーが失敗、ミスを厳しく指導しなければならないことも訪れます。
そんな時、ミスの指摘をするだけではNGです。

そのミスが積極的に挑戦をした結果によるものなら、その姿勢については褒めるところかもしれません。
そのミスをした後、責任をもってしっかりと対応したのなら、それも良い行動です。

例えば、チャレンジをして失敗した選手の名前をあえて挙げて、「そのプレーはダメだ。でも、チャレンジをする姿勢や、その後のプレーの表現の仕方は素晴らしい」とみんなの前で言うんです。そういう指導者は今までいなかったので、こんな指導者になってみたいと思うお手本の一人です。ーサッカーキングより

これは物事の結果だけを見てマネジメントしているとできないことです。
しっかりと前後のプロセスを把握しているからこそできることなのではないでしょうか。

プロセスを把握しなければ、メンバー個人の成長を支援することもできません。

チームで協力して戦うことを最優先に考える

組織として目指すべき目的、目標に向かって進むためには、チームとしてのお互いに信頼し、協働することが重要です。ビジネスの現場においても、すべてひとりで行い完結する仕事はほとんどありません。

チームで戦うことを最優先に

時に、スタンドプレーをしたり、チームの仲間を傷つけたり、自分さえ良ければというメンバーがいたとすれば、それは組織内の信頼関係を揺るがしかねない存在になります。

僕の考え方のコンセプトは、技術とか戦術とかありますが、「皆で頑張る」ことを何よりも重視しています。それは選手スタッフ含めて。優勝など高い目標はありますが、それに向けて日々積み重ねていく。そして、チームより優先するものはない。それはハッキリ言っています。それができない選手は、違うチームに行ってもらったほうがいい、とも伝えていますね。ーリクナビNEXTジャーナルより

皆で頑張るということは、人によっては「理想論だ」という人がいるかもしれません。
「自分ががんばっているからだ」とか、「誰も助けてくれない」と感じる人がいるかもしれません。

でもふりかえってみてください。
ひとりで仕事をしているのでしょうか。誰の助けも借りずに成果を残せるでしょうか。

サッカーのエースストライカーがいかに技術も実績も素晴らしくても、1人で試合に勝つことも難しければ、練習も1人ではできません。
たとえ能力が高く成績を残せるメンバーであっても、不平不満を言ったり、周囲と協調がとれない状態ならば、チームにいなくていい。

組織・チームというのは、長期的な目的のもとに集まり、日々を積み重ねます。
メンバー間の信頼関係づくりを大切にすることは、とても重要です。

モチベーションに頼らずに個をしっかりと伸ばす支援

「メンバーのモチベーションを上げなければ!」と考えて、いろいろな施策を試行錯誤する。
しかしながら、モチベーションというものは、それそのものが一時的・短期的な感情のものです。だからそもそも「モチベーション」を高めるために施策を打つという行為そのものが、あまり意味がありません。

考えてみてください!
モチベーションアンケートを行うことで、具体的な施策を本当に実行できているでしょうか。
モチベーション研修を行ったからといって、その効果は定着するものでしょうか。
モチベーション向上を目的として社内のイベントや飲み会を行って、仕事そのものへの貢献意欲はどれくらい高まるでしょうか。

モチベーションというのは、プライベート含め、様々な外的要因に左右され過ぎます。

それよりも大切なことがあります。

その仕事に誇りを持つこと

試合に出ている選手もそうでない選手も、個を伸ばすことを主眼に考えました。チームは1年毎に変わっていきますから、1年ですべての選手が少しでも成長してもらえるように。個にフォーカスして、1人1人が成長できるように、僕もそうですがスタッフと協力し、いろいろな働きかけをすることを考えました。ただ、モチベーションについては考えなかったですね。サッカーを仕事にできていること自体が幸せなんだ、試合に出られない悔しさはあっても大好きなことを仕事にできるのは幸せだよ、と折にふれて伝えていました。ーリクナビNEXTジャーナルより

目的・目標が明確であることが大切です。何のためにその仕事をしているのか、その仕事そのものの価値をメンバーが認識していること。
そして、その仕事においてメンバー本人が成長を実感していけることが大切です。

結果として、その仕事のことが好きになるでしょうし、成長を実感できることでその仕事・業種・業界で自分はやっていけそうだという気持ちが徐々に高まっていくものです。

だからリーダーはビジョンを伝え、組織としてひとりひとりの個の成長を支援していくことが必要なのです。

ここぞというときに前面で戦う姿勢

ビジョンを伝え、メンバーに寄り添い、成長を支援する。
それだけではなく、時には戦う姿勢を前面に出すことで、メンバーは鼓舞されるかもしれません。

時には戦う姿勢を前面に

タッチラインを割ったボールの判定を巡って、普段はあまり感情を表に出さない森保監督が怒りの表情で審判に激しく詰め寄った。協会幹部がかねて「監督のピッチ上での振る舞いというのは、選手に影響するものだ」と語っているように、勝負どころで見せた指揮官の豹変は、一歩間違えれば退席処分。チームの雰囲気が険悪になってもおかしくない行動だった。
だが、この熱い姿はイレブンの胸に響いた。今大会は初の公式大会で合宿期間も長く、監督と選手が一緒に過ごす時間が多い。その中で指揮官が見せた感情の「オン」と「オフ」の切り替え。ベンチも一体となって戦っていることを見せた。ー東スポWebより

