この半年間、例年にも増して、「評価者トレーニング」のご依頼がありました。
それだけ管理職の活性化そして評価力そのものが、人材育成そして事業運営に大きく影響する、ということを感じておられる企業が増えてきたということなのでしょう。
確かに過去、私が接点を持たせて頂いたマネジメント層の中でも、部門を活性化させ自部門から人材を輩出しながら、期待される成果を出しておられる管理職の方々は、一様に評価力がある、と感じました。
公正な評価する為には、会社の戦略を正しく理解し、自部門の目標と共に部下に発信・浸透させ・・・等々。「評価力」については多くの要素がありますが、後日、機会があれば詳しく。
「向上」「強化」「徹底」~マジックワードの危険性~
さて表題、「禁止語を作る」。
評価者トレーニングでは、目標管理を導入されている企業様の場合は必ず、目標設定の考え方や具体的な方法についての演習をします。
そして、目標設定の際できれば避けたい表現の典型的な例として、「○○の向上」「○○を強化する」「○○を徹底する」。
一見、シャープな表現ですが、ゴールがわかりにくい典型的な言葉です。
受講者の方々からは、
「よく使いますけど・・・どうすればいいんですか?」
私はしばしば逆質問で、
「強化できたら、それはどういう状態になっていますか?」
「達成できた後の状況、例えば何がどのようにやりやすくなった、とか 決裁のスピードが従来の3倍になって処理案件が・・・とか、具体的に考えてみてください。」
要するに、やり切ったときの状況を部下と具体的に握ってください、とお話します。
東京大学の苅谷剛彦教授はある著書の中で、「個性」とか「構造」「人間形成」等の概念的な言葉や「IT化」「バブル崩壊」のような言葉が、何となくわかったつもりになるマジックワードで、人々の考えを止めてしまう魔力を持っている、と表現されています。
教授は、自身の授業の中で学生に、抽象的・概念的言葉を禁止してみることがあるそうですが、その言葉の意味を深く考える姿勢が出てくるとか。
ビジネスマンとして発すると賢そうに見える概念的な言葉。考える行為を止めてしまう、ゴールを敢えて明確にしない、というような魔力も含まれていることを忘れないでください。
皆さんも、一番多く使っている概念的な言葉を一つピックアップして1週間ほど禁止してみては如何でしょうか?
脳みそが相当くたびれる、と思いますが、考える力はもとより、伝える力も付くはずです。
▼禁止する行為についてはこちらから