Habi*do通信

学習定着率を高めるには、行動の実践と他者への指導が有効

ラーニングピラミッド

アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)の研究によって導き出された、学習定着率を表す「ラーニングピラミッド(Learning Pyramid)」です。教育や人材開発に携わる方はご存知の方も多いかもしれませんね。

いわゆる講義(Lecture)は5%、資料や書籍を読むこと(Reading)は10%、視聴覚(Audiovisual)が20%、実演によるデモンストレーション(Demonstration)が30%、グループディスカッション(Discussion Group)が50%、実践による経験・体験・練習(Practice Doing)が75%、誰かに教えること(Teaching Others)が90%と、より能動的・主体性が必要なことになるほど学習定着率が高い=教育効果が高いと言える研究結果が出ています。

教える側としては、どのようにそれぞれに主体的に関わってもらうか。これは多くの教育現場での課題ではないでしょうか。

このラーニングピラミッドを見たとき、企業内教育におけるフォーマルラーニング(研修や一般的なeラーニングなどが適用されることが多い)による学習効果が30%、現場での経験や、メンバー同士の学び合い、上司からのフィードバックなどなどによるインフォーマルラーニングによる学習効果が70%という研究の話を思い出します。

ワークプレイスラーニングとは?学びは現場で7割以上が起きている!

学習定着率の指標であるラーニングピラミッドにおいても、他者との関わり合いや、自らの実践経験が重要になるほどに定着率が高くなるという傾向がありますよね。Lecture~Demonstrationまでが30%と考えれば、残りの70%は行動して実践してみることや、上司・同僚・後輩といった仲間の存在がとても大きくなります。

研修室や会議室があって、そこに受講者を押し詰めて、「さぁ、頑張れ!」と言ったところで、受講者たちは何をすれば良いか分からないですよね。

学びのエンゲージメントを高めるには?

先人の知恵を共有するという点や、きっかけとしての動機付けとして研修やセミナーなどの場はとても重要な場です。

筋道を明確にすることは行動を起こさせるために必要な要素です。部屋を出たあとから何をすればいいかを知っているかどうかで行動は変わります。

現場での実践が肝要

せっかく学んだことを身に着け、定着させるためにはラーニングピラミッドの通り、実践をすること・他者と議論すること・学んだことを他者に教えることが効果的ということは明白です。

学ぶことへのエンゲージメントを高めるには、

  1. 学んだことをすぐに実践すること
  2. 実践して達成体験を得ること
  3. 一緒に学んだ仲間どうしで刺激しあうこと
  4. 同僚、できれば上司やトレーナーから承認すること

が効果的といえるでしょう。

これは自己効力感を高めるプロセスとほぼ同様なのです。

実践を通じながら、セミナーや書籍では決して不可能な実際の経験を積むことができます。

このようなことを自然と行えるような組織・職場づくりを行えるかどうかで、人材の成長・組織の生産性向上にも大きく影響しそうです。
あなたの職場ではいかがでしょうか。