勝負所やメンバーのピンチに、責任を全くとらない上司だと、それは信頼されないですよね…。いざというときに、責任をもって矢面に立ってメンバーを守る姿勢というのも、信頼を強くし、チームの一体感につながるでしょう。

ふりかえりのためのメモをとる習慣

これがメンバーのマネジメントに関係あるの?と思った方は、ちょっと待ってください!

これは野球のマネージャー部員

森保監督が試合中や練習中によくメモをとっていることも有名です。あのメモが気になっているという方も多いそうです!
何を書いているのかはもちろん秘密にされていますが、彼がメモをとるのは選手時代からのようです。
当時から「指導者になるとき、役に立つな」と考えていたところがすごいですが(笑)

習慣として、練習メモを取るようにしてきました。詳細なものではなく、感想を書く日も書かない日もありましたが、「(この習慣は)指導者になるとき、役に立つな」と思ったのが1995年、26歳ぐらいの時です。当時のヴィム・ヤンセン監督に「コーチになるんだったら、色々なものが見えている必要があるぞ。例えば、選手と一緒にサッカーはするな。(選手の)動きが見えなくなるだろう」という話をされた覚えがあります。ーリクナビNEXTジャーナルより

選手時代には自分自身の振り返りが中心だったのだと思います。
指導者となってからは、試合中にメモをよくとっています。
メモをしっかりとっているのは、戦況を把握するためだけでは決してないように思います。

戦術、選手の動きのメモ

日本代表は28日、アジアカップ準決勝でイラン代表と対戦し、3-0で勝利した。韓国『中央日報』はFW大迫勇也が先制ゴールを決めた場面を振り返り、歓喜に沸く選手やスタッフたちの中で森保一監督が見せた行動に注目している。(中略)
同紙は日本が先制点を挙げたシーンを取り上げ、選手、スタッフ、サポーターが喜びを爆発させる中で「落ち着いて行動する人物が1人いた」とレポート。「口元に少し笑みを浮かべただけの彼は、何もなかったかのように普段通り手帳にメモを始めた。日本代表の森保一監督だ」と続けた。ーゲキサカより

「情報や戦術を把握して手帳に書き留めておき、対策を見つけるという独自のやり方だ。メモを使って徹底的に計算する」といわれている森保監督の試合中のメモ。確かに情報や戦術の把握と計算のためにメモをしているというのもありえるでしょう。

私の仮説では、選手たちの動きを事細かに観察して記録しているのではないかと思います。
試合中の個々の選手の動き、もしかするとベンチにいる選手の言動も含めてメモをしているのかもしれません。

つまり、ひとりひとりをしっかりと見る。

自分自身のふりかえりのメモや、戦略や戦術のためのメモをとることも重要だと思いますが、マネジメントをする側としてはメンバーひとりひとりのプロセスをしっかりと見ておく必要があると思います。

ひとりひとりのメンバーのプロセスを把握しているからこそ、個々人とのコミュニケーションを積極的にとり、成長を支援することもできます。
また、指導するときにも、どんな行動をしているかわかっているからこそ、チャレンジしたことを認めることもできます。

メンバーにとっては、リーダーが「ちゃんと自分のことを見てくれている。わかってくれている。」と感じるのではないでしょうか。

まとめ

チームビルディング

アジア杯は決勝戦でカタールに敗れ準優勝に終わりましたが、この大会もその後のより大きな目標に向けたステップの一つとして捉えるならば、チームづくりの良いファーストステップなのかもしれません。新チームになって初の敗戦から学ぶものは大きいはず!森保監督も「土台になる積上げができた」とコメントしています。

今回、サッカーをテーマに組織マネジメントについて考察しました。
ビジネスの現場でも活かせるものが多いと思います。

ひとりひとりのメンバーが自律して組織の目的を目指していく、成長していこうとする状態をつくるには、結局のところトップダウンで指示してり、力技では難しい。
だからこそ、ひとりひとりのことをしっかりと見て、話を聞いていくことが、メンバーにとっては承認をされたと感じるもの。ひとつひとつのがんばりをしっかりと把握できていれば、ミスや間違いを指摘しなければいけない時でも、良いところを認めることができる。

個々の成長を支援し、組織として強くなることを目指すこと。自律的に課題解決をできる個人と組織づくりが、企業にとっても現場を強くすることにつながると思います。