ラーニングピラミッド。これは「平均学習定着率」を示す図です。
能動的になればなるほど学習の定着化を図れるとされています。裏を返せば、受動的になればなるほど定着化しないということです。
- 講義を受ける-5%
- 資料や書籍を読む-10%
- 視聴覚(ビデオや音声等による学習)-20%
- 実演を見る-30%
- 他者と議論する-50%
- 実践による経験、練習-75%
- 他者に学んだことを教える-90%
と言われています。定着率が高くなるものほど、他者の関わりも必要であり、且つ主体性・能動性が求められますね!
教育手法として「アクティブラーニング(能動的学習)」が注目されるのは、世界のトップクラスの大学で授業の方法を変えたことで実証されたことが大きいでしょう。例えばハーバード大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)など。
受講対象者に能動的になってもらおうと、教育機関ではプロジェクトベースドラーニング(PBL)を取り入れているケースも多いです。組織での活動、自らの実践が必要となるような実習プログラムがそうでしょう。大学におけるゼミ活動の多くも、これに近いものかもしれません。
私自身も大学生活を振り返ってみた時に、印象に残るだけではなく、どんなことをやったのか、その手法や内容をよく覚えているものは、ゼミや実習での活動です。残念ながら講義だけをボヤボヤ聞いていたものは、ほとんど記憶にも残っていません。このような経験は大なり小なりありませんか?
丸暗記の受験勉強ではない、もっと深い“学び”が社会に出ると必要になります。
企業内の教育・研修ではどうでしょうか
当然ですが講義をするだけの研修はもはや効果が低いということが明らかです。
面白い!楽しい!と思える研修だと、視聴覚や実演を加えた演出、そして受講者どうしによるグループワークにより発言する機会があるなど、効果が向上するのも裏付けます。
- 講義を受ける-5%
- 資料や書籍を読む-10%
- 視聴覚(ビデオや音声等による学習)-20%
- 実演を見る-30%
- 他者と議論する-50%
ただ、研修・セミナールームでできることは、多くの場合はここまで!ということが多いでしょう。数日間に及ぶものや、長期的なプロジェクト形式の研修の場合は、実践・練習や他者へ教えることも含めて、全てカバーできるイメージができます。
大切なことは、研修での学びを現場に持ち帰った時に、自分事として業務や自身の成長・セルフマネジメントに役立てていくこと。つまり、現場でも実践し、学び続けることが大切です。まさしく「ワークプレイスラーニング」ですね!
今後、ますます人事研修担当と、現場のマネージャーとの連携も、より必要になるでしょう。
研修後にSNSを活用してフォロー、実践を支援すること
研修を実施したあとにSNSを活用したオンラインコミュニティで継続的な取り組みをする方法があります。
現場での実践を促進する方法として、受講者本人・事務局となる教育担当者共に負担が軽く、楽に実践・報告できることが必要でしょう。
教育研修時に立てた目標と行動を、毎日意識すること。実践報告することが可能です。
インターネットを活用することで、いつでもどこでも実践したことを報告することができるわけです。
研修で学んだことを実践してみた感想や、自分なりの応えなどを投稿してもらっても良いでしょう。
つまり、
- 実践による経験、練習-75%
- 他者に学んだことを教える-90%
を、インターネットを活用して、現場に戻ってからも実践してもらうことが可能になるのです。
- 学んだこと
- 立てた目標
- アクションプラン
これらを日々意識するだけでも、成果は確実にUPするでしょう。
テクノロジー活用をすることのもう一つの意味
ITを活用することで、受講対象者の活動状況によって、これまで曖昧だった研修の効果も測定可能になるでしょう。
そうはいっても、やっぱり「やらない人」というのは、必ず出てきます。
それは、どんな組織、どんな場所にだって、少なからずありえる話です。それはそれで、なぜそうなのか?という課題が見つかるのです。これまで、それすらも曖昧になっていなかったでしょうか。
研修後の現場での実践、経過、プロセスをちゃんと評価することが可能になるんです。
課題が明確になるという点でも、研修後の学習定着化支援にITツールを活用するのは効果的です。
現場力を高める本質的な仕組みづくりはエンゲージメントにつながる
教育・研修といったトレーニングの機会はとても重要です。
新たな気づきを与えたり、基本的な型をつくるという意味でも良いものです。
むやみに行動するよりも一定の成果につながる確率も高まります。
モチベーションを刺激するにも、良い機会でしょう。
しかし本当に重要なのは、その人が行動変容を起こし継続的に成果を出し、自律的に成長をすることだと思います。
そして、そのような人材が組織に増えることは、自律的な組織づくりにつながります。
特にこの記事を書いている現在、ビジネスのスピードは早くなり、情報に溢れ、市場の変化も大きいです。
何が起こるかわからない時代には、時に現場で判断して迅速に動いていくことも求められます。
現場で実践的に動きながら、経験的に学習を積み重ねていくことになります。
その中で他者と学びあう関係づくりも必要です。
学びあいとは、相互にフィードバックを行うことも含みます。
(人の成長、組織の成長には、信頼しあうチームづくり・関係性づくりも関連しますね。)
エンゲージメントが高い職場が高生産性である理由の一つかもしれません